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現象16 夏幻鏡

大晦日に間に合ったよ~。

 オレたち(兄貴以外)はGの勧誘を受け、能力者英雄杯スーパーヒーローズカップなる大会に参加した。賞金10億、命の保障は無い。そんなゲームにオレたち(兄貴以外)は無事残れるのか!?

「それでは『バルーンデストロイア』、開始です!」

ドドドドオドドドドッッ

初っ端、参加者の一部は風船を全て割られてしまった。オレは何とか逃げ切ったけど、先生とロードは大丈夫なのか?パックリと2つに分断された。

「あのゴタゴタで10分経ったから、残りは5時間50分か」

恐らくDはどこかで監視している、この街のどこかで。考えているうちに、思わぬ敵に遭遇する。

「おォ、キョーヤじゃねェの」

兄貴、今は壮絶にタイミング悪いですよ。何も知らない一般人もある意味敵だ、バレたらDによってこの世を拝めなくさせられるだろう。

「いたぜ目標、覚悟しな!」

ダッ

こんな時に!くそぉ、追っ払うしかねーよ。

「一撃昏倒!『ビッグハンマー』ってか!!」

ドズゥウウン・・・

オレは向かってきた男を、この『ビッグハンマー』で昏倒させた。しかし、気絶してしまったので電話をかけるコトができない。さりげなく風船を割っておいたのだ。

「おい、起きろコラ」

「うわぁ、風船が・・・。電話しなきゃ」

しばらくして、Dが電話に応じた。

内田祐うちだひろしさん、アナタは失格した。その意味はもうお解かりでしょう」

「えっ、どういうコトっすか司会者さん。・・・?司会者さん!?何だ、ケータイが手から離れねぇぞ畜生が!変な音まで聞こえるし!」

変な音?まさか・・・それって・・・。

ドオオォン

男のケータイが、爆発した。後には男の焼けた死体すら、残っていない。

「嘘だろ・・・?つまり負けたら、即死かよ」

兄貴が止めるのも聞かず、オレは走り出す。ロードや先生の身が危険だ!

「「うわぁあ!」」

次々と爆発が打ち上げ花火のごとく、連続して起こっていく。せめて今、何人生き残っているのか確認できればいいんだが・・・。

「今は269人残ってんよ、チビ助くん」

「誰だ!?」

そいつはいきなり登場した、オレの風船を割って。

パァン・・

「うおぉっ、デカっ」

「デカいは禁句だ!オイラの名前は馬渕氷呂まぶちひろ、覚えておけよ」

 馬渕と名乗った巨漢はこの大会の参加者らしく、風船を付けていた。この風船は特殊仕様で、参加者にしか見えず参加者にしか割るコトができない。大会は基本秘密裏に行うモノで、一般人に知られたら、即アウト即死即あの世行きなんてふざけた設定までされているのだ。

「オイラの怪力無双パワフルバイオレンス、受けてみな!」

ドガァアッ

オレの後ろの電柱が、ヒビを起こしてへこんでいた。まさに現実的な怪力、某アニメの主人公たちとは違うリアルな怪力の持ち主みたいだ。

「もう1度、『ビッグハンマー』!」

「そのハンマーがすごくても、使うオマエが普通じゃ何の効果もないぞ!」

バキィィッ

『ビッグハンマー』を持ったオレの手首を蹴飛ばし、それを拾って振り回してきた。

「やべぇ、あと4時間20分も生き残れそうにねーぞ!」

10分経って『ビッグハンマー』は消滅した。馬渕は多少驚いたが、まあいいか、と言ってオレに殴りかかってくる。4時間以上もコイツに構ってる程オレは暇じゃない、早く2人と合流しないと・・・。

「死ね若造!」

ドゴォ・・

「うぉお!・・」

この巨漢め、体格差をフルに使いやがる。しかし、能力を使おうにも意識が・・・。・・あれ?あんな所にカーブミラーなんてあったかな・・?行きにはなかったハズだけど・・・。

「深淵に咲く花は人を喰らい、生を怨み生きる魔物。その花の花弁は黒く、根は地の底で這いずり回り続ける。その根こそ諸悪の根源であり許されざる悪なり。今この時、花を咲かせ聖者を喰らえ」

おい、この声・・。

「猛り狂え!死を呼ぶウィデト・ルイェード!!」

ゴゴッゴゴオッゴォオオ!!!

何だ何だ!?樹の根っこが地面から轟音轟かせて出てきたぞ。どんな種類の魔術だコレ!?

「マズイ!その魔術を使われたら・・・!」

馬渕は慌てふためいて、あの妙なカーブミラーへ一直線に走った。だが、そのカーブミラーも根っこの大群に跡も残らず砕け散った。

「ぐぞぉぉ・・・、せっかく手に入れた若い肉体カラダがぁああ!」

馬渕の体が煙のように消え去った。横目で見ると私服のルノンがいた。風船も付いてるし参加しているのは本当のようだ。

「あのカーブミラーは夏幻鏡ダミーレンズって言って、自分が殺した相手の体を奪って思いのままに動かせる法具なの。法具って、例えば魔法使いが乗ってる箒なんかがその代表だわ。魔術は結構道具を使うコト多いのよ」

ルノンはオレが怪我しているのを見ると、すぐさま回復魔術を施してくれた。まさに戦場の天使なんだけど・・・、けど・・・。・・・・・・。

「あのさ・・・、パンツ水色だね・・・・」

パコーン

異性への配慮ヨロシクお願いします。




今回の登場人物

内田祐(21)...能力者英雄杯の参加者。能力は相手の動く方向を自分の意志と真逆にさせる方向転換ダブルダッチを有するが、大会に敗北して死んだ。

馬渕氷呂(67)...老人魔術師だが、自分の孫を殺して夏幻鏡の力でその肉体を奪ってこの大会に参加した。最後は夏幻鏡が壊れたコトで肉体が無くなり死んだ。

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