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3階戦(1)


 電子音がなり、出かけようと思ったユウキのもとに上級戦のゲーム情報が通知された。


 赤組3階戦情報

【スケジュール】

 3日(1)『最上階戦』上級戦士 20名+11名 合計31名

 午前0時開始~1時まで戦闘後、各組のキングが登場(どちらかの陣営の戦士が5名になった場合もキング登場)

   (2)『椅子取りゲーム』 生き残った戦士全員

 キング登場~どちらかの組が敵のキングを倒し椅子を壊すまで。


【3階戦;フロア戦闘、敵組討伐、椅子取り】

  地形・環境:メタルフロア

  消滅回数:(1)1回まで可(復活までのインターバル10秒)

       (2)復活なし


【追加情報】

  メタルフロアに砦の組み上げを行い、キングドーム登場までは砦で戦闘を行います。


  砦の組み上げ(組み上げは21時~22時までです)

  ・地形オーバーレイ(渓谷)

   サイズ(100M四方 3段 頂上部はキングドーム)

  ・設置品

   回復塔  4機

   木製バリケード 幅3M 50機

   設置型ガトリング盾付き 4機 (200発連射後チャージ10秒)

   キング登場時までに相手側の設置品を多く破壊できた組は、キングの生命ゲージが2倍になります。

   ※設置品はキングドームが開くと同時に消滅します。


  配布品:ホバーボード(飛行上限10M)2機

   ※配布品はキングドームが開くと同時に消滅します。



【選択できる装備品】

  フォース装備はソード系のみ。


 【武器】

   1 レッドフォースロングソード (片手用、両手装着可)

     攻撃力2000 クリティカル攻撃+10%

   2 レッドフォースショートソード(片手用、両手装着可)

     攻撃力1500 攻撃速度+10% 与えたダメージの3%生命回復

   3 大盾 (片腕用、両腕装着不可 レッドフォースショートソードのみ組み合わせ可)

     攻撃力200 カウンター攻撃350 盾に被弾時生命回復5%

     回避率+10%


  ※魔力ステータスがあればソード系は回復玉の使用が可能。


 【防具一式】

   装備名:レッドフォース 

   防御力5000 回避率30% ダメージ減少20%


【ポイント】

 ・中級からの参加者は現在所持しているポイントでの参加となります。

 ・上級からの参加の方は以下の通り。

  『基   本』 20,000ポイント

      (生命力、魔力、持久力)各自で振り分け

  『ステータス』 10,000ポイント

      (回避、ダメージ減少、攻撃速度、移動速度)各自で振り分け


 ※戦闘中に得られるポイントは随時ポイント振り可能。


■参加賞■

【3階戦】 350万ブール


■視聴者参加■

【BETイベント】白組か赤組の二択賭け(2階戦から継続中)

【突発イベント】 未定



(砦の組み上げって……ゼロでやっていたゲームの攻城戦みたいだ。

 復活は1回だけで、キングが登場したあとにやられれば即離脱になるってことか。

 フォース武器はソード系だけ。

 ガトリングの攻撃を受けるなら盾を持ちたいけど……)


 再び電子音がなりメッセージが届いた。

『選抜上級者20名は20時に、2階戦勝者11名は22時に赤組サロンに集合。

 上級組部隊長 レミ』


(うおぉぉ! レミだ!

 上級の部隊長なんて、さすがレミ!

 レミと一緒に戦えるのか、たぶんアッガイも一緒だ。

 楽しみだなあ。

 上級者の集合時間が早いのは砦の組み上げをやってくれるのか?

 俺たちは22時。

 最後の……戦いか。

 ゼロに帰ることを選択したら、ここの風景も見納めになる。

 残された時間はあまりない。

 はぁ……とりあえず外の空気を吸ってこよう)


 ユウキは配布された軍服を着ると『戦士たちの広場』近くの屋外通路へ向かった。

 夜間のような幻想的な光景は期待できないがそれでも見に行きたかった。

 ゼロに戻るなら、21の世界を垣間見た程度で終わりになってしまう。

 自分の心を知るためにも、あの場所で考えてみたかった。


 屋外通路から玉子のようなライトが灯されていた庭園に足を踏み入れた。

 ライトはついているが、日の光で近くまでいかないとわからない。

 庭園の中に石のベンチがいくつかあり、小さな噴水の近くのベンチに腰を下ろした。

 視界に映るエッグブースやその周りに立ち並ぶ観戦ルームは、青空を背景にした絵のようだった。


(レモンは軍でも企業でもって……言ってたけど。

 専門的な知識もないし、特に運動が得意でもない俺が軍に入ったとしても一兵卒にしかなれない。

 それは別にいいけど、怖いのは命令に従うこと。

 逃げることもできないだろう。

 軍人になるには相当の覚悟がいる。

 自分の意思をひた隠しにするとか、自分の意に反してとか……。

 もうそういうことをやりたくないから21に残りたいのに、軍に入ったら元の木阿弥になる。

 もし残るならあまり縛りがきつくない企業とか……。

 あー! 俺って甘いよな!)


 ユウキは髪をくしゃくしゃと自分でかき乱して「あー!」と声を出した。


(そんなうまい話がそうそうあるわけないじゃん……。

 でも、ダメならゼロに帰ればいいか。

 甘い考えで生きてもいいかな、少しくらい)


 空を見上げて大きくため息をついた。


「ユウキ!」

 ビクッとして声のする方へ目をむけるとそこには白い軍服を着たエイデンがいて、こちらに向かって歩いてくる。


「エイデン……か」

 ユウキは手を上げた。


(あっちの軍服もかっこいいな……白地に赤のラインか

 でも白はちょっと弱そうに見える)


「庭園から叫ぶ声が聞こえてみんなびっくりしてたよ」

 そう言いながらエイデンが視線を向けた先には軍のメンバーが5,6人立ってこちらを見ていた。

 エイデンが手で合図をすると、その者たちはそこから立ち去った。


「ハハ……恥ずかしいところを見られちゃいました。

 ちょっと考え事をしていて」


「もう昼になるけど食事がまだなら一緒にどう?」


「えっ? いやあ、一応敵チームだし……それになんか怖いです!」


「プッ。 怖いってなんだよ。

 敵って言ってもゲームだからね。

 終われば友だ」


 ユウキは、終われば友というその言葉に、少し感動した。


「じゃあ……行こうかな」

 エイデンはニッコリ笑うと先に歩き出し、ユウキはそのあとをついていった。


 戦士たちの広場に入るとたくさんの白い軍服が目に飛び込んできた。

 敷き詰められた赤い絨毯で白い軍服は際立って見える。

 前にここを訪れた時と同様に部屋の中央にある噴水の周りを囲むように白組の兵士たちが談笑していた。


 部屋のあちらこちらに置かれた丸テーブルは食事を取っている者たちが使っている。

 前回、軍人の迫力に圧倒されたユウキたちは、再び戦士たちの広場へ行こうという者はいなかった。

 部屋に入ってもエイデンの後ろで、体半分を隠すように歩いていたユウキだった。

 よく見ると奥の方に青地に白の軍服が見える。


(上級組の人たちがいる……。

 あの人たちは相手が軍人でも、まったく意に介さないんだ。

 俺も……自分に自信を持ちたい)


 敵のメンバーと一緒に入ってきたユウキに、赤組のメンバーたちが怪訝そうな表情を浮かべた。


(うわぁ……顔を上げられない!)


 エイデンに促されるまま敵のチームのテーブルに座ったユウキの前に、白組のメンバーが食べ物や飲み物を運んできた。


「諸君、もうわかっていると思うが、彼がユウキだ」

 エイデンがそう紹介すると、軍人たちは笑顔で握手を求めたり自己紹介をしてきた。


「上の者から聞いたが、中級でのあのチート並みのエネルギーは君が出したものらしいね」


「は……はあ」


「ユウキ、ゼロには戻らずに軍に入らないか?

 兵士になれとは言わない。だが軍には君が活躍できる場所がある」


(ま……まいったな。

 こんなに囲まれてたら逃げられない。どうしよう)


「うちのユウキたんを勧誘しないで!」

 聞き覚えのある声とその呼び方はアッガイだった。


「え? ユウキたんって……」

 エイデンが驚いた様子でアッガイを見た。


「アッガイ!」

 ユウキは久々に会えたうれしさでアッガイに抱きついた。


「よしよし、ひさしぶりだねユウキたん」


「うん! 会いたかった!」


「えっと……こちらは」

 額に指を置いて困り顔のエイデンが聞いた。


「赤組最上級戦、副部隊長のアッガイだ」

 アッガイは一瞬で表情や声まで変わり、背筋を伸ばしてエイデンを見下げるその姿は威厳すら感じさせた。


(いきなり口調が……ってか声まで変わった!)


「我々の仲間だ、話は戦いが終わったあとにしていただきたい。

 申し訳ないが連れていく」

 そう言うとアッガイはユウキの手首をつかんで引っ張るように連れていった。


「エイデンさん、みなさんすみません。また……」

 引っ張られながらユウキはエイデンの方に顔を向けて謝った。


「あ……ああ、またなユウキ」

 あっけに取られたエイデンは、口を半分あけたままユウキを見送った。

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