夢という異界④~初めての冒険で中ボス遭遇?ってマジか?!~
夢と日常が交差するローファンタジー。
ミオラの夢から生まれた存在の魔王ミルア。
2人のやりとりから、新たな気付きが生まれます。
夢で出逢ったキャラたちと、
ほのぼのした日常を過ごしながら、
夢とイメージの世界で様々な冒険も開始!
ミオラの心の成長の物語です。
【夢という異界シリーズ④】
単なる夢への興味だけで、
もう一度、夢の続きを再体験するミオラ。
そこには思わぬ展開が待っていた。
あの巨大な一つ目のサイクロップスは何なの~!?
サイクロップス戦の本番です!
魔王ミルアと出会う前のお話です。
ミオラ(女性)視点でまとめています。
怖い怖い怖い。
何なのあれ???
夢の続きを知りたい程度の
気楽な気持ちでやってみたのに
いきなり、これ!?
巨大なサイクロップスに驚き、
意図せずイメージワーク
から覚めてしまった。
夢とイメージの世界でも、
恐怖で涙があふれたが、
イメージワークから覚醒してから、
現実でも泣いていたと分かった。
リアルに戻ってきたのに、
私はパニックに陥りそうだった。
生々しい感覚がまだ
心身にこびりついていた。
ベッドに横になったまま、
ゆっくりと周囲を見渡す。
お気に入りのルームランプの光が見えた。
好きな作家さんが作っている
オリジナルの1点ものだ。
赦しの光という名がつけられた
ルームランプだった。
それを見ている内に、
自然と内心の混乱が引いてくる。
落ち着いて。
ここは私の部屋。
あの一つ目はいない。
深呼吸を繰り返す。
身体を少しずつ動かして、
身体感覚を取り戻す。
起き上がり、
いつも部屋に置いてある、
お水を少し飲んだ。
てゆか、これじゃあ、
チュートリアル気分の探索の途中で、
超初級少人数パーティが即死確定の中ボスに
エンカウントするようなもんじゃない!?
無理無理無理!!
思わず心の中で叫びたくなった。
しかもこれはゲームじゃない。
自分の心から生まれた唯一のストーリーで、
攻略情報はどこにもない上、
体感はVR以上のリアルさだ。
もうひと口、お水を飲む。
のどの中を水が落ちていくのと同時に
スーッと体の中に、
新しい通路が開いたようだ。
どうしよう?
どうする?
自分で自分に問いかける。
見て見ぬふりするのは簡単だ。
単なる想像の産物、
お遊びの一環だったで処理すればいい。
そうすれば一晩寝たら、
明日にはもう忘れているかもしれない。
でもあの一つ目の
サイクロップスの強烈な象徴性。
これは絶対に意味があるに決まってる!
というよりも、今、気が付いたなら、
見て見ぬふりしてやり過ごしても、
いつかまた同じものにぶち当たるだろう。
それが夢とイメージの世界でならまだマシで、
現実世界でエンカウントしたら、
大事故になるのは目に見えている。
だったら、ここで対峙して
向き合っておいた方がいい。
幸い今夜はまだ時間がある。
これまで抑圧してきた
自分の内面と向き合うタイミングなんだ。
だからやろう、この続きを。
むしろやるしかない!
ここまで冷静に考えられた。
なら、大丈夫。
私はきっと乗り越えられるはず。
私はもう一度、
夢とイメージの世界に戻ることにした。
もちろん震えるほどの怖さはあった。
だから夢の世界に潜る前に、
自分の下腹部に触れて、
そこを住処にしているだろう
ひよこのめぴるに声をかけた。
「めぴる、また力を貸して、お願い」
両手を当てていた下腹部が
すぐに温かくなってきた。
これはきっと
めぴるからのYesの返事だ。
そう思ってから、もう一度、
記憶をロードしたのだった。
夢とイメージの世界に戻ると、
あの崩れた部屋の端っこに戻った。
まるで、夢の中で
未到ダンジョンの
真ん中に立つような
心細い気分だ。
中ボスに挑むってことは、
これまで抑圧してきた
自分の内面と向き合う試練でもある。
今の恐怖を受け止めることが、
次の突破口につながるはずだった。
さっきよりも一つ目の
サイクロップスまでには距離があった。
助かった、、、と思った。
そこでじっくりと観察してみる。
一つ目のサイクロップスは、
ただの敵ではない。
私の心の奥底に潜む
不安や葛藤の象徴だ。
恐怖を感じながらも、
逃げずに向き合うことが、
現実世界でも生きる力になる。
一つ目の巨人は圧倒的な存在感を放つ。
筋肉質で、皮膚の下に
力がうごめくのがわかる。
一つの目が周囲を見回している。
サイクロップスとは距離があるのに、
全身に緊張が走る。
理屈では夢だから
イメージの中だから安全と理解しても、
恐怖はリアルそのもの。
身体が震え、心拍が速まる。
息が詰まるような感覚
――これはゲームやVRでは絶対に再現できない。
一つ目の恐ろしさに
一緒にいるめぴるの存在すら
忘れそうだった。
あ~、やっぱり、これって
無理ゲーの典型だよ!
そう思ってあきらめそうになった
その時だった。
めぴるがひょこっと前に立ち、
歌いだしたのだ。
小さな身体からは
想像できない力で
歌い始める。
透き通った、
素朴で美しい歌声が、
私の震えを少しずつ落ち着かせる。
歌の意味は分からない。
不思議な言葉だった。
ただそれが、その場一帯に広がり、
私の心身に染み渡り、
再び落ち着きを取り戻した。
身体の震えは止まり、
息が深くできるようになった。
めぴるの歌は、まるでRPGの
特殊スキル発動のように、
私の内面の緊張や混乱を
少しずつ解きほぐしてくれる。
これは自分の心を整える
補助魔法のようなものだった。
巨人がこっちに気が付いた。
巨体が大股で近づいてくる。
足音が地面を揺らし、
一つ目が歩くたびに、
ずしんずしんと地面が揺れた。
イメージワークの中でも
全身が緊張で硬くなる。
怖い、、、でも逃げてはダメだ。
必死の思いで踏みとどまった。
心の中で
ここは夢とイメージの世界。
でも今は私に必要な過程。
だから落ち着いて。
必ず突破口があるはず。
と自分に言い聞かせる。
イメージワークから
覚醒させれば安全なのは分かる。
でも今は、
この体験を受け止めることを選んだ。
サイクロップスが迫ってくる。
めぴるの歌が一層高く強く響いた。
恐怖に圧倒されそうになりながらも、
少しずつ冷静さを取り戻す。
理解するのだ――
この巨人は敵ではなく、
内なる私の一部なのだと。
じっとその場で、
歌い続けるめぴるを抱きしめながら、
端から見れば立ちすくんでるだけの私は
一つ目のサイクロップスの姿を見続けた。
すると、あることに気が付いた。
サイクロップスのみぞおちから胸のあたりに
何か抱え込んでいるのではないか?ということに。
そこから黒いモヤが漏れ出し、
時々、チカリと光る。
一つ目は、それを内から掻き出したい
とでも言うように、
手や指を身体に当てていた。
よく見ると、
一つ目自身がつけたような引っ掻き傷が、
みぞおちや胸に無数についている。
「……?」
じっと、そのあたりを見つめる。
もしかしたら、
あそこに何かがあるのかもしれない。
そう思うと、自然と言葉があふれる。
その言葉のまま
一つ目のサイクロップスに声をかけた。
「そこに何かを持っているの?」
まるで映画のワンシーンを
スローモーションで見ているようだった。
一つ目の大きな身体が
だんだんと動かなくなっていく。
やがてその役割を終えるかように、
サイクロップスも戸棚も一気に消え去った。
その間も、めぴるは
ずっと歌い続けていた。
その歌が一つ目の
サイクロップスにも
大きな影響を与えたのは
目に見えていた。
「めぴる、、、君の歌、チートすぎるよ…」
へなへなと腰砕けになるような気がしたが、
何とか耐えた。
めぴるに、それだけ声をかけられた。
「ぼくだけじゃないよ。
ミオラの言葉と想いのチカラだよ」
めぴるが励ますように、
そう言ってくれた。
中ボスを倒したのではなく、
心の一部と向き合い、
受け入れたのだと思った。
夢と現実の境界を行き来しながら、
自分の内面を少しずつ理解していく――
これがこのサイクロップス戦の
本当の意味なのだと、ようやく分かって
一息つこうとした。
だが、めぴるは何も言わない。
歌は止まったが、
その場をじっと見続けている。
「……もしかして、、、
これで終わりじゃないの?」
私は嫌な予感がしてきた…。
(つづく)
最後までお読みいただき
ありがとうございました♡
毎日22時更新予定にしています。
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このお話は
中編シリーズとしてまとめています。
続きをお楽しみに!
私のnoteやXにて
キャラメイクや
制作裏話なども載せています。
noteやXでは物語ではなく
夢分析の切り口で書いています。
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