現象2 超絶欠落
2話目あげました。でも、2話くらいじゃ評価なんて難しいですよね・・・。
オレ闇洞凶夜は今、かなりイベントフラグが近い。駅で刺された女の子を救い、そして力尽きたオレがいるのは助けた女の子の寝室だ。もはや勝利以外の何物でもない。
「起きたんなら帰ってちょうだい、邪魔なの」
なんだよ、ツンツンしやがって。この後にデレが来るのは読めるぞ、うん。
「1週間で退院じゃなかったっけ、キミ。わざわざ心配してくれたんだな」
「違うわよ、助けてくれた人に恩を返すのはフツーでしょ?」
あからさまなツンデレではないが、顔が赤い。まぁツンデレなのな。
「あ、今までのコト全部忘れてくれると助かるんだけど・・・」
「いいよ、あんな魔術なんて見せられちまったからな」
ピュイィィィィ・・・・
女の子が笹笛を吹き始めた。いい音色だな、心が洗われるような感じだ。
(なんで効かないの、ファガーネロマは高レベルの記憶改竄魔術なのに!)
いつまで吹いているのかな、ま、いい音色だけどな。オレはこの純粋な音色を聞く為に目を閉じる。
「ようやく効いてきた・・わね・・・」
「うっぷ、まさか・・・オレ・・・」
この2つの豊満なピーチがオレを・・・挟んでいるだとおおおおおお!?これはタグにR-15を付け加えねばぁあぁぁ!
「謝らんかい!胸に顔突っ込まれた女の子に、謝らんかい!」
ドスッ、ゴギャッ、メキィィ!
う~ん、オレの所為なのだが音色が良過ぎるんだよ。笹笛なんて古風なモノが、こんなにも心を癒すと思ってなかったから。女の子はオレを殴るだけ殴った後、ダンマリを決め込んでいる。
「さっきはゴメン・・、あとアタシ、日狩流音。変わってるよね、この名前」
「いいじゃねーの、流音。オレだって姓名オカシイぞ、闇洞凶夜だぜ?」
流音はまだ聞きたいコトがあると言ってきた。
「さっきの笹笛ね、あれ魔術なの。記憶を変える魔術なんだけど・・・、どうして効かなかったの?」
「魔術なのか!?記憶変えるなんて、いったい何のつもりだ!?」
記憶を変えるなんて何の得があるんだよ!?あれか、世間に知れるとマズイから変えようとしたのか?
「まぁ、魔術って大方秘密ちゃんな傾向つえーからな。あっ、オレにさっきの魔術が効かなかったコトについて聞きたいんだっけか」
「うん・・・」
さて、いざ説明タイムに入るとなるとわかりやすくかつ簡潔に終えねばならない。どこぞの二次元とは違うのだよ、二次元とは!
「じゃあ10秒もかからんから、全部耳に入れろ。オレは異能者だ、そんでその異能の名前っつーのが超絶欠落。人智を超えるモノ全てを体現できる異能さ」
「異能者?魔術師じゃなくて?」
どうやら異能者の存在を知らないらしい、オレが魔術師を知らなかったように。日狩は異能の力についての方に興味深々だ。
「異能ってのは訓練なんかじゃ絶対身に付かない、生まれながらの能力だよ。強いヤツの中には国1つ滅ぼせるくらいのドえらいのもいる。」
「魔術と違ってすべての人が使えるワケじゃないのね、残念」
それは違う、異能ってのはつまり異端だ。周りから白い目で見られるという重い過去を背負っているのが、ほとんどの異能者だ。幸い、オレは異能を人に見せなかったからそんなコトないんだけど。
「でも超絶欠落って人智を超えるモノを体現するんでしょ?魔術が効かないとかじゃなくて・・・」
「だから、魔術が効かないっていう人智を超えるモノを体現したのさ」
日狩はポカーンとしていた。その顔を見て、なんだか笑えてきた。
「それボケかぁ・・ははは・・ははひぃ・・・」
パコーン
男子のメアドは持ってないというコトで、ケータイのアドを交換した。まあ、オレも女子のアドを持ってないからいい機会だ。
「ありがとな、また遊びに来てもいいかな~?」
「うん、いいよ~!」
日狩は元気よく返事してくれた。
これまでの登場人物
闇洞凶夜(16)...成績は割りといい高校生。数学と体育は最低レベル。
生まれながらに人の人智を超える力を持つ。力の名前は、人智を超えるモノ全てを体現できる超絶欠落。
日狩流音(16)...駅のホームで黒スーツに襲われ、倒れていたところをキョ
ーヤに救われる。ツンデレで魔術師。
黒スーツ(?)...ルノンを襲った犯人。魔術を使えるが知識が乏しいのか、
うまくコントロールできずにキョーヤに敗北。