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現象3 馬術部

 皆さんは学校の七不思議を知っているだろうか?NOと答える人はまずいないだろう。オレの高校にも七不思議みたいなモノではないが、4つの謎がある。今日はその真相を解明しようと思う。

「てなワケで、1つ目の謎『校長室の隠し部屋』を解明しよう!」

「でもあれって学校建てる時の建設ミスを校長が指摘して、校長室を2部屋に分けただけだろ」

モトキはうそーんと叫んだ後、がっくりと肩を落とした。ちなみに、2つ目の謎も3つ目の謎もオレは真相を知っている。しかし、4つ目の謎にして最大の謎のあれはオレは何も知らない。

「キョーヤも4つ目の謎にはてんてこ舞いです、ってか?」

「オメーもだろうが、ナオキ」

ナオキは中学の時、オレが不良に絡まれた時に助けてくれたいいヤツだ。体育は常にトップ10入りの体力バカである。

「まあ御2方、このモトキ様の調査報告を聞きなすって」

へえ。モトキ、オマエがどこまで調べたのか聞こうじゃねーの。

「4つ目の謎『馬術部ダークホース』、部員数不明で顧問も不明。でも全国大会連覇中という、凄まじい実力者ばかり揃えた部活だ。もっとも、どこでどんな練習してんのかも不明だけど」

そう、オレの高校は公立なのに馬術部がある。モトキが話したコトは結構新説だった。噂じゃニートだの何だの言われてるのに、実際は真逆だとは知らなかった。

「コラ1年、馬術部には関わるな。この間も2年生5、6人が馬術部を調べようとして、全員病院送りになったんだぜ」

後ろから注意してきたのは3年生だった。そう言われてしまったら、調べずにいられないでしょうが!

「放課後に駅前の自転車小屋に、午後6時に集合だ!」

「あんまり首突っ込むなよ~」

この時オレたちは何もわかっていなかった。暗部をむやみに調べようとするとどうなるのかを・・・。

 午後6時、ついにオレたちは馬術部の実態の調査を始めた。念のために、それぞれを違うジャージを着ることにした。しかしこのオレを含む一団、ノリノリである。

「あっ、ウチの制服だ」

「ついてくか?ま、他の部活は早上がりだし」

オレたちは男子生徒についていった。男子生徒は怪しい一団にすぐさま気づく。なんせ30人近くの色とりどりのジャージを着た不審者が明らかに自分を見ているのだから。オレは不審者ではない。

「気づかれてるな、当たり前なんだけど」

「とっ捕まえて、馬術部のコト洗い浚い吐かせよーぜ!」

「「「大賛成~!!」」」

全会一致、男子生徒を捕まえることになった。オレは肉体派じゃねーから他の人に任せよう。

「「「そこの男子生徒さん、大人しく捕まって頂戴!」」」

「黙れ、そして止まれ」

男子生徒がそう言い放った瞬間、辺りは静寂に包まれた。否、静寂にならざるを得なかった。この感じは前にもあった。まさかこれは・・・。

「魔術かっ!」

男子生徒は驚く。どうやら図星だ。

「魔術を知っているのか、どう見ても一般人のオーラ全開なのに」

「ぁ、がが・・。がぁ」

みんな喋れなくなっている。魔術の効果でさらに動けずにいる。すると男子生徒は魔術の定番、呪文を唱え始めた。

「我が思い、我が力、我が愛!全てを引き付ける魅惑の輝きを!降臨せよ!」

「あれは・・・、馬?」

男子生徒の呪文が終わり、見てみると上空に巨大な黒い馬がいた。

いばらを駆ける馬、ダウェージュ・フォトゥザ!召喚獣の中で最速を誇るぞ!」

「最速なら、その足を封じる枷を与えてやるよ!」

そうだ、オレには人智を超えるモノ全てを体現できる超絶欠落がある!そんな馬を止めるコトくらい、簡単に体現できるぜ!

「バカな!ダウェージュを止める枷など、ありえない!」

「後はオマエだけだ、馬術部員!」

ケンカなら多少やってきてるから、肉弾戦も少しはマシにしてある。当然のコトながら、柔道部や空手部なんかには敵いっこないけど。

「ふん、こちとら馬術部員シークレッツなんだよね。肉弾戦が本領なんだよ!」

ズドッ!

助走なしで、真空跳び膝蹴り・・・?ふざけてるにも程があるぞ・・・・。

「おっ、枷が解けたみたいだ。殺せ、ダウェージュ」

もう持続時間が切れたのかよ・・・。10分間ってこんな短かったっけ・・・?

「コラー!何しとるか、バカモンどもが!」

「ちぃ、人が寄ってきたら魔術のコトが知られる・・・。じゃあね、1年生」

お爺さんの声で人が集まり、オレたちを取り囲んだ。馬術部員はその場から逃げ出した。オレたちは保護された後、補導の対象になってしまった。つまり、処分を受ける。

 あの件から2日後、オレたち(30人近く)は2週間の謹慎という処分が下された。学校に行かなくて助かるが、勉強がついていけなくなるのは問題だ。

「母さん、野菜足らねーだろ?駅前のスーパーでバーゲンしてるみてーだから買ってくるわ」

「キョーヤ、お金は大丈夫?」

金はあると言って、玄関を開けた。買い物ついでに遊んでしまおうと思う。と、ここで見知った顔を見つける。日狩流音である。

「日狩、何してんだよ?学校あるんだろ?」

「えっ、アンドーくん?」

日狩は私服だった。ワンピースが何とも言えないかわいさを出している。思春期でアダルティーを求めるオレは、良からぬコトを口走ってしまう。

「いや~、その服ならラブホで」

「何言ってんの!」

日狩の高校は振替で休みだそうだ。しかし、あの件について話してしまっていいのだろうか?

「魔術師にでも会った?」

不意に日狩が訊ねた。思わず体はピクッと動いてしまった。白状するしかない、正直に。

「馬術部、ダークホースね。魔術結社カンパニーか何かじゃない?表向きは馬術部で話を通してるけど、裏では魔術結社として動いているんだわ」

日狩が言うに、魔術結社は必ずどこかの教会の支配下にあり、魔術師もその教会の支配下で活動をしているらしい。日狩はフランスのリフルディワム教会の配下だそうだ。

「無所属の魔術結社なんて聞いたコトないわ、無所属なら魔術の使用すら禁じられてるもの」

仮にそうだとすると、馬術部ダークホースは重大な違反をしているコトになる。

「とりあえず、その件を教会に調べさせるわ。無所属なら簡単に引っかかるでしょ」

日狩が教会に電話して馬術部ダークホースを調べさせたところ、そんな魔術結社はないという。無所属で違反をしていると報告すると、すぐさま捕獲部隊を手配してくれるみたいだ。

 2週間後、謹慎が解けたオレは学校に新鮮さを感じた。今日は朝から全校集会だ。

「今日を持ちまして、馬術部は廃部となりました」

校長から発せられた言葉は衝撃だった。それは同時に、教会の手が加わったコトを鮮明にした。

「顧問の先生、全部員が合宿中に寮での火災で死亡が確認されました・・・」

教会は全て闇に葬ったのだ。もし日狩に話さなかったら、オレは馬術部に闇に葬られていたかもしれない。

今回の登場人物

ナオキ(16)...キョーヤの中学からの友人。運動能力に長ける。

馬術部員(17)...馬術部の部員。魔術の中でも高レベルとされている召喚魔術や、相手の動きを封じる束縛魔術を主に使う。魔術師としての掟を破ったために、馬術部もろとも教会によって処刑された。

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