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10 作られた“大陸の畑”

「領主が……荒れ地を……畑に……………?」


思いもよらない話を聞いて、コールはらしくもないくらいに口を開け、ポカンとしていた。

正直に言おう。僕も、とても驚いている。


エレッセ王国の二つ名、“大陸の畑”。それは、王国全土の六割を占める、穀物の畑が穂をつけるその壮大な景色から呼ばれ始めた。そのエレッセ王国、しかも平地かつ川の側という好立地から、レーヴもまた肥沃な土地だと思っていた。

…なるほど。

だとすると、つじつまが合ってくる。


「……………やってくれたね。」


思わず、口角が上がってしまう。


「……クラムさん?」


だけど、そう考えるとやはり腑に落ちないことがある。

最近生産量が上がってきたこのレーヴを、わざわざ穀物の取れない土地にした理由が見当たらない。


「……コーちゃん。僕らが本当に向き合わなきゃいけない相手は、案外すぐそばにいるかもしれないよ

。」

「……………?」


やはり、あの()()に直接聞くのが一番良いのかな…?


「そろそろ戻らないとね。……あ、そうだ。」


帰る前にもう一つ聞いておかないと。


「…セリさん。今のゼイウェンの領主、何て名前かお尋ねしても?」


そう聞くと、セリさんは訝しげな顔になる。


「…ご存じなかったのですか。」

「すみませんね、勉強不足なもんで…。」


アハハ、と頭をかきながら笑う僕を白い目で見る。

小さくため息をつくと、彼女は僕に告げた。


「……ゼイウェン様亡き後、その仕事を引き継ぐのは本来ならばご子息様です。しかし、ゼイウェン様と婦人の間には、お子様がおられません。そのため、今は婦人が引き継がれています。お名前は…………。」



さっきまで、ずっと考えこんでいた商会長……クラムさん。移動の途中、景色を楽しむ雰囲気を出していたけど……僕には分かる。

その顔に、どこか残った不信感。言葉は違うかもしれないけど、何か違和感があった。

だけど、その違和感は消えた。

彼女が………セリさんが、領主の名前を答えた瞬間、クラムさんの口元が……緩んだ。


「……なるほどねェ。そりゃあ、あいつらもイジワルしたがるわけだ。あーあ、嫌になっちゃうなァ……。」


何かは分からない。だけど、確信した顔だった。

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