癒しの歌と守りの幕:ひよこのめぴると一つ目鬼ギガテクの魔法
夢と日常が交差するローファンタジー。
ミオラの夢から生まれた存在の魔王ミルア。
2人のやりとりから、新たな気付きが生まれます。
夢で出逢ったキャラたちと、
ほのぼのした日常を過ごしながら、
夢とイメージの世界で様々な冒険も開始!
ミオラの心の成長の物語です。
連日の疲労が溜まって体調不良のミオラ。
彼女を助けるために夢から生まれた仲間たちが集う。
今回のお話には本邦初公開のギガテクも登場します。
ミオラ(女性)視点でまとめています。
このところ、ハードな仕事続きで
疲労が溜まり、
ヒプナゴジアの嵐のせいで夢見も悪く、
慢性的に睡眠不足になっていた。
ヒプナゴジアとは
入眠時イメージとも言い、
寝入りばなや
目覚めの時に見る夢の一種。
つまり眠りが浅いので、
酷い時には30分おきに
ヒプナゴジアで目が覚める。
最初はそれも全て
夢日記として記録に残し
分析しようとしていたが、
昨日あたりからとうとう、
それもあきらめた。
夢日記をつけ始めると、
それで、再度
寝入るきっかけを失う。
30分おきに見る夢を
数日にわたって
全て記録に残そうとしたら、
本気で倒れそうになったからだ。
心身のコンディションも不安定で、
ベッドに横になりながら、
強い不安と疲労が
じっとりと身体中に
広がっているのを感じる。
眠ったとしても、
またヒプナゴジアで起こされる。
そしてその夢も、
心を揺さぶり続ける内容ばかりだった。
たぶん心理的な
統合が近づいてるのだろう。
統合直前になると、
ヒプナゴジアの嵐に見舞われるのは、
以前にもあったことだった。
そう考えれば少し前向きになれるが、
それでもこの最悪のコンディションと
慢性的な睡眠不足は、
どうにもならなかった。
目の前が歪む。
身体が重い。
頭の中はぐちゃぐちゃだ。
何もできない、何も考えたくない。
ベッドでぐったりしていると
ミルアがそっと右隣に腰を下ろした。
するっと私のそばで彼も横になる。
何も言わずに、横からそっと
優しく抱きしめられた。
普段なら、彼の回復魔法
――安心感や温もりを与える力――で、
疲労はすぐに和らぐ。
新しい活力すら湧いてくるのに。
今日は少し違った。
心の奥の揺らぎが強く、
身体の緊張も簡単にはほぐれない。
時には夢に見た場面が幾度となく
フラッシュバックすることすらあった。
何日も続くこの状態は、
彼の回復魔法でも癒し切れないらしい。
「…ミオラ……」
ミルアが耳元でささやいた。
私は動けないまま、
彼の言葉だけを聞いていた。
「今日はめぴるとギガテクの力も借りよう……」
ミルアは心地いい低い声でつぶやく。
私が小さくうなづくと、
彼は、そっと手を伸ばした。
すると、静かにひよこのめぴると
一つ目鬼のギガテクが現れた。
彼らも2ヶ月前に
私の夢をきっかけに現れた、
内的キャラクターたちだ。
彼らはミルアよりも
先に現れた存在だった。
めぴるはいつもの定位置。
私のおなかの上に
ひょこっと現れた。
私の様子を見て、めぴるが
ハッと息を飲む音が聞こえた。
ギガテクもいつもの定位置で、
彼はベッドの右側の、
ミルアの奥に現れる。
ギガテクは何も言わず、静かに
私とミルアの様子を
じっと見下ろしているようだ。
ミルアが彼らに声をかけた。
「分かるだろう?
ミオラのために、
力を貸してやってくれ……」
おなかの上でめぴるが
ぴょこぴょこ動き、
おへその下あたりで止まった。
めぴるの手のひら大の丸い身体は
ふわふわした羽毛で心地いい。
そこで柔らかい光のような
歌声を響かせはじめた。
夢の中で、初めて出会った時も
めぴるは癒しの歌を披露してくれた。
それは彼の得意技の1つだった。
めぴるの歌が
私の全身を包み込む。
まるで呼吸と一緒に、
心身の緊張が
ゆっくりと溶けていくようだ。
ギガテクは、穏やかな力で
私の周囲を包み込む。
ベッドの上に
天蓋のような幕を張っているのだ。
そうやって私の周囲に
安全で安心できる空間を作った。
まるで私の世界が小さく・強く、
守られているような感覚。
ギガテクは
大きな身体の一つ目鬼だけど、
優しい魔法の使い手だ。
彼の大きな手が、そっと
私の髪をかき上げて、
ゆっくりと頭を包み込んだ。
私の頭をすっぽり包み込むほど、
彼の手は大きいのに、
全く圧迫感がない。
ギガテクの手に触れられると、
頭の中に渦巻いていた、
あらゆるノイズ映像や雑音が、
彼の大きな手に
吸い取られていくようだった。
ほんのわずかな動きで、
ギガテクの手が
私の頭をなでていると分かる。
そうされるといつも、
幼い頃にお父さんの手で
頭をよしよしされた時のような。。
そんな気がしてならない。
やっと深く息がつける。
目を閉じ、深く呼吸をする。
身体の奥が静かに落ち着き、
それまで感じていた
不安や疲労が少しずつ和らいでいく。
隣で静かに見守るミルアが
再び私を優しく包み込んだ。
彼の温かさに身体がゆるんだ。
そう感じた瞬間、
気を失うように眠りに落ちた。
遠くでめぴるの歌が続いている。
それだけがうっすらと
聞こえ続けていた。
夜が静かに流れ、
安心に包まれた眠りの中で、
心身は少しずつ整っていった。
それに気が付いたのは翌日の朝のことだった。
毎日22時更新予定にしています。
(更新できない時はお許しください)
最近やっと本アカのnoteで、
ひよこのめぴるの紹介ができました。
ギガテクは未だにnoteでは未登場で、
なろうが先行して初登場になりました。
★巻末の補足説明★
心理学的な統合とは?
心のいろんな断片(夢や感情)を
否定せず受け入れ、
ひとつの全体として成長すること。
自分の中のバラバラな部分
(意識と無意識)をつなぎ合わせ、
心を丸ごと生きること。
ユング心理学でいう統合とは、
夢や空想のキャラクターを
心の一部として受け入れることでもあります。
……………………
今後、noteにて、
めぴるやギガテクのキャラメイク秘話も
公開していく予定です。
ミルアに関しては、
私のnoteやXにて
キャラメイクなども載せています。
noteやXでは物語ではなく
夢分析の切り口で書いています。
興味を持った方はこちらにも
遊びに来てくださいね♡
Mioraのnote:https://note.com/mio_dream_diary
MioraのX:https://x.com/MioraDreamDiary