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3階戦(3)

本日は2話投稿します。

13時と20の予約投稿です。



 エッグブースに移動するためみんなサロンから出て行く。


(この部屋にもう戻ることはないのか……。

 最後だと思うと寂しくなる)

 部屋を出たところで立ち止まってサロンの扉の辺りを見ていたユウキに、すれ違いざまにレモンが肩をたたいた。


「ユウキ、武器はなにを選んだの?」


「あ……悩んだけどショートソード2本持ちにした」

 そう言いながらレモンとともにユウキは歩きだした。


「そうなんだ。私はロング2本。

 だれか盾もつ人いる?」

「はいはい! 大盾持つことにした!」

 レモンの前を歩いていたハルが振り向いて手をあげながら答えた。


「よし、ハル私と組んでね」

「えっ……」

 ハルは一瞬ユウキの方へ顔を向けた。

 本当はユウキのサポートをしたかったが、この状況では断りにくい。


「了解! がんばる!」

 ハルの気持ちを察したユウキは小さくフッと笑った。


「じゃあユウキ僕と組もう。僕も盾にしたんだ」

 ラバスが言った。


「うん、よろしく。

 サトルが……俺の友達も参加予定なんだけど遅れても入場できるの?」


「問題ないはずだよ、でもそうなると1人足りない状況で開始になるのかな。

 ユウキが3人分働けばいいんじゃない」

 レモンが笑いながら言った。


「3人分って……ハハハ」

 ユウキは苦笑いした。

 エッグに座ってからも部隊一覧にサトルの名前が見当たらなかった。


「やっぱり間に合わなかったのか……」


『出発まで5分前となりました。 状態確認に入ります』

『仮想領域展開します…………』

 電子的な声の案内が終わり、中継的な演出はなく、赤組が降り立った場所は山のように積み上がった岩場の一番下だった。


 ◇

「はーい、ジェームズです。

 みなさん、キング登場まではBETの変更が可能です。

 現在のBET状況はほぼ五分五分です。

 観戦に夢中になっていると、変更し忘れたってことになりかねませんので、ご注意ください!」

 ◇


「これは……渓谷っていうよりただの岩山だな」

 部隊の誰かが言った。


「さあみんな5分で環境を把握!

 ガトリング担当、回復役も位置について。

 敵のガトリングは上部、後方に設置されたガトリングから攻めること。

 射程は真横、真上までは届かない程度だから、背後からなら叩きやすい。

 バリケードに向かってガトリングが撃たれても、貫通してバリケードは無傷でその先の敵にだけ当たる。

 ソード持ちはできれば盾と組んだほうがいい。

 そのへんはみんな心得てるか。

 公開音声は、じゃんじゃん使っていいからね!」


 敵陣地との間、砦の端から20メートルも離れていない位置に、半透明のシールドがおりている。

 

「あのシールドが境なの? なんか近すぎない?」

 レモンが言った。


 赤組は敵陣地とつながっている地面部分のバリケードは1機も設置していない。

 1段目のバリケードは、2段目に設置されたガトリングの真正面以外の場所に40機が設置されている。

 それにより1段目はガトリング正面に誘導できる通路ができあがっていた。

 2段目は、2機のガトリング前方に10機のバリケードが扇形に設置されている。


「敵のガトリングを避けながらバリケードをたたき壊す。

 呼ばなくても白組は寄ってきてくれるからそれと戦いながらだ。

 基本、ガトリングは操縦者を倒すけど、ガトリング自体も叩けばダメージは入るから力自慢は挑戦してみてね」

 モニークがそう言うと部隊音声で笑いがおこった。


 すでにフォース持ちの者たちのソードは発光していた。

 フォース量の違いにより光の明るさに差がある。

 ユウキのソードは強い光の外側にもやもやとした黄色い煙のような物が立っていた。


『開始まで残り2分となりました』

 案内が流れると、敵陣営との間の半透明なシールドが徐々に透明になっていった。


「さあ、周りをみながら自分で考えて配置についてね。

 攻撃に出るのも砦を守るのも好きにして良し!

 私は赤組の砦、モニークは敵陣地の状況をホバーで把握しながら指示をだす。

 そろそろ相手の姿が見えてくる。

 みんなかっこよく構えてみようか!」


 レミのその一言で位置についた部隊員たちはそれぞれが武器を構えた。

 肩にソードを担いだり、盾を構えてショートソードを前へ突き出す者など、楽しみながらいろいろなポーズを取っている。

 ほぼ仕切りが透明になったとき、見えてきた敵の戦士たちはほとんどがロングソードでそれをみな一様に顔の前でクロスさせて立っていた。

 盾者は盾を正面に置き、その上に手を置いて、足を少し広げて立っている。

 整然と構えるその姿は美しかった。


「か……かっこいい」

 思わずユウキは部隊音声でそうつぶやいた。


「確かにかっこいいね!

 さあ、そこ以外に注目。

 最上部キングドーム脇にガトリング1機。

 2段部分にガトリング2機、その前にバリケードはない。

 1段目には1機ガトリングが配置されて周りは全てバリケードだ。

 そこの突破がきついかもしれないね。

 1段目下の地面部分にもバリケードが数機設置されている。

 できればフォース持ちは攻めに行ってほしい。

 っていっても守りと攻めだいたい半数ずつに分かれてね!

 結果はどうでもいいけど、これが最後だ。

 果てるときは、思い残すことなく!」


 ユウキは公開音声に切り替えた。

(敵に聞かれたって良い。

 部隊音声じゃラバスと話ができない)


「ラバス、音声切り替えてね! 攻めるよ!」

 いきなり公開音声で話してきたユウキにラバスも慌てて切り替えをした。

「了解!」


『シールド解除されます。

 5秒前、4、3、2、1……戦闘開始』


 秒読みが始まった時点で両方の戦士はシールド近くまで走ってきていた。


「いっけーー!」

 どちらかの戦士が公開音声で叫んだ。


 シールド前に立ちはだかっていた白組の戦士たちは、それぞれが力一杯赤組に一太刀をあびせると、迷うことなく赤組の戦士たちを飛び越えて砦に向けて走って行く。


(兵士たちは何をなすべきか心得ているんだ。 俺は……)


「ユウキ、僕がバリケードの上に飛び乗ってガトリングの弾を受けるから、その後ろのバリケードを壊してみて」

 ユウキは自分の前を走るラバスのその言葉に心が熱くなった。

(そうだ……ここにも迷いのない頼りになる戦士がいた!)


「わかったラバス。

 でも尖ったバリケードに乗ったら結構な痛みがあるはずだよ」

「大丈夫、だいぶ痛みにも強くなったから」

 その言葉でユウキは涙腺が緩みそうだった。

「了解!」


(俺、がんばれる!)


本日は2話投稿します。

13時と20の予約投稿です。

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