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黒衣の影②過去からの因縁

夢と日常が交差するローファンタジー。

ミオラの夢から生まれた存在の魔王ミルア。

2人のやりとりから、新たな気付きが生まれます。


夢で出逢ったキャラたちと、

ほのぼのした日常を過ごしながら、

夢とイメージの世界で様々な冒険も開始!

ミオラの心の成長の物語です。


【黒衣の影シリーズ②】

主人公ミオラ×魔王ミルアの過去編です。


ミオラの幼い頃の記憶やトラウマが、

今やっと1つの可能性に結びついていく。

①の続きのシーンから始まります。


ミオラ(女性)視点でまとめています。


noteにて登場キャラの

紹介ページを用意しました

イラスト付きです▼

https://note.com/mio_dream_diary/n/n50eb4f6065e8


ふわふわと色んな映像が

流れ続けていた。

またヒプナゴジアか。


そう思って目が覚めた。


丑三つ時。


隣ではミルアが静かに眠っていたが、

私が起きたのに気付いたようで、

彼も目を覚ました。


「眠れたか?」


ミルアの低く心地良い声が、耳元に届く。

ふわりと彼の腕が伸びてきて、

柔らかく包まれた。


私はぼんやりしながら、

さっきまで見ていた

幻のような映像を追いかけている。

幼い少女の残像だった。


ーーーーーー


小さい頃から、私は普通の子とはちょっと違った。

動物や植物、おもちゃ、そして

――見えない友達と会話していた。


私にとってそれは日常で、

特別扱いされることもなく、

ただ自然に受け入れていた。


両親に聞いた話を思い出した。


私が2歳になる頃。

庭に毎日、真っ白な猫が

日向ぼっこに来ていた。


まだ言葉もあまりしゃべれず、

よちよち歩きだった私は


「にゃーにゃ―!」


と指さして喜び、

その子と飽きもせず、

ずっと遊んでいたという。

よほど人慣れした猫だったのだろう。


時には何か赤ちゃん語で

白猫にしゃべりかけていたと。


小学生の時に犬を飼っていたけれど。

お散歩中、その子と

当たり前のように話していて、

幼馴染の子たちに何を話してるの?

って訝しげに聞かれたこともあったっけ。


動植物や、自分の大切なおもちゃやお人形。

それらがまるで自分に

話しかけているように聞こえていた。


だから私も自然と

それに返答していたのだった。


彼らは面白く、ユニークで

かわいく・美しい存在だった。


幼い私には理解できなかったけれど、

成長するにつれ心理学や

精神保健の学びを選択すると、

専門分野の知り合いや恩師が増えた。


小児精神科医の先生は、

学びの場で机に向かう私に静かに言った。


「君は普通の子とは少し違う。

 意識と無意識の間の膜が薄いんだよ」


臨床心理士の師匠は

実習指導の時に

キッパリと、こう言った。


「先天的な優れた臨床能力だね。

 肌感覚であらゆるものを察知している。

 でもプロとしてやりたいなら、

 自分でコントロールできるようになりなさい」


スピリチュアル大否定派なのに、

友達の勧めで受け始めたヒーリングの学びで、

インストラクターさんや先輩達はこう言った。


「ナチュラル・サイキックだね。

 初めから見える人だったんだね」と。


皆が異口同音に言うのだ。


意識と無意識の間の扉が開きやすく、

自然と深い世界にアクセスしている

――そんな生まれ持った

稀有な力を持っている、と。


私自身は幼い頃からずっと

当たり前の感覚だったから、

未だに稀有な能力と言われても

よく分からない。


初めから当たり前に持っているものに、

特別感は抱かないものだ。


それらを考える時、

思い浮かぶのは父の存在だった。


幼い頃から

私が常に浴び続けていた父の視線。


私の様子を見て

「普通じゃない」「異常だ」

と断定して否定された。


物心つく頃には

心の奥では自然と分かっていた。


この感覚を隠さないと危ないかもしれない、と。


だから私は他の人には

見えない存在がそばにいることも

動植物たちと会話することも

誰にも見せず、口にも出さず、

自分の内だけで受け止めていた。


1人の時だけ、

その感覚を開放して使った。


小学校に上がる頃には、

この特異性が友達や先生の前で知られれば、

変わり者として扱われるかもしれない、

という恐れも自然と身についていた。


それで、休み時間には真っ白なノートに、

見えたものや感じたものを

絵や物語にして描き出していた。


誰にも理解されなくてもいい。


でもここなら

自分の世界に没頭して

自由に表現できる。

――そんな感覚だった。


だが次第に、その様子を見た

クラスメイトや担任の先生たちが

私のノートを見に集まるようになった。


その雑多な気配がとても煩わしく厭わしくて、

うまく描けない気がして、

自然と絵は描かなくなっていった。


それ以降は絵が嫌いになってしまった。

ただ文章や工作だけは

大きくなってからも好きで続けていた。


中学に入る頃、私は自分で

そんな感覚を封印すると決断した。


ある時から虚無僧が

見えるようになったからだった。

それは私にとって初めて感じた

得体の知れない恐ろしい存在だった。


幼い時に見えていた

植物や動物の精のような、

ユニークで美しく・愛らしい存在とは

明らかに違った。


それらとは違う不気味で、

近づくのも・触れるのも憚られる

雰囲気を纏っていた。


夜の薄暗い部屋に、

時には日中、下校中の道端に、

黒衣の影がふわりと現れる。


それは空想や幻覚ではなく、どこか、

私の意識よりずっと深い場所から

現れる存在のようだった。


これを見続けたら、

いつか自分が壊れる。

そう思った。


だから、この感覚を封じる。

自然とそう決めていた。


そのために自分に言い聞かせた。

私は何も見えない・聞こえないと。


その様子に唯一気が付いたのが、

当時、一番仲の良かった男の子だった。

彼は神事を司る家系の跡取り息子だった。


母以外では彼にだけ、

これまで見て会話していた

不可思議な存在達の話をすることができた。

彼はそれを真摯に聞いてくれたのだった。


大人になった今、

様々な知識を吸収してみて、

あの虚無僧が単なる恐怖ではなく、

ましてや悪霊でも幻覚でもなく、

深層心理の反映なのではないか

と考えるようになった。


ふと、その考えに至った時。


連夜の夢の影響で

疲弊してぐったりと横になっている私を

優しく抱きしめている

魔王ミルアの象徴に結びついていった。


幼い時に恐れていた虚無僧が、

心の深層からの使者であり、

ミルアと同じ、

黒衣の影だとしたら?


全身黒一色の衣装。

虚無僧は尺八を吹き、

魔王ミルアは宇宙で一つの

天空の竪琴の唯一の演奏者だ。


ともに常闇の世界の住人のような、

強いシャドウの要素を持つ。


常に私のそばにいて、

よっぽどのことがない限り、

離れようとしない。


それは魔王ミルアそのものだと

気が付いた。


ぼんやりとした頭で

横にいるミルアにポツリと聞いた。


「……ミルア?

 ミルアは私が小さい時に見えてた

 虚無僧に似てる……」


ミルアはその言葉に目を見張った。

でも次の言葉は無かった。


ああ、これは彼の

いつもの図星のパターンだ。

そう思った。


だから、もう一度、聞いた。


「……ミルアは私が小さい時に見ていた

 虚無僧だったの?」


2人でベッドに横になったまま、

彼が小さくうなづき、

何も言わず、ただ、

私を強く抱きしめたのだった。


私は、今、振り返る。


幼い頃に見えていた黒衣の影は、

恐怖と孤独の象徴でありながら、

私の深層の力の片鱗だったと、

やっと理解することができた。


少女の時にずっと恐れていた謎の黒衣の存在は、

いまや私の傍らに寄り添う魔王の姿となって

もう一度、私の前に現れたのだった。


自分の特異性を封じた

私自身の選択もまた、

成長と統合の過程の一部だったのだと、

ようやく受け止めることできる。


そして、再び、開放せよと

無意識からの呼び声が、

ミルアを生み出したのだと悟った。

全てはこの黒衣の影に導かれた結果だった。


そこまで思い至り、

やっと全身の力が抜けた。


今は眠ろう。


次に目覚めた時、

幼い私の前に何故現れたのか

ミルアに確かめなければと思った。

最後までお読みいただき

ありがとうございました♡

毎日22時更新予定にしています。

(更新できない時はお許し下さい)


この黒衣の影は中編シリーズで

展開を予定してます。

少し重いお話になるけれど、

必ず昇華に向かい

ハピエンで終わらせます。


虚無僧はあくまで

象徴的な存在として

現れたものです。


次回もお楽しみに!


私のnoteやXにて

キャラメイクや

制作裏話なども載せています。


noteやXでは物語ではなく

夢分析の切り口で書いています。

興味を持った方はこちらにも

遊びに来てくださいね♡


Mioraのnote:https://note.com/mio_dream_diary

MioraのX:https://x.com/MioraDreamDiary

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