病室の窓
生成りのカーテンのむこう
やさしいひとが歩いている
車がこぢんまりと走っている
毛糸のような家々がころころ建っている
やわらかい午前が差している
十字路がからりと晴れている
どこでも赤ん坊はまめまめしく這っている
黄色いチョウがさそっている
みんな輪郭がまどろんでいる
よそ庭で英国のブランチを摂る子がいる
手元で忘れてたミルクがゆが冷めた
ふと
トウモロコシが熟れている
あたたかな夕立が注いでいる
空が小麦色に日焼けして目をほそめている
もうすぐおやすみの時間だ
生成りのカーテンを引いた
幼児の泣く声がきこえた
世界はまだねむっていない
わたしは夢の中、ようやく自由になれる