夢という異界②:初めての仲間~めぴるとの出会い~
夢と日常が交差するローファンタジー。
ミオラの夢から生まれた存在の魔王ミルア。
2人のやりとりから、新たな気付きが生まれます。
夢で出逢ったキャラたちと、
ほのぼのした日常を過ごしながら、
夢とイメージの世界で様々な冒険も開始!
ミオラの心の成長の物語です。
【夢という異界シリーズ②】
今回は私が小説家になろうにて
物語を連載するきっかけとなった
2ヶ月前の夢のお話。
既に他のエピソードでも活躍中の、
かわいいキャラとの出会いを書いています。
ここからが夢の世界と深く関わる入り口です。
魔王ミルアとの出会いの前のお話。
ミオラ(女性)視点でまとめています。
2ヶ月前。
もう何年も見ていなかった夢を
久し振りに見た。
その時の記録を再び読み直している。
きっと、この先に進むために、
必要な情報が残されている。
そう信じているからだ。
その日も夢見の朝の記録から始まっていた。
ーーーーーーーーーーー
朝の光が、カーテンの隙間から
そっと部屋に差し込む。
私はまだ眠気の残る頭を抱えながら、
ベッドの横に置いたスマホを開いた。
夢日記をつけるためだ。
昨晩の夢は、今も胸の奥で
密やかなざわめきを残していた。
黄色くて、ふわふわのひよこ。
手のひらにすっぽり収まるほどの小さな存在。
名前はまだ分からない。
でも、なぜか懐かしい気持ちと、
あたたかい安心感に包まれていた。
思い出すと自然と笑みがこぼれる。
小さくて丸い身体。
つぶらな瞳。
初めから私はあの子と
当たり前のように一緒にいた。
私はスマホに夢の記録を
細かく入力する。
記憶がフレッシュな内に、
忘れないように。
また会えるかな……
会いたいな……
と、自然と心の中でつぶやいた。
ーーーーーーーー
夜になり、眠りの準備をする。
オレンジ色のルームランプが
淡い光を放っている。
ベッドで横になり、
目を閉じて、ゆっくり呼吸を整える。
頭の中で、昨晩の
夢の光景を思い浮かべる。
「もう一度、あの子に会いに行こう」
心の奥から自然に湧き上がる思いに従い、
私は夢とイメージの世界へと意識を沈めた。
そこは現実とは地続きなのに、
どこか遠くの異界のようだった。
私の身体はベッドの上にあるのに、
感覚だけは別世界にいる。
周囲は暗く、ルームランプの光は
いつの間にか無くなった。
しばらくすると、だんだん、
私の周りは暗闇ではなくなり、
柔らかな光が差し込む
静かな空間に変化していた。
――空気はふんわり温かく、
まるでその世界そのものが
呼吸しているようだ。
数秒、その場にいると、
目の前に、あの小さな存在が現れた。
手のひらサイズのひよこ――
でもただのひよこではない。
つぶらな瞳は好奇心に輝き、
羽毛は乳白色で、
丸い身体はふわふわとして
触れたくなる柔らかさだった。
……あ、この子だ。
また会えた!
そう思うと胸の奥がじんわりと温かくなる。
まるでずっと前から知っていた存在のようだ。
私は手のひらを差し出すと、
ひよこは迷うことなく、
ぴょんと乗ってきた。
小さな体が手のひらの上で揺れ、
柔らかな羽毛の感触が心に染み込む。
「ねぇ、あなたの名前は?」
問いかけると、
ひよこは少し首をかしげ、
手のひらの上で楽しそうに
ぴょこぴょこと跳ねるだけ。
「あなたと仲良くなりたいの。
名前があった方が呼びやすいから。
名前を教えてくれない?」
丸い瞳にじっと見つめられた。
一瞬、耳元にかすかに聞こえた。
めぴる……?と響いたような気もした。
空耳だったのだろうか?
これが名前だったのか自信が持てない。
「めぴる?それがあなたの名前なの?
そう聞こえたよ?」
私は勇気を出して口に出す。
ひよこはぴょんと跳ね、
うれしそうに私のおなかの上に飛び乗った。
合ってたんだと思った。
「めぴる。君の名前は、めぴるだね」
その瞬間、私は確信した――
この子は私の夢の中から生まれた、
私自身の大切な一部だ、と。
夢の中で出会ったからこそ、
現実には存在しない
小さく愛らしい生き物と繋がれた。
でも確かに、私の心には
あの子が息づいている。
めぴるともっと話してみよう。
そしてめぴると出逢った夢の中に
もう一度一緒に行ってもらおう。
この小さな存在と一緒なら、
どんな冒険も怖くない。
今朝、見た夢の続きが気になっていた。
それは何年も私の中に眠っていた
変化の兆しだと直感したからだ。
ーーーーーーーー
ゆっくり目を開けると、
いつもの自分の部屋だ。
お気に入りのルームランプが
オレンジ色の優しい光を灯している。
身体の感覚を取り戻すように、
深く呼吸を繰り返す。
手足の指先から、
少しずつ身体を動かしていく。
めぴるの感触はもうないけれど、
心の奥には温もりが残っている。
夢の世界での体験が、確かに
現実の感覚として刻まれた瞬間だった。
全身の感覚が戻ったところで、
私はベッドサイドのスマホを開き、
今、見ためぴるのことを丁寧に書く。
こうやって記録を自ら残すことが、
RPGでいうセーブポイント。
そうすると、このスマホは
具現化したコマンドウィンドウ
みたいなものかもしれない。
そう思うとおかしくなった。
もはや、これってRPGみたいね。
めぴるは異界で出逢った
初めての仲間ってことか。
私は次は、
どんなコマンドを選ぶんだろう?
仲間を得たからには、
特殊スキルも使えるのかな??
まるで鮮明な体験型VR
の世界から戻ってきた
ような感覚だった。
夢やイメージワークの記録を残しておけば、
めぴるとの冒険は、
ここからまた、
いつでも再開できるのだ。
さながら、それは
ゲームのセーブ機能と同じだと思った。
スマホへの入力が終わって、
ふと微笑む。
次はあの夢の続きに
一緒に行って、
心の謎を解き明かしてね。
だって、もう一度訪ねると
夢の中で約束したんだもん。
私の内にいるはずのめぴるに、
心の中で声をかける。
あの小さなひよこの存在が、
現実と夢という異界を
繋ぐ扉となることを私は知っていた。
そして、めぴるとの出逢いは
未知の異界に足を踏み入れる、
はじまりに過ぎないと、
あとあと、身に染みて
分かったのだった。
(つづく)
最後までお読みいただき
ありがとうございました♡
毎日22時更新予定にしています。
(更新できない時はお許し下さい)
このお話は中編シリーズとして
まとめる予定です。
明日の続きをお楽しみに!
この話の元になった夢は
noteにて夢日記を公開しています。
下記のリンクからご覧いただけます▼
https://note.com/mio_dream_diary/n/n7b72e5c7b5bc
私のnoteやXにて
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制作裏話なども載せています。
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夢分析の切り口で書いています。
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