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魔王ミルアの不機嫌な日常:どうしても譲れないこと

夢と日常が交差するローファンタジー。

ミオラの夢から生まれた存在の魔王ミルア。

2人のやりとりから、新たな気付きが生まれます。


夢で出逢ったキャラたちと、

ほのぼのした日常を過ごしながら、

夢とイメージの世界で様々な冒険も開始!

ミオラの心の成長の物語です。


珍しく、ミルアが不機嫌に?どうして???

今回は少しだけ、トラブル発生?

たまにはこんなこともあります。

ep1.の続きから始まっています。


ミオラ(女性)視点でまとめています。


2人でランチしたあと、

ミルアが見ていたバトルものの

少年誌アニメもひと段落したので、

サブスクの新着情報をザッピングしてみる。


映画目的で登録したけど、

最近は時間が無くて

あまり見れていない。


サブスクで見るのは

もっぱらアニメが多い。

オープニングとエンディングを除けば

実質20分で見終わるからキリがいいのだ。


子どもの時から

あんなに映画好きだったのにな~。

2時間の映画が長い

って感じるようになるとはね。

私もオトナになったのかな~。


一人で、心の中で、そう思い、

ため息をつきたくなるような気分だ。


「あれ??……これ……もしかして??」


思わず、そんな声が出た。

全く知らないアニメに目が留まる。


「ねぇねぇ!ミルア!これ見て見て♡」


つい声が弾んでしまった。

食後用に淹れていた、

アイス・ミルクティーを飲みながら、

ミルアが再びTVに目を向ける。


「このキャラ、ミルアにすっごく似てない?」


銀髪、肩までのストレートヘア、

全身は黒系の衣装。

アニメタッチなのは惜しいが、

今、私の隣にいる

ミルアにかなり似ている。


CVを見てみると、

この男性キャラは

大人気のイケボ声優さんのようだった。


サイコー♡似合いそう!

心の中がホクホクする。

そう言えば、ミルアの声も

この声優さんに似てるような???

そう思った時だった。


「……何??…そんなわけは……」


ミルアの目が吸い寄せられるように

TV画面を凝視している。

彼の顔色がみるみる変わった。


「………誰だよ、コイツ?」


ミルアの声が急に低くなる。

その声に背筋がぞくっとした。

表情が硬く眉根にしわが寄っている。

珍しくミルアが不機嫌になった。


いつもは人一倍、快活で、

私にありあまる元気を

分け与えてくれるタイプだから、

その落差に驚いた。


「……ノー・チェックだから、

 よく知らない。

 今期、新しく始まったアニメみたい」


嘘は言ってない。

本当に全く知らなかった。

作品情報を見てみると

女性向け漫画が原作のようだった。


「……それで?ミオラは

コイツのこと、どう思うんだ?」


ミルアがテーブルの上に

ひじをつき、頬杖をついた。

私の方に自分のあごを

グイッとあげて聞いてきた。


「……よく知らない作品だもん、

 どう思うとか無いよ」


思わず声が小さくなってしまう。

目線が下がってきた。


「あんなにうれしそうな声出して?」


ミルアの瞳が鋭く光る。

私の一挙手一投足を見逃さないかのような

視線の強さがあった。


その言葉は、いつもと違って

冷たい刃のようだ。

ひりひりするような空気が広がる。


「……だって、ミルアみたいで

 かっこいいって思ったから。

 声優さんも大人気の素敵な声の人だし」


ゆっくりと頬杖がとかれた。

するっと背筋が伸びる。

上背があるミルアが

いつもより大きく見えた。


次の瞬間、ミルアの持つ

冷たい刀が一気に振り下ろされた。


「俺の声は俺だけのものだ!

 他の誰にも真似はできない!!」


その迫力に

身体がびくっと跳ね上がる。


こんな風に言われたの初めてだった。

素敵な声優さんの声と似てる

ってホメ言葉じゃないの?


「それに、かっこいいってなんだよ?

 こんなヤツがいいのかよ?

 ミオラの目の前には、実際に

 この俺がいるのに?」


ミルアの顔は少し紅潮していた。

……怒ってる??

……それとも嫉妬なの?

よく知らないアニメのキャラに?


じっと私の顔を見てから、

ミルアが、ふ、、、と息を吐いた。

その瞬間にミルアがまとっていた

硬さが溶けた。


「……俺は俺だろ?それはミオラが

 一番よくわかってるはずだ」


ミルアの声に、いつもの

温かみが戻ってきていた。

その声が私を包み込むと、

安心感でいっぱいになった。


ああ、そうか。

ミルアは自分の存在が

唯一無二であることに

誇りを持っている。


たとえ、どんなに

素敵なキャラに似てると言われても、

自分の個性を侵されるみたいで、

認めることができないのだろう。


心の奥底から生まれた

原型イメージって

そういうものだからだ。


「ごめんね、ミルアはミルアだもんね……」


そう言うと、ミルアはニコっと笑い、

私の頭をしなやかな手で

ポンポンなでた。


「分かればいい」


そう言う彼の手が

私に触れたのはうれしかった。

ミルアの笑顔がうつったように、

私も小さく笑ってうなずいた。


「まあ、ミオラが楽しそう話すのは

 俺もうれしい」


ミルアはニカッと歯を見せて笑った。

またアイス・ミルクティーを飲む。


「よかった。。。。

 怒られちゃったのかと思ったよ」


私も思わず笑い、肩の力が抜けた。

ミルアが軽く肩を抱いてくれた。

うれしかった。


ーーーーー


食後、自室の本棚から

分厚い本を探して取り出す。

ユング心理学の学術書だった。

学生時代に読んだ。

久し振りにそれをとりだした。


たぶんミルアは神話レベルの

アーキタイプだとは思ってたけど。。。

ということは、彼に似た要素を持つキャラが

他にいてもおかしくはない。


ざっくり本を読みなおし、

しおりを挟んでから、本を閉じる。

そばにいるミルアをぼんやりと見てると、


「ん?何だ??」


ミルアから声をかけられた。

その姿は魔王らしい威厳があるのに、

どこか少年のようなあどけなさもある。

不思議な人だと思う。


「ミルアみたいな人は、

 ほんとに特別な存在って分かったんだよ」


そう伝えると、

ミルアはうれしそうに笑った。


「だから、そう言ってるだろ??」


窓から差し込む午後の光の中、

私たちの静かな日常はゆっくりと流れていく。

似たものはあっても、唯一無二の個性は譲れない。


そんな小さな、でも確かな

ミルアの魔法を、私は胸に刻んだ。

毎日22時更新を予定にしています。

(更新できない時はお許しください)


今回のエピソードの背景には、

ユング心理学のアーキタイプ(元型)や

アニムス(女性の心の中に現れる男性像)

の考えをモチーフにしています。


似ているキャラクターやイメージは

世の中にたくさんありますが、

アニムスは1人の人間の心の奥底から

生まれた存在は唯一無二のもの。


それを侵されるのを

拒む性質があるとされています。


ミルアに関しては、

私のnoteやXにて

キャラメイクなども載せています。


noteやXでは物語ではなく

夢分析の切り口で書いています。

興味を持った方はこちらにも

遊びに来てくださいね♡


Mioraのnote:https://note.com/mio_dream_diary

MioraのX:https://x.com/MioraDreamDiary

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