ライバルの告白♥
フェスティバルの熱狂が冷めた夜、星蘭学院の校舎は静けさに包まれていた。
桜井りょうは控室の窓から、夕焼けに染まる学園の屋根を眺めていた。胸の中は、まだステージでの興奮と緊張でいっぱいだ。あの瞬間、自分が本当に輝けたのだという実感が、まだ全身を駆け巡っていた。
「…やっぱり、私(僕)にはステージが合ってるんだな」
独り言のように呟くと、肩越しに視線を感じた。振り向くと、神谷蓮が立っていた。ライバルであり、今日のステージでも互いに競い合った相手。だが今、彼の表情はいつもの挑戦的なものではなく、少し戸惑いを含んでいる。
「りょう、ちょっと話があるんだ」
蓮の声に、りょうは小さくうなずく。心臓がバクバクと跳ねる。何だろう――怒られるのか、それとも…?
蓮は深呼吸をして、少しだけ目をそらしたあと、静かに切り出した。
「俺…ずっと、君のことが気になってた」
「え…?」
りょうは思わず言葉を詰まらせる。ライバルの男子から、こんな告白をされるなんて――しかも自分は男の娘。どう答えればいいのか、頭の中が真っ白になった。
蓮はゆっくりと視線をりょうに戻し、真剣な表情で続ける。
「可愛いだけじゃない。君の努力、ステージでの輝き、全部見てた。…俺、君のことが好きなんだ」
胸が締め付けられる。頬は熱く、手のひらは少し汗ばむ。
「そ、そう…いう気持ちなんですね…」
りょうはなんとか言葉を絞り出す。嬉しいけれど、戸惑いもある。自分の気持ちは奏にあるのに、ライバルからこんな風に真剣に想われるなんて――。
蓮は一歩前に出て、少しだけ顔を赤らめる。
「分かってる、君には奏がいることも。だから押し付けるつもりはない。…ただ、気持ちは伝えたかった」
その誠実な態度に、りょうの心は揺れる。友情と恋心、ライバル心が混ざり合い、胸が張り裂けそうになる。
その時、控室の扉が静かに開いた。奏が現れ、優しい眼差しで二人を見つめる。
「りょう、大丈夫?」
その声に、りょうの胸は再び高鳴る。奏と蓮、二人の存在が同時に心を揺さぶる。
「…大丈夫です、奏くん」
りょうは少し照れながら答える。目の前の状況が信じられず、心はまだ混乱しているが、確かに言えることがあった――
「でも…私(僕)の気持ちは、まだ整理できていないんです」
蓮は微笑み、ゆっくりと頷いた。
「そうか、分かったよ。焦らずでいい。君が自分の気持ちに正直でいてくれれば、それで十分だ」
その優しさに、りょうは胸がじんわり温かくなる。告白という大きな出来事でも、蓮は友達としても、ライバルとしても、誠実だった。
奏はそっとりょうの手を取る。
「君の気持ちは、僕が一番よく知ってる。だから、無理に答えを出さなくていい」
その言葉に、りょうは涙が出そうになる。自分の気持ちを受け止めてくれる存在が、奏にも、蓮にもいる――それだけで心が満たされる。
夜の校舎に、静かな風が吹く。窓から差し込む夕日の光が、二人と一人の輪郭を淡く照らす。りょうは胸の奥で、強く誓った。
「奏くんと一緒に…ステージで、これからも輝きたい!」
友情も、恋心も、ライバルとの関係も――全てが自分を強くしてくれると感じながら、りょうは静かに拳を握った。
蓮はその決意を尊重し、優しい笑みを残してその場を去った。悠真もそっと寄り添い、
「りょう、大丈夫。俺たちは味方だよ」
と言って励ましてくれる。
こうして、男の娘・桜井りょうは、ライバルからの告白を通して友情と恋心の複雑さを学び、さらにステージで輝くための勇気を胸に刻んだ。
明日もまた、新しいドキドキが待っている――。




