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大事な事はパグが教えた  作者: 双鶴


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9/11

笑顔のきっかけ、転んでみる

月曜日。

ぼくは、転ぶ練習をした。

ソファの下から出てきて、ちょっとだけ足をもつれさせて、コテン。

「お前、何してんだよ」って修一さんが笑った。

うん、それそれ。その笑顔が、今週の目的。


作戦名:「笑顔のきっかけ、転んでみる」

目的:ふたりの間に“笑い”を生む。

手段:ぼくが転ぶ。ちょっとおどける。ふたりが笑う。

結果:空気がやわらかくなる。親しみが生まれる。


火曜日。

ぼくは廊下でスライディング練習をした。

足をちょっとだけ滑らせて、コロン。

「お前、サッカー選手か?」って言われた。

うん、恋のミッドフィルダーだよ。笑顔をパスするんだ。


水曜日。

修一さんが「笑わせるって、むずかしいよな」って言った。

ぼくは耳をピクッと動かした。

むずかしいけど、笑ったら、心が近づく。

ぼくは、そう思う。


木曜日。

ぼくは鏡を見た。

転んだときの顔、チェック。

ちょっと情けなくて、でもかわいくて、しっぽがぴょんってなる感じ。

「お前、演技派だな」って言われた。

うん、恋のコメディアンだよ。


金曜日。

修一さんが「笑ってもらえたら、嬉しいな」って言った。

ぼくはしっぽを振った。

笑ってもらえるよ。だって、ぼくが転ぶから。


土曜日。

風が強かった。

葉っぱが踊ってた。

ぼくはその音を聞きながら、笑いのタイミングを想像してた。

風の音と、足音と、笑い声。

全部が、ちょっとだけ重なる瞬間。


日曜日。

公園の空は、明るい灰色だった。

風がふわって吹いて、ぼくの耳をくすぐった。

佐和子さんがいた。

ベンチじゃなくて、立ってた。

白い靴が、ちょっとだけ前に出てた。


ぼくはリードを引っ張った。

修一さんがついてくる。

佐和子さんが「こんにちは」と言った。

修一さんが「こんにちは」と返した。

ぼくはしっぽを振った。準備完了。


そして、転ぶ。

ちょっとだけ足をもつれさせて、コテン。

耳がぴょんってなって、しっぽがくるんってなった。


佐和子さんが笑った。

「パギー、どうしたの?」

修一さんも笑った。

「すみません、最近転びグセが…」

ぼくはしっぽを振った。全力で。


笑いって、すごい。

空気がやわらかくなる。

言葉がなくても、気持ちが近づく。

ぼくは、そう思った。


帰り道。

修一さんが「笑ってくれたな」って言った。

ぼくは胸を張った。

うん、笑ってくれたよ。ちゃんと、ふたりとも。


反省点?あるよ。

ちょっと転びすぎた。芝生が鼻に入った。

でも、笑ってくれた。

つまり、作戦は——成功。


次は、ふたりの“共通の話題”をつくる作戦。

ぼくの好きな遊びを見せる。ふたりが話す。

ぼくはパギー。恋の応援団長。

次回作戦名:「好きなこと、話してみて」


いくぞ、来週!


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