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2階戦(1)

 午後になると公開されたゲーム情報が通知された。


 赤組2階戦情報

【スケジュール】

 2日 『2階戦』   中級戦士30名+下級者19名 合計49名

 午前0時開始~1時で階層閉鎖(火炎竜討伐成功か、どちらかの陣営の戦士が10名になった場合も階層閉鎖)


【火炎竜討伐】

  地形・環境:洞窟

  消滅回数:2回まで可(復活までのインターバル10秒)


【追加情報】

  配布品:ホバーボード(飛行上限10M)全員に配布



【選択できる装備品】

  全てフォース装備となりフォースはレベルC程度を上限とした出力のみ可能。


 【武器】

   1 レッドフォースロングソード (片手用、両手装着可)

     攻撃力2000  氷魔法付与可 クリティカル攻撃+10%

   2 レッドフォースショートソード(片手用、両手装着可)

     攻撃力1500  攻撃速度+10% 与えたダメージの3%生命回復

  ※魔力ステータスがあれば両武器とも回復玉の使用が可能。


 【防具一式】

   装備名:レッドフォース 

   防御力5000 回避率30% ダメージ減少20%


【ポイント】

 ・下級からの参加者は現在所持しているポイントでの参加となります。

 ・中級からの参加の方は以下の通り。

  『基   本』 20,000ポイント

      (生命力、魔力、持久力)各自で振り分け

  『ステータス』 10,000ポイント

      (回避、ダメージ減少、攻撃速度、移動速度)各自で振り分け


 ※戦闘中に得られるポイントは随時ポイント振り可能。

  増えたポイントは上級戦に引き継がれます。


■参加賞■

【2階戦】 100万ブール


■視聴者参加■

【BETイベント】白組か赤組の二択賭け

【突発イベント】 未定



(武器は2択か……火炎竜がどんな大きさなのかわからないけどリーチが長いほうが被弾することは少ないはず。

 でもどうせうまくよけられないだろうし、回復玉を使うために魔法ステータスを振るのも気が進まない。

 それなら叩くたびに少しだけど生命回復ができるショートソードかな。

 下級の時のポイントは生命、回避、ダメ減、攻撃速度って振ったけど、火炎竜の攻撃を回避出来る気がしない。

 回避のポイントを攻撃速度と移動速度に振ってしまおう。

 って、何が最良かなんて正直よくわからないけど、少しでも長い時間楽しみたい)


 22時近くになり、黒に銀の装飾品がついた軍服を来たユウキは赤組サロンへ向かった。

 この軍服の上腕部分にも赤組を示す太く赤い帯がついている。


 サロンに入るとハルやラバスが目に入りすぐにそのそばに座った。

「ユウキ、遅いよ。集合時間ぎりぎりじゃない!」

 ハルがほっぺたをふくらませていた。


 壇上にライトが当たりハクヒが登壇した。

「シイカ様は都合によりこちらに来ることができませんのでモニター越しでのご挨拶とさせていただきます」

 サロンのモニターにシイカが映し出された。


「みなさま、ゲームへの参加ありがとうございます。

 みなさまの戦いで得られるデータが武器などの戦いのツールだけではなく、あらゆる分野で活用されていきます。

 中級の戦いから条件付きではありますが、フォース装備も使用可能になります。

 中級者メンバーのフォース認定者の人数は赤組白組ともに同数になっています。

 各組ともレベルBが2名、レベルCは3名ですが、下級戦から上がってきた方々のフォースレベルの把握はできておりません。

 中級戦で新たにフォース認定される方も出るでしょう。

 自分の未知の能力に期待して、思い切り楽しんでください」


 大きな拍手と歓声が湧き上がった

 モニターが切られハクヒが壇上から去ると、入れ違いにモニークが壇上に立った。


 ハルが飛び跳ねながらモニークに手を振っている。

 気づいたモニークはチラッとこちらを見たが1つ咳払いをして手元のモニターに目を落とした。


「す……座れ、ハル」

 ユウキがハルの服の裾を引っ張って座らせた。


「諸君、中級戦部隊長のモニークだ。

 副部隊長は気の強いレモンちゃんが務める」

 モニークの後方で腕組みをして立っているレモンがチッっと舌打ちをした。


「私が入手した戦闘情報と注意点を伝えよう。

 火炎竜には弱点が数カ所あり、そこにヒットすると他の部位の数倍のダメージを与えることができる。

 しかもその場所はクリティカルヒット成功率が30%増しだ。

 弱点をいち早く見つけて効率的に叩くことができた組が勝機を得るだろう。

 配布されるホバーボードは上限10メートルだが火炎竜は状態を起こすと12メートルだ。

 避けにくい大きな攻撃がいくつかある。

 いずれも前兆があるはずだからみんなでいち早くそれを見つけること。

 わかっている攻撃は20メートルほど上昇して辺り一帯に火炎を吐く。

 羽を広げて全身から火炎を飛ばす。

 どちらの攻撃も広範囲で威力も強いが、前兆を見極めることができれば回避は不可能じゃない。

 今回の勝負は階層が閉鎖になる時点での竜に与えたダメージ量で判定される。

 敵の戦士には攻撃してもダメージは入らないからね。

 それと洞窟内での戦いだから岩崩れなどの自然被災によるダメージにも気をつけて。

 今回下級組のがんばりで相手チームより人員は4名多い。

 だからちょっと贅沢して回復役作っちゃおうかなって。

 やりたい人がいればだけど。

 生命と魔法ステータスに特化した回復役に徹したい者は申し出てくれ。

 先着8名までだ。それ以外の者はできるだけ攻撃よりにステータスを振ってほしい。

 PTは作らずに部隊だけだから、気づいたことは遠慮なく部隊音声で叫んでくれ。

 個人的には対人戦より火炎竜みたいなボス討伐的なゲームが大好きだ。

 仲間である君たちと思い切り楽しみたい。

 俺つえぇしたい人は好きに頑張ってくれ。以上」


 拍手とともに笑いが起こった。


「緊張していたけど気が抜けたっていうか……。

 楽しめそうな気がしてきた」

 ユバルがうれしそうにそう言った。


「やっぱりモニーク最高! 優しくて強くてできる男!」

 ハルは席を立って手をたたきながらそう言った。


(レモンって海賊ゲームで一緒だった人だ。

 確かに気が強かったような気がする。

 それにしても……訳あり軍団、どう見ても訳ありだったことを忘れているだろ。

 すごいなゲームの力)


 下級戦のときと同様に11時30分をまわると、エッグブースのテーブルには赤組、白組ともにかなりの人数が席についていた。

 白組の軍服は緑地に黒のラインが入った地味なものだった。


(軍服のかっこよさでは勝ってる!)


 テーブル番号の通知を受けてそのテーブルにつくとレモン以外は初めて顔を合わせる人たちだった。

 レモンが小さく手のひらを上げて挨拶をしてきたので、ユウキもそれに答えて軽く頭をさげた。


 ◇


『出発まで5分前となりました。 状態確認に入ります』


「それでは、よい冒険を」

 管理者がそう言った瞬間、ディスプレイは切られいつもの状態チェックが始まった。


『仮想領域展開します…………』


 電子的な声の案内が終わると戦いの扉が開かれる。

 中継的な演出はなく、赤組全員が降り立った場所は戦闘フィールドではなく安全地帯のようだった。

 そこは大きな岩穴で、1つしかない出入り口には透明のカーテンのような光がおりている。

 その出入り口から見えるのは赤いうろこに覆われた巨大な足だった。


 モニークがメインモニターに映し出された。

「ここは安全地帯らしいね。すぐそこに竜がいる。

 ここに仲間しかいないということは、白組の安全地帯もあるんだろう。

 ここから出たら左右二手に分かれてすぐにホバーに乗るんだ。

 回復担当はなるべく離れて死なないようにみんなを助けてね。

 さっきも説明したけど前兆に気づいたらすぐに叫ぶこと。

 バルタン、安全地帯から外に出てまた戻れるか確認を頼む。

 安地が使えるようならここに逃げ帰るのもありだ。

 消滅したあとの復活場所が安地なら問題ないけど、消滅した場所へ復活してしまったらいったん端まで逃げて体制を立て直してから戦うこと。

 まあ、あとは好きにやって。

 愛すべき仲間たちよ、いざ炎の戦場へ!」


 モニターには顔の前にショートソードを縦にかまえたモニークの姿が映し出された。


「おおー!」

 みんなが一斉に声を上げ、出力された部隊音声が下級戦のときのように割れた。

 安全地帯から外に出た戦士たちはすぐにホバーに乗り宙へ飛び出した。


 このタイミングでジェームズから2階戦開戦の告知が流れ、観戦者のBETイベントが開始された。


「安全地帯、再度入場可能です!」

 バルタンが叫んだ。


「ありがとうバルタン。

 範囲攻撃の射程に入ってしまいそうなら安地利用も視野にいれてね。

 GO!」


 モニークのかけ声とともに一斉攻撃が始まった。

 白組の戦士も同じように叩きまくっている。


「対人戦はないけど見分けるための色を説明しておく。

 マップ上の部隊メンバーは黄色、白組の戦士はオレンジの点。

 直接見ると体の外側も黄色とオレンジになっている」

 レモンが部隊音声で言った。


 両陣営の総攻撃でも竜の生命ゲージはまったく減らなかった。

「弱点らしいとこないか?」

 部隊の誰かが叫んだ。


(弱点……あの方法で探れるかも知れない)

 ユウキはゴーレム戦や海賊ゲームのときに敵の急所を見抜いた方法が使えるのではと思った。


「ユウキ! 海賊ゲームの時のあれやってよ!」

 同じことを考えていたレモンが叫んだ。

「はい! やってみます!」


 ユウキはレッドフォースショートソードのブレードを額にあて通じ合いたいと願った。

 ブレードが徐々に輝きを増し熱を帯びた。

 ソードの先を火炎竜に向けてユウキは叫んだ。


「熱をみせろー!」


 ソードの先から小さな稲妻のような光が複数飛び出したが、場所を特定できたのは尻尾の付け根だけだった。

(できた!)


「尻尾の付け根に弱点があります!」

 ユウキが部隊音声で叫んだ。


「へー今の稲妻みたいな光は君が出したのか?

 かっこいいことするね。君が仲間で良かったよ。

 尻尾の付け根とは難しいが攻めてみようか。

 もし他も確認できるのであれば……」

 モニークがそう言いかけたとき竜の後ろ足の地面が赤く光った。


「地面が光った!何かくる!逃げろ!」

 ラバスが叫んだとほぼ同時に竜は羽を広げ上体を持ち上げた。

 その広場の空間の8割ほどが真っ赤に光り竜の攻撃エリアになった。

 咆哮とともに竜の全身から火炎が放たれ、全ての戦士の7割ほどが消滅した。

 赤組の残ったメンバーは安全地帯に避難し、回復役がすぐに回復玉をまき散らした。

 回復役は全員無事で、消滅したメンバーは10秒後に生命力も全回復されて安全地帯に復活した。


「おお、復活は安全地帯だ、良かった。

 さーて、思ったより攻撃が痛いね。

 瞬殺されちゃったか。

 攻撃受けたけどギリ生き残った人いる?」

 モニークが聞いた。


「はい、自分生き残りました。生命力のこり1000切ってましたが」

 そう答えたのはユバルだった。


「君、生命力いくつに振ってるの?」

「2万です」

「よし、まねしてみよう。あ、私はね。

 別に強制じゃないよ」

 モニークがそう言うとみんな一斉にステータスの振り直しを始めた。


「一発でしななければ回復役にがんばってもらって消滅は防げるかもね。

 にしてもこの強さだと早々に離脱者が出そうだな。

 誰か離脱者の報告を声でやってもらえないか?

 戦闘中はモニターをチェックしていられない」

 モニークが言った


「はい!私が報告します。メルカです!」


「ありがとう、メルカお願いね。

 それとユウキ、さっきのやり方で他の弱点も探せるかな?

 尻尾の付け根はリスクが大きすぎる、まあトライしてみてもいいけど。

 もう少し安全にたたけそうな所を探してみて」


「はい! やってみます!」


「さっきの攻撃範囲、避けようがないけどどうする?」

 レモンが言った。


「はい!回復役のハルです!私見てました!

 ホバー上限いっぱいの位置にいたんですが、その下1メートルくらいは攻撃範囲に入っている場所はありませんでした。

 だから安全地帯に入れなければ上昇するのがいいかと!」

 ハルが元気よく声をあげた。


「ありがとうハル。

 みんな、聞いての通りだ。

 竜の後ろ足のあたりの地面が赤く光ったら安地へ入るか思いっきり上昇ね」


「了解!」

 部隊員たちが答えた。


「対面に白組の安全地帯があったけど、あそこにも入れるのかな?」

 レモンが言った。


「使えるかもしれないが試している時間はない。

 こちらの安全地帯だけを使う方向で。

 よし、じゃあみんな出るよ!」

 モニークのかけ声で一斉に安全地帯を飛び出した。


(きっと叩きにくそうなところに急所があるはずだ……。

 頭のあたりを探ってみるか。

 竜が攻撃を受けているときは、比較的身を低くしているからホバーで近づける)


 ユウキは竜の頭の近くを飛んだ。

 前足で払われた両組の戦士がどんどん消えていく。


「熱をみせろー!」

 ソードの先から小さな稲妻のような光が複数飛び出し、確認できたのは右のツノと右羽の前方の付け根だった。


「右のツノと右羽の前方の付け根に弱点あり!」

 ユウキが部隊音声で叫んだ。


「ありがとうユウキ! みんな右のツノいってみようか!」

 モニークがそう言った時、竜の生命ゲージが減り始めた。


「白組、弱点を確認したようです!

 左前足の先を集中的に攻撃しています!」


「先を越されちゃったか。でも今がチャンスだ。

 足を攻撃されてるせいで姿勢は低いままだからね。

 竜が足下に気を取られているうちに全速で頭に近づく!

 みんなツノをたたきまくれ!」


 両方の組が弱点を一斉に攻撃したことで竜の生命ゲージはみるみる削れていき、あっという間に7割ほどになった。

 そのとき今度は竜の前足部分の地面が赤く光った。


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