表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/39

美少女おっさんと迷宮都市エルフィンランド

いつも読んでいただきありがとうございます。

 人里に降りるのが流行りになり始めて、エメラダもそれに乗っかろうとしていたのを、私が咄嗟に『人里には時間停止おじさんや種付けおじさんがいる』というエルフの世界では世にも恐ろしい怪談をし、エルフの里からの若いエルフの流出を防いだ。その代償として、私はエメラダからしばらく汚物を見るように見られたり、ハクラクは悪夢にしばらくうなされていた。それから数か月くらいし、いつものエルフの里に戻ったころだった。


 迷宮都市エルフィンランドで人間の中に交じって活動していたエルフの一人が帰ってきた。彼の名前はハナアビだ。

 ハナアビは傷だらけだった。切り傷や打撲の跡があった。回復魔法を使えば傷は消えるのだが、彼は魔力を温存するべく、死に至らないギリギリ状態でたどり着いた。

 エルフの衛兵たちが彼を詰め所へ誘導し、そして話を聞き出す。

 衛兵の詰め所で私は床掃除をしていた。

 このころの私は狩りの手伝いという名の肉壁役がなければ、村の各所の雑用をやらされていた。大体は床掃除が多かった。

 最初は、床掃除をしながら殴る蹴るが混ざるエルフの心を洗濯する仕事も追加されていた。

 あまりに体に痣を作り、不憫に思ったハクラクが、衛兵の詰め所の雑用をさせるように長に話をつけた。表向きは監視がしやすく手綱を握りやすいからだ、と言ったそうだが、長エリンは当然心が読めるわけだからその本心は伝わっている。問題は大義名分をどうするか、ということをハクラクは言葉を選んで伝えるだけなのだ。それが簡単にそしてスマートにやってしまうハクラクはイケメン。超イケメン、心も超イケメン。昔、近所のお姉さんエルフに可愛がられて早熟したというだけある。いや、性的な意味ではない。男も女もみんな恋をして成長するんだ。

 

 話がそれてしまった。

 彼ハナアビの話を要約すると、エルフィンランドで冒険者として身を立てていたエルフ数名が行方不明になった。ハナアビはエルフであることを隠しながら消えたエルフを探したのだが、迷宮都市の領主が絡んでいるところまでわかったところで、寝床にしていた宿に刺客が現れ、彼らを何とかまきながらエルフの里まで戻ってきたそうだ。

 刺客の飛び道具による攻撃や、魔法攻撃が飛び交い、時々魔物との遭遇で混戦になり、また姿を隠して逃げ続けると食料を持たずに逃げたものだから空腹の音が気になったそうだ。

 エルフの森に入ると、追いかけてくる足音がぴたりと止まり、そしてその足音、多分追手の足音だと思うのだが遠ざかっていった。

 どういうわけか、エルフの森の中には人間達は入ってこなかったからハナアビは助かった。目の前に仕留めたいボロボロのエルフがいるのに……不思議なこともあるものだ。

 

 エメラダはハナアビの肩を揺らして声を荒げた。


「ねえ、時間停止おじさんは……種付けおじさんが現れたの!?」


「……え? それは知らない」


 ボロボロのハナアビの体を揺らすエメラダは目を見開き、毛細血管が目に走っているのが見えるほど充血させていた。

 ああ、そういえば、まだあれ、ほとんどフィクションだって言っていなかったなあ。


「それで、エルフィンランドで居なくなったエルフの情報は?」


 ハクラクがハナアビの横に座り、治癒魔法をかけた。傷の周りに白色の光が現れると、その傷は少しずつ消えて行った。

 ハクラクは触手のことが無ければ、凄く姿形以前に行動がスタイリッシュで格好良い。このころは触手のしょ、の部分すら粘液もないそんなハクラクだから、道行く女性が潤うはずである。見た目だけなら現代日本でも同じだった。


「ああ、領主が関わっているところまではわかったが、その後はこのザマさ」


「領主ということは……グアテラ子爵か。グアテラ子爵は親エルフ派で、妻も人里へ降りて行ったエルフを娶ったはずだが……」


 変わり者だとか、親エルフ派などと呼ばれるグアテラ子爵はエルフの里のすぐ隣のエルフィンランドの領主だ。エルフの里であまり人脈のない私でさえもその話は耳に入ってきた。元々は冒険者で身を立てていたグアテラ子爵は、ダンジョンでの功績を得て子爵となり、迷宮都市エルフィンランドの領主となった。妻のアメジとは同じ冒険者で古くからパーティを組んでいたと聞いている。


「領主の館に忍び込もうとして、情報収集をしていたら気づかれたようで寝込みを襲われた」


「わかった、とりあえず、母……長に早急に伝えよう。狭い詰め所では息苦しかっただろう。もう宿は手配している、宿は『宿木の枕』だ」


 傷を癒してもらったハナアビは立ち上がり、詰所から出て行く、少しふらつきがあるのは疲労によるものだろう。疲労全てを治癒魔法では癒せないのだろう。

 彼が離れていくと、衛兵の詰め所の止まっていた時間が動き出したかのように、他の衛兵エルフ達が仕事を始めた。私も止まっていた掃除の仕事に手を付けた。


 エルフィンランドの件はきっと、長エリンが上手くやってくれるのだろう。あの人はスーパーチートキャラクターなのだ。里の中で一番の魔法のスペシャリストで、心まで読めるし、他にももっと隠し玉もあるのだろう。


 まあ、そういう考えは、大体フラグ一級建築士の考え方なのだ。


「スズキ、里を出て、エルフィンランドの領主の調査をしてもらいたい」


 翌日、そう、長から言い渡された。

感想、ブックマーク等ありがとうございます。

誤字脱字報告も助かります。


筆の進み遅くてすみません。

今、別のものを書き始めていてそちらに集中しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] >「スズキ、里を出て、エルフィンランドの領主の調査をしてもらいたい」  そらそうだ。  唯一のエルフじゃないエルフ側の人間となったら、そりゃあこう言う潜入任務に最適ですもん。
[一言] こんな面白くなりそうなところで止められると、続きが気になります・・・ でも気長に待ってますね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ