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黒衣の影⑤光と影のはざまで

夢と日常が交差するローファンタジー。

ミオラの夢から生まれた存在の魔王ミルア。

2人のやりとりから、新たな気付きが生まれます。


夢で出逢ったキャラたちと、

ほのぼのした日常を過ごしながら、

夢とイメージの世界で様々な冒険も開始!

ミオラの心の成長の物語です。


【黒衣の影シリーズ⑤】

主人公ミオラ×魔王ミルアの過去編です。

④の後から始まっています。

魔王ミルアがミオラに惹かれる理由。

そして守る理由とは?


ミオラ(女性)視点でまとめています。


2日ほど更新をお休みしましたが、

やっと更新出来ました。


noteにて登場キャラの

紹介ページを用意しました

イラスト付きです▼

https://note.com/mio_dream_diary/n/n50eb4f6065e8


ミルアはふ、と深く息と吐いた。

彼の胸の奥で、

矛盾する感情が揺れているようだ……


そして、もう一度、

私をじっと見つめる。

その目はこれまでと違う

強い決意があった。


「光は良きものだけでなく、

 悪しきものも惹き寄せる。

 まるで光に集まる虫たちのように、

 美しいものと同時に影も寄せてしまう」


私はこの数日、

夢に現れてる過去の記憶を思い出し、

思わず背筋に寒気が走る。


過去のセクハラやストーカーの実体験が

夢に現れ続けていたからだった。


「俺も確かにそれを見た」


今から2ヶ月前。


初めて過去の体験が夢になって現れた直後。

ミルアはその大元が

エネルギーの残骸のようになって

私の身体に無数に

散らばっているのが見えたという。


その時のミルアの鬼気迫る言動は

今でもよく覚えている。

俺がこれを取り出してみせると言い、

彼がゆっくりと私に触れていく。


それは爪の大きさ程で

鈍く光る鉱物の

破片のようなものだった。


それまで私はそれが

自分の中にあるなどと

考えたことも無かった。


身体中に

無数に埋没していた鉱物の破片が、

ミルアの言葉によって

浮かび上がったかのようだった。


ブロンズ色の破片が身体の中で

氷が溶けるように消えていった時、

私の胸やおなかの奥の重みも、

同時にふっと消えたのだった。


ミルアの手や身体の温かさと

安心感に身をゆだねていると、

彼が全部、溶けて消えたよと言った。


それ以降、私が毎月、苦しめられていた、

月経前症候群が

全く無くなっているのだった。


不思議な現象だった。


ミルアは魔王として生まれてきたのに、

それは高度の白魔法や

ヒーリングのようだと思った。


「俺がミオラに惹かれる理由と、

 守りたい理由は同じものだ。

 お前が持つ生命の泉は美しく、尊い。

 だからこそ様々なものが引き寄せられる」


私は小さい声でミルアに問うた。


「虚無僧のミルアが、

 幼い私の元に現れたみたいに?」


ミルアは辛そうに答えた。


「……そうだ。あの時の俺が

 影の塊であったように。

 そしてこの2ケ月。

 ミオラと過ごす内に変容したようにだ」


ミルアが魔王でありながら、

癒しの魔法を使えるようになったのは、

ミルア自身が変容してきたから。

彼は、そう自覚し始めている。


そうでなければ

魔王が回復魔法やヒーリングを

どんどん使えるようになった説明がつく。


ミルアは新たな影の存在を、

心底恐れ、憂いていた。


自分自身がそうであったから、

なおさらその危うさが

よく分かるのかもしれない。


そんな気がした。


彼は私が無防備である限り、

放っておくことができないと知っていたのだ。


守る理由と――惹かれる理由は

同じ根幹から生まれる理由を、

私は少しずつ理解し始めた。


「ミルア……。だからこそ、

 今、もう一度、私の幼い時に見えてた

 虚無僧に会いに行こうって決めたんだよ」


ミルアは視線を揺るがせた。

私の次の言葉を待ってるのだろうか?

私はゆっくりと答える。


「あの時。不気味で恐怖でしかなかった存在が

 ミルアの過去の姿だったって分かった。

 それともう一度、対峙することで

 新しい可能性が生まれるはず。

 ミルアと一緒に行けば怖くないから。」


ミルアはまた深く深く息を吐いた。

頭が足れ、私の肩に彼の顔がのった。


「………分かった。絶対に俺も一緒に行く。

 ミオラを一人で行かせたりしない」


くぐもった声でそう答えた。


私は彼の大きな背中に手をまわした。

ゆっくり彼の身体に触れる。

ミルアは私の肩に頭を置いたまま、

私の腰に手をまわしてきた。


ミルアの中で、

相反する感情が揺れている気がした。


過去の自分の影が

今の自分と重なる恐怖。


指先は微かに震え、

声は迷いを漂わせる。


しかし、深呼吸をひとつ、

ふたつと重ねるたびに、

迷いを外に吐き出すようだった。


「俺の存在は……常にミオラと共にある」


その言葉は、いつも彼が

言い続けてきたものだった。

手のひらや背中から伝わる力となって、

私に届いた。


「ねぇ、2人じゃなくて、

 みんなも呼ぼうか?」


「みんな?」


ミルアの声が私の首筋にかかった。

いつもより彼の声に力がない。


虚無僧との再会は

彼の過去との対峙でもある。

もしかしたらミルアも

不安なのかもしれなかった。


「めぴるや、ギガテクや、アマリスだよ。

 みんなで一緒に行ったら、

 何でもできそうでしょう?」


ミルアの顔がむくっと起き上がり、

私を見つめニカッと笑った。


「それなら完璧だな!」


その瞬間、張りつめていた空気がふっと緩み、

私たちの間に柔らかな温もりが広がった。


さっきまで重苦しい

影の話をしていたはずなのに、

今は不思議と胸が軽くなっている。


またミルアらしい笑顔が見れて、

私もホッとしたのだった。

最後までお読みいただき

ありがとうございました♡


今回から更新時間を少し早めて

21時更新にしてみます。

(更新できない時はお許し下さい)


私のnoteやXにて

キャラメイクや

制作裏話なども載せています。


noteやXでは物語ではなく

夢分析の切り口で書いています。

興味を持った方はこちらにも

遊びに来てくださいね♡


Mioraのnote:https://note.com/mio_dream_diary

MioraのX:https://x.com/MioraDreamDiary

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