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1階戦終了

 白組特設会場で観戦していたマクベスのもとへ側近のエルザが駆け寄り耳打ちをした。

 マクベスは険しい表情で会場を後にし、残されたエルザが代わりに試合を見届けることになった。

 同じ頃、赤組特設会場のシイカのもとへも運営サイドのブースにいたシュリが来ていた。

 シュリに何かを告げられたシイカは驚きの表情を見せてシュリとともに部屋を出て行った。

 そしてシイカ側近のハクヒがシイカの代わりに観戦席についた。


 現在の赤組の人数と装備は

 PT1 2名 盾2

 PT2 3名 盾2 ホバー乗りボーガン1

 PT3 4名 盾2 ボーガン1 ホバー乗りソード1

 PT4 3名 盾2 ホバー乗りソード1

 PT5 5名 盾2 ソード2 ホバー乗りボーガン1

 PT6 5名 盾2 ソード2 ホバー乗りボーガン1

 PT9 3名 盾1 ソード2


 ホバーボードに乗った敵のソード4名が交差するように飛びながら赤組のソードを追いかけた。

 その後ろから押し寄せる敵は多少被弾しながらも盾を叩いた。

 盾の中にいるボーガンがハルだけなのでなかなかダメージを与えられない。


「ソードは背中をみせちゃだめだ!逃げるなら盾の中に!」

 ユウキが叫んだがホバーにのった敵に簡単に倒されていく。


 そこで再び大きな地響きがして最後の縮小が始まった。

 火山岩場や溶岩だまりの一部も消え、火山までも消失した。

 大きな溶岩だまりとその周りに点在する小さな溶岩だまりの間だけが足をつける場所だった。


 エイデンはホバーを自在にあやつり、地面に平行になりそうなほど体を傾けて赤組の戦士を叩いてすり抜けていく。

 途中、ホバーから飛び降りるとたじろぐ赤組のソードを容赦なく一刀両断した。

(強いなエイデン……って感心してる場合じゃない!)


「PT5とPT6のソードが2名ずつ計4名減!

 21名残。あと6名でこちらがゲームオーバーになります!」

 メルカが叫んだ。


 サミーが敵のホバーを追いかけながらボーガンで連射をし、ラバスとリキが逃げる敵を挟み込むようにたたいて1人消滅。

 盾者がカウンターアタックをするも離脱1名。

 盾の攻撃の対策をたててきたようで、うまくかわされてしまう。


「敵1人離脱のこり2名!

 みなさんがんばりましょう!」

 再びメルカが叫んだ。


「す……すみません。溶岩サイド、熱くて痛くて意識が飛びそうです。

 もう盾を持っていられません」

 前方には小さい溶岩だまりがたくさんあり盾全員で陣を築くには今の場所しかなかった。


「私が援護するから陣形を2つか3つにして!

 ボーガン全員、私の近くめがけて連射してね!」

「了解!」

 そう言うとチャムは盾の陣形の真ん前にホバーを解除して降り立った。

 ホバーに乗っているボーガン2名と盾の中にいるハルが一斉にチャムの周辺に連射をした。

 チャムは白組の真正面でボーガンを連射し、その間に盾者は陣形を解いて後方にさがりつつ4人ずつ3つの陣形になった。

 20秒ほどのボーガンの連射が終わるとチャムは敵のソード数名に一斉に叩かれて果てた。


「チャム!」

 ユウキが叫んだ。

(ゲームなのに……ただのゲームなのに、俺泣きそうだよ!

 俺もう残れなくていい、ここで終わりでいい!)

 ユウキは盾と反対の手にダガーを握った。


 ボーガンが止まった隙を突いてPT6のホバーにのったボーガンがエイデンたちにやられて離脱。

 リキとラバスは地上で戦っていた敵を両側から挟み込むように刺して敵1名離脱。


「PT2副部隊長とPT6のボーガン1名 計2名減。

 19名残。こちらはあと4名、敵はあと1名で……」

 メルカがそう言いかけたとき。


 ユウキは盾を捨てて思い切りジャンプすると近くの兵士の頭に手をつきながら体を回転させてその兵士の背中を刺した。

 刺した戦士は黄色く光って一瞬で消えた。

 他の戦士がユウキに襲いかかろうとしたが、全てが止まった。

 視界は遮断され一瞬真っ暗になったかと思うと再び視界が戻った。


『メインベース1階層、通常フロアへマッピングされます。

 青空の広間展開』

 機械的な声で案内が流れた。

 1階層のフィールドに展開していたゲーム環境がはずされ、青空の広間と名付けられたフロアに置き換えられた。

 先ほどまでの戦闘領域が広間として認識される。

 使用するフィールドは狭められ視覚効果が拡大された。

 赤組、白組の生き残った全員がその広間に姿を現した。

 本人たちは戦闘地域からその広間に飛ばされたように錯覚している。

 目に差し込む日の光と抜けるような青空が広がっていた。

 まぶしさに目を細めるそんな感覚や動作までもが本当にリアルで、まだVRの中のはずなのに現実の世界に戻ったような感じがした。


「戦闘地域から飛ばされたのか……。

 混乱しちゃうな、まだゲームの中だよね?」

 ラバスが笑いながら言った。

「うん、そのはずだけど信じられない。 普通すぎる……」

 ハルはそう言って大広間を歩き回った。


 メインベースは3階層で、各階層が段違いにスライドした形で立っている。

 そのベース内で行われるゲームが観戦者のモニターにさまざまな視点で中継されていた。

 青空の広間が展開された今は、広間の中に生き残った赤組白組の戦士が集まっている様子が観戦者に見えている。


 空には五角形を逆さにしたような赤と白のバナーが映し出された。

 そして赤のバナーには19、白のバナーには15の数字が浮かんだ。


「みなさまお疲れさまでした。

 グリーンゲート社のゲーム進行統括管理者です。

 下級組1階層の勝敗が決しました。

 白組が先に15名になりましたので勝者は赤組となります。

 所要時間56分。

 最終残人数 赤組19名 白組15名

 赤組のみなさまおめでとうございます。

 勝者賞金100万ブールは途中で離脱された方も含め全ての赤組の戦士に贈呈されます。

 それではまた明日の中級組2階層のフィールドでお会いしましょう」


 あっさりと勝利宣言がなされたのちに再び機械的な声の案内が流れた。


『あと20秒ほどで青空の広間からエッグへの帰還となります』


 エッグへ帰還すると視界はダイブする前のパソコンのモニターのように戻った。

 そこにテーブル管理者が映し出された。


「おめでとうございます。

 投げトークンの結果も出ておりますが公表はなく個人宛に通知が届きますのでご確認ください。

 尚、部隊長および副部隊長宛ての投げトークンは両者の方の受け取り辞退により、みなさまに分配されることになりました。

 参加賞、賞金及び投げトークンなどはゼロへ戻る前に手続きをご案内いたします。

 離脱となりましたメンバーの方はデータ集積のためにチップをはずす作業に入っています。

 現在エッグブースに残っているのは生き残った方たちのみとなり、みなさまもすぐに部屋に戻っていただきます。

 食事や衣服などは全て部屋に準備されております。

 お預かりしておりました端末は変更となり、新しくお渡しする端末はみなさまが眠っている間に体や脳波のチェックも行います。

 それではエッグを閉じますので端末を受け取りましたらお部屋にお戻りください」


(バシュもチャムも投げトークン辞退って……そんなにいい人にならなくていいのに。

 2人に……会いたい)


「あの……離脱したメンバーにはいつ会えますか?」

 ユウキが聞いた。


「離脱した方々はエッグブースはもちろん赤組特設会場、赤組サロン、戦士たちの広場にも入ることはできません。

 赤組の個人モニター、チャット、メッセージサービスも使えませんが、フレンド登録している方とでしたら全て可能です。

 最終日の椅子取りゲーム後には戦士たちの広場で宴会が催されますのでその際に会うことができるでしょう。

 それではエッグを閉じます。お疲れ様でした」


 固定された手が解放され目の前のシールドが上にあがると現実の世界が視界に広がる。

 ユウキはテーブルにいる仲間たちの顔を見てほほえむと、エッグから立ちあがりそれぞれとハグをした。

 喜びはあったが疲れや寂しさも大きかった。


 ぞくぞくとエッグブースを出て行く白組の兵士たちはやはり肩を落としている。

 エイデンがユウキを見つけて手をあげ、ユウキもそれに答えた。

(2階戦の火炎竜討伐は敵組戦士討伐が入っていなかった。

 おそらく対人攻撃は無効なんだ。

 であればエイデンとやりあうことはない。

 火炎竜討伐かどちらかの組の戦士が10名になったら終了ってことだけど、勝敗はどうやって決めるんだ?)


「あの管理人、2階戦の勝敗ってどうやって決めるんですか?」

「火炎竜に与えたダメージ量で決まります。

 先に戦士が10名に減った組でも与えたダメージが大きければ勝者になります。

 次の試合に関してのこれ以上の質問はご遠慮ください」

「了解。教えてくれてありがとう」

 管理人は軽く頭をさげるとユウキに端末を渡した。


 エッグブースを後にする赤組の仲間たちと、肩をたたいたり談笑しながらユウキたちは宿泊施設へ向かった。


「中級者の人たちの足をひっぱらないか心配になっちゃう。

 楽しみよりも不安のほうが大きかったりして……」

 苦笑いしながらユバルがそうつぶやいた。


「責任みたいなもの感じちゃうよね。ちゃんと戦わなきゃって……」

 ハルが言った。


「別に……」

 ユウキとラバスが同時にそう言って、顔を見合わせて笑った。

「ラバスとは同じ考えみたいだな」

「そうだね。

 ユバル、確かに迷惑かけないようにと思うのは大切なことかもしれないけど。

 別にそんなのいいと思う。ゲームなんだよ」


「そうそう。それに今考えたってしょうがない。

 その場になったら案外動けるかもしれないよ?」

 そう言ってユウキはユバルの肩をたたいた。


「それも……そうだね。

 今不安になってもその時間がもったいない!

 終わったあとの宴会が楽しみだなあ」


「き……切り替えが早すぎないかハル」

 ユバルがそう言って4人で笑った。


 部屋にもどると前に見かけた、黒に銀の装飾品がついた軍服が届けられていた。

「かっこいい……」

 うれしかったが疲れがどっとでて軍服を持ったままベッドに寝転がった。

「やばい……このまま寝ちゃいそうだ」


 そのとき電子音がなり通知が来た。

『本日22時、赤組サロンに集合。

 中級組部隊長 モニーク』


(あれ? モニークってハルのお気に入りだった……。

 下級組にいないって言ったけど彼も訳ありだったわけだ。

 運営サイドかシイカ様の部下か。

 にしても22時集合って……それまで何すればいいんだよ)


 再び通知音がなり今度はサトルからのメッセージが届いた。

『お疲れ。昼間時間があったらつきあってくれ。

 朝また連絡する。今夜はゆっくり休め!おやすみ!』


(サトルこんな時間まで起きてたのか……もうすぐ2時になるぞ。

 もう俺は限界だ……起きたらシャワー浴びよう)


 ユウキはそのまま眠ってしまった。


 特設会場で観戦をしていた中級、上級組の戦士が去ったあとハクヒはシイカに連絡を入れた。

『シイカ様、赤組が勝利しました。

 おめでとうございます。

 お迎えにあがりますがどちらでしょうか?』

『運営のブースに来ています』

『すぐに向かいます』

 ハクヒはグリーンゲート社屋内に設けられたグリーンゲートとアークエンジェルの運営ブースに向かった。


 ◇

「ハーイ、ジェームズです!

 今夜の戦いはいかがでしたか!

 下馬評では圧倒的に白組でしたがなんと訳ありの方々が勝利しちゃいました!

 これはこれで楽しい展開でしたね!

 投げトークンは思う存分やっていただけましたでしょうか?

 誰が一番もらったか!なんて無粋なランキングはいたしません!

 皆様の応援はゼロに帰ったあと、訳ありの方々の大きな助けになるでしょう!

 明日の中級階層の戦いではお待ちかねのBETイベントが開始されます!

 さあ、思いっきり大金を賭けて楽しんでください!」

 ◇


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