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そのゲーム死ぬ気でやります

本日は1話のみ、13時の予約投稿です。


(帰ることができるのに……俺はなにを迷っているんだ)


「ゲームの情報を見てしまうとやりたくなるよね。

 私がそうだったから。

 この時点で感謝する人もいたよ。

 ここに連れてきてくれてありがとうって。

 お礼を言うには早すぎるのに……」

 ミナトは少しため息まじりにそう言った。


(俺は別にゲームをしたいわけじゃない。

 興味があるのは、ゲームで自分が変われるかどうか)

「でも、このゲームに参加して前向きになれた人も多いんですよね?

 救われた者が多いのは確かだ……って言ったでしょ?」


「ああ、それは本当だ。

 いや、君には余計なことをしゃべりすぎてしまったね。

 やる気にさせてしまったかな」


 ユウキはこのゲームに参加することで、絶望的な記憶を脳の奥底に追いやれるかもしれないと思った。

 耐えがたい記憶も、ただの過去の出来事だったと思えるようになれるかもと。

 それがかなうならどんなことでも試してみたかった。


(このゲームで記憶が消せるはずはない、飛躍しすぎている。

 でも、最悪の記憶に負けない自分を見つけられるかも。

 変わることができるかもしれない……そうなりたい。

 可能性が少しでもあるなら俺は……)


「やりたいです……そのゲーム死ぬ気でやります!」

(あああ……言っちゃった)

 言うつもりではあったが実際言葉にだすと、軽率だったかもと反省する自分がいた。


 小さくうなずくミナトを見ながらユウキは思った。

(やっぱり……この人どこかで会ったことがある……どこで)


 ミナトにバトルボックスのチュートリアルの知識を頭に流し込まれたあと、タニャという世話係の女の子がユウキを部屋へ案内してくれた。

 タニャの顔立ちはもとの世界にいる外国人の女の子そのものだった。

 赤い髪に高い鼻筋、茶色く大きな瞳で無表情だった。

 言語チップのおかげで言葉のストレスはまったくない。


(この子はPW-21の住人なんだろうか……。

 俺よりは年下に見えるけど。

 見た目ではどこのワールド出身なのか区別がつかないな)


 処置をされた場所から横に動くエレベータに乗り込み、中のパネルにタニャが打ち込みをすると、右へ左へと勝手に移動し部屋まで運んでくれる。


 タニャはエレベーターの中で、ユウキと目を合わせることもなく話し出した。

「ワールドゼロの冒険者を受け入れるのはシイカ様の施設です。

 生活をするうえで不足になるものないでしょう。

 隣のグリーンゲート社のビルともつながっています。

 ゲームブースはグリーンゲート社にあるので時間をかけずに行くことが出来ます」


 部屋につきタニャと一緒に中に入った。


「腕にはめられた端末には、ゲーム内での視界パネルを疑似体験できるソフトが入っていますので、機能確認と練習をしておいてください。

 端末の上の部分をスライドしてタップすると空中にパネルが出ます。

 位置の具合は慣れてくれば使いやすい所に出せるでしょう。

 ゲーム内に入る時はその端末は外されます。

 その端末からゲームサーバーへも接続ができ、直接ゲーム内の個人情報やポイント等の書き換えができます。

 あたなには時間がありません。

 他の冒険者は早い人で2週間前からバトルボックスに参加しています。

 あなたもすぐに参加することになりますので、今から基本ポイントとステータスポイントの振り分けを行ってください。

 ゲームサーバーへ書き込みされたポイントは、あなたがゲーム装置に入ると同時にキャクターデータにロードされます。

 ゲームの中で獲得したポイントは、その都度ゲームの最中でも振り分け可能です。

 では、まずパネルを表示させてみてください」


 よどみなく説明するタニャに言われるがまま、腕にはめられたスマートウォッチほどの端末の上をスライドさせ表面をタップした。

 すると、その右上部にB5用紙ほどのパネルが表示された。


「左下にある輪が2つ重なったマークをタップしてみてください」

 空中のパネルで、言われたマークをタップすると、通信可能という枠の中に1つだけ英数字の羅列があった。


「表示されている英数字をタップしてください」

 タップすると(認証待ち……)と出た。


「認証しますね。

 これであなたと私はフレンド登録ができたのでフレンド機能をつかって話やデータの送受信ができるようになりました。

 登録者の名前は編集できますのでわかりやすい名前にしておくと良いでしょう。

 今の要領で他の方ともフレンド登録をしておくと便利だと思います。

 明日の予定や食事、その他わからないことなどは、日程表や、メニューの中のその他ヘルプを参照してください。

 それでもわからなければ私にメッセージを送信してください。

 なお、ゲームの情報は開示されているものしか見ることができません。

 毎日更新されるのでそれを確認してください。 では」


(うわぁ……おもいっきり仕事って感じの口調。

 今までたくさんの冒険者の世話をしてきたんだろうな……)

 タニャはアンドロイドなのではないかと思うほど機械的なしゃべり方をしていた。


 部屋を見渡すとやはり真っ白でまぶしくて落ち着かなかい。

「少し暗く」

 ユウキが試しに声をだして言ってみると照度が落ちた。

(おお、すばらしいー!

 って……なんで俺、普通に感動してるんだよ、おかしいだろ)


 この世界に来て初めて1人になったせいか、ユウキは少し冷静さを取り戻した。

 とんでもない経験をして流れ作業のようにここまで来てしまった。

 普通なら理解しがたいこの状態になじみかけている自分に対しての違和感に今気づいた。


(ゲームを死ぬ気でやるなんて言っちゃったしな。

 でもこのまま帰ったらもっと後悔したかも。

 先に進むしかない……)


 頭に流し込まれた情報は、チップ情報をタップすると全て確認できた。

 ユウキは、今まで遊んでいたMMOの中途半端な知識で、まともなステータスポイントの振り分けができるとは思わなかった。


(死んだら本戦への選抜からは落ちることになるんだよな……きっと。

 あれ、その説明がない。

 まだ開示されていないってことか?

 いきなりステータスポイント振れって言われてもバトルボックスの予備知識がなさすぎる。

 何度でも復活できると思って火力に全部ポイントを振って、実際は死亡回数に制限があったら目も当てられない。

 PTについては5人1組で各人で選ぶとチップ情報にはあったけど、メンバー次第でステ振りの内容も変わってくるだろうし。

 このままだと考えているうちに朝になりそうだ……とにかく情報がほしい。

 ゲームを始めてる先行メンバーに聞いたほうが良いに決まってるよな……。

 春香と大野に会えないだろうか、2人がいれば少しは心強いのに)


 情報を持っている人を探すため施設内を探索しようと部屋を出たものの、横移動のエレベーターで部屋まできてしまったせいで建物の中のことがまったくわからなかった。

 部屋の照明のこともあったのでまた声に出してみた。


「ここのマップオープン」

「おお、ちゃんと表示されたよ、便利だな」

 カフェらしきものや売店のような場所が近くにあったので、まずはカフェへ向かってみると、たくさんの冒険者がそこにいた。


 ◇

「今宵もグリーンゲートをご利用いただき誠にありがとうございます!

 いつものジェームズです!

 第2回マクベス様(白組)とシイカ様(赤組)の再戦についてのご案内です。

 訳あり冒険者200名もようやく集まったようであります!

 ここからバトルボックスで150名がふりおとされます!


 ワールドゼロの冒険者様は16~20歳までの自殺未遂者となっております。

 自殺のないこのPWー21の皆様にとっては信じがたいことでしょう?

 死にたきゃ仮想で死ねって思いますよね!

 ワールドゼロには苦悩がいっぱいなのですねー!


 さーてその同情を投げトークンに変えて個人を応援してあげて下さい!

 投げトークンが開始されるのはメインベースでの戦闘が開始されてから!

 悩み多き若者を応援してあげて下さいね!


 今回の仮想帯フィールドはアークエンジェル社からのご提供です。

 私も大好きサンジェスト様の会社でございます!

 もちろん放映権もアークエンジェル社ですのでこの宣伝画面から視聴登録お願いします!

 ゲーム開始まであと5日。 スポンサーは現在20社となりました!


 尚、ワールド間の異なる言語知識に関しチップへの書き込みがまだ済んでいない方はグリーンゲートのサイトよりダウンロードください!」

 ◇


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