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赤組下級戦士決定


 10月30日朝8時に、ゼロから来た冒険者たちは赤組特設会場に集合した。

 会場の前方正面には巨大なスクリーンがありその横には壇上が設けられている。

 ユウキはハルと一緒に会場へ来ていた。

 昨日の夜部屋をたずねてきたリーシャのことが何度も頭をよぎる。

 誘われたPW-15への興味もあったがリーシャともう一度話がしたくて、どこに行けば会えるのか誰に聞けばわかるのかと、そればかりを考えていた。


 しばらくして壇上に立った女性が説明を始めた。

「お集まりいただきありがとうございます。

 このあと午前9時に本戦の下級戦士になられた方の名簿が皆様に配布されます。

 選ばれた方は引き続きシイカ様の施設に滞在していただき、落選された方はチップを外す作業を行ったのちゼロへ帰る準備に入っていただきます。

 尚、21の記憶を残したい方はチップを1つ残すことになります。

 グリーンゲート社、アークエンジェル社ともワールドゼロの日本支社があり、外さなかったチップがあっても交換や撤去はできますのでご安心ください」


「なんだよ、ここに残れないのか?」

「残るつもりだったのに!」

「まだ帰りたくないよ-」

 会場が一斉にざわつきだし不満の声を上げる者もいた。


 その様子をみながらハルが言った。

「私は帰るつもりだったから問題ないかな。

 それより日本支社があるとか驚きなんだけど。

 そこに就職したい!」


「フッ、就職って気が早すぎないか。

 でもまあがんばれ、応援するよ。

 それにしても全員帰さなきゃならない理由があるのかな?

 残るつもりだった人はショックだよな」


(俺は……どうなんだ?

 残さないって決めてくれるなら、その方が未練を断ち切れるから助かる。

 ここに残れないなら当然15になんか行けるわけ……まてよ、それはまた別の話か)


「じゃあユウキも一緒に帰れるね!

 私たちはもう親友だから、学校戻ってからも楽しくなりそう!」

「ま……まあそうだな」

 ユウキは親友という言葉に照れくささを感じながらも素直にうれしかった。


「ここで、グリーンゲート社の代表、イライザ様よりご挨拶があります」

(代表って初めて見るな。 女だったのか)


 トンっと腕をおされ横を見ると、チャムとバシュがいた。

「ユウキ体調は大丈夫か?」

「あ、うん、大丈夫。ありがとうバシュ」

「そう言う話はあとにするのです。今はシーッ!」

 チャムが口に手をあててバシュにそう言った。

「お……おお、わりい」


 スクリーンに映し出された女性は顔の下半分が布で隠されていて髪はグラデーションのかかった緑だった。

「あの頭、鳥が住めそうだな」

「プッ」

 バシュの言うことが的を得ていてユウキとハルは思わず吹いた。


「シーッ!」

 チャムに注意され3人は顔を見合わせ苦笑いした。


「ゼロからの冒険者の皆さん、グリーンゲート社代表のイライザです。

 ここまでの冒険は楽しんでいただけましたでしょうか?

 今日の発表で先にゼロに帰る方が決まりますが、今回は本戦後に全ての方をゼロにお送りします。

 ゼロに戻ったあとの皆さんの人生が幸多きものとなることを祈ります」


 そこでスクリーンはオフになった。


「こ……これだけかよ」

 バシュがつぶやいた。

「録画なので温かみが皆無でしたね!

 でも本当はもっとやさ……ゴホンゴホン。

 失礼、なんでもありません!」

 チャムは何かを言いかけてやめた。


 そのとき会場のあちらこちらで電子音が鳴り全員にメッセージが届いた。

 メッセージには本戦に選ばれた50名の名簿が添付されている。

 そこにハルと自分の名前、チャムとバシュは載っていたが、レミとアッガイは見当たらなかった。


(良かった下級組で。

 みんなとは違う訳ありだったから中級や上級に行かされるかと思った。

 俺はゼロから来た連中と一緒に戦いたい。

 レミやアッガイは他の階級にいてくれたらいいけど。

 まあ実力でレミが落とされることはないよな)


「ただいま皆様に参加者の名簿を配布いたしました。

 名簿に名前のある方はこの会場から退場いただき、1時間後に下級組の顔合わせが行われますので3番のイベント会場へ移動してください。

 ゼロへ帰っていただく方はスケジュールの説明をいたしますので今しばらくここで待機願います」


 ユウキたちは部屋を出てカフェに向かった。

 席に座るとユウキがそれぞれを紹介した。

「俺のPTメンバーだったバシュとチャム。

 こっちはハル。で、俺はこいつに21に連れてこられたんだ」


「え?じゃあユウキは訳あり冒険者じゃなかったのです?」

 チャムが目を丸くして聞いてきた。


「うん、今は別の訳ありになったけど」

 そう言ってユウキは笑った。

「そういえばレミとアッガイは名簿に載っていなかったけど、どうしたのかな?」


「うーん、もういいかな」

 バシュがチャムに目配せをした。

 バシュは周りを1度見渡して近くに人が座っていないことを確認すると話し始めた。


「レミとアッガイはアークエンジェル社、チャムはグリーンゲート、そんで俺はシイカ様の部下。

 PT11はミルズ以外はみんな外部との関係をもっている訳ありだったんだ」

「え、えええ!」

 ユウキは驚いて大きな声をだした。


「ユウキ声がおっきいのです!」

 チャムが注意した。

「あ……ごめん」


 ハルは動揺することもなくジュースを飲んでいる。


「レミとアッガイは上級組に入った。

 みんな運営か企業側であることは間違いないと思っていたが、どこの所属か教えてもらったのは海賊ゲームの後だ。

 宴会のとき酔っぱらった勢いでレミがしゃべり出して、そんでチャムもつられてしゃべった。

 だから俺のことも話したって感じだ」


「私はレミとアッガイのことはレミから聞いて知っていたのです」

 チャムがそう言った。


「知らないところでいろんな訳ありな人が動いていたんだな……ほんと驚かされるよ。

 だからみんなバトルボックスでは余裕だったの?

 特にレミなんか指揮官って感じで、絶対経験者だろうって思っていた」


「んー確かにバトルボックスは経験済みだったので、多少余裕があるように見えたかもしれませんね。

 レミは前回の椅子取りゲームの覇者なんですよ!

 椅子を守り切ったのはレミだったってサトルから聞きました。

 あ、サトルっていうのはゼロから来た……」


「チャム、サトルを知ってるの?」

「え? ユウキこそサトルを知っているの?」

「知ってるもなにも私たちとサトルは高校の同じクラス!」

 ハルがジュースのコップを高く上げてそう言った。


「そ……そうでしたか。

 世間の狭さにちょっとびっくり。

 サトルも私もグリーンゲートの訳ありで仲良しなのに、ユウキたちのことは聞いていませんでした。

 んー、なんで黙っていたんだ!

 まあいいや、とにかくレミは強いのです!」


「ちょっと気になったんだが今回はゼロ民をみんな帰すんだな。

 俺は初耳だったが、なんか知ってるか?チャム」

 バシュが聞いた。

「うーん、私も知らなかったけど、どこの事情なんですかね?

 グリーンゲートの問題なら私に情報が来そうだし、マクベス様やシイカ様の問題ならバシュの耳に入りそう。

 ま、何かわかったら教えますね」


「そういえばバシュ、こっちの下級戦士はゼロからきた訳あり冒険者だけど、マクベス側はどういう人たちなの?

 21の若者とか?」

「なんだユウキ、ゲーム情報ちゃんと目を通してないな」

「ハハ、何回か読み飛ばしてる」


「あっちの戦士は、国軍の下級兵士だ。

 見習い兵士といえど国軍になれたってだけでその優秀さがわかる。

 それにちゃんと訓練も受けているしな。

 2階戦の中級戦士は見習いじゃない本物の兵士だ。

 そうとうな手練れが出てくる。

 でもな、こっちだってすごいんだぜ。

 元軍人やらどこぞの金持ちの私兵や企業のおかかえ用心棒みたいな連中ばかりだが、みんな強烈なゲーマーなんだよ。

 ゲームでがっつり訓練しているから実戦とは違うコツや要領を得ている。

 去年だって勝っただろう?

 実戦じゃ国軍の兵にかなうわけないが、VRゲームだから勝てた」


「な……なるほどね」

 ゲーマーを熱くかたるバシュにユウキは少し引き気味だった。


「あっちは兵士なのね……。

 本当の戦争もゲームで決着つければいいのに」

 ハルがボソっとつぶやいた。


「ハハ、面白いこと言うなハル。

 そうだな、そうすれば町や自然も壊されないし人も死なずにすむ。

 生活は守られたうえで国の勝負がつくわけだ。

 戦争が無くなった21では想像ができないが、もし今21で争いが起きたら……。

 VRゲームじゃなくて、やっぱり生身で戦いたがる人間の方が多い気がする。

 頭にくると血をみることを望むやからは多い。

 本能ってやつかな……やっかいだねえ」

 バシュは両手の手のひらを上にむけ首をすぼめた。


「マクベスは軍の偉い人なの?」

 ユウキがバシュに聞いた。


「ああ、マクベスプロ……」

 そう言いかけたバシュの背中に隣に座っていたチャムがパンチを入れた。

「いっつ……」

「もうそのくらいになさいバシュ!」

「わーったよチャム、いってえな。グーで殴っただろう」

「当たり前です。その分厚い筋肉に痛手をおわすならグーしかありません!」


「ああー!そろそろ時間です、行かないと!」

 ハルがそう言って席を立った。


(バシュは何を言いかけたんだろう……)


 4人はカフェから3番のイベント会場へ向かった。

 イベント会場へ着くと小さめのスクリーンに本戦情報が映し出されていて、先に来た下級組はその前に集まっていた。


 本戦情報

《第2回マクベス(白組) 対 シイカ(赤組) 椅子取りゲーム》

【キャッチフレーズ】 死ぬ気分を味わいたいならここで果てればいい!

【仮想帯フィールド提供】 アークエンジェル社

【開催期間】PW-21暦2122年10月1日~3日まで。

【勝  敗】敵のキングを倒しその椅子を壊した組が勝者。


【スケジュール】

 1日『1階戦』  下級戦士 各組50名

 午前0時開始~1時で階層閉鎖(どちらかの陣営の戦士が15名になった場合も階層閉鎖)


【ベース情報】

 メインベース3階層(円柱型ブース3段重ね型)

 ・開催は1階部の円柱ブース

  最下層部がスライドされ、その後、天井部が開かれることで戦況の放映が開始される。

  VR内の全体を映すカメラの視点は上部から。

  天井が開いたあと円柱の端から透明のシールドが100メートル上に立ち上がり壁になる。


【1階戦で選択できる装備品】 共通装備一式

 【武器】

   1 ソード   (片手用、両手装着可)

     攻撃力200 氷、炎魔法付与可 持久力+10%

     クリティカル攻撃+10%

   2 ダガー   (片手用、両手装着不可)

     攻撃力150 状態異常抵抗+10%

   3 ボーガン  (片腕用、両腕装着不可 ダガーのみ組み合わせ可)

     攻撃力150 氷、炎、回復魔法不可 持久力+10%

     チャージ10秒

   4 大盾    (片腕用、両腕装着不可 ダガーのみ組み合わせ可)

     攻撃力200 カウンター攻撃350 盾に被弾時生命回復5%

     回避率+10%


 【防具一式】

   1 装備名:熟練者の装備

     防御力450回避率30%ダメージ減少20%


【ポイント】

 『基   本』 20,000ポイント

        (生命力、魔力、持久力)各自で振り分ける

 『ステータス』 10,000ポイント

        (回避、ダメージ減少、攻撃速度、移動速度)各自で振り分ける


 『獲得ポイント』岩ワーム大 討伐(8000ポイント)

         敵1人 討伐(2000ポイント)

 ※戦闘中に得られるポイントは随時ポイント振り可能。

  増えたポイントは中級戦にも引き継がれます。


【復   活】1回の戦いで2回まで復活可能


■参加賞■

【1階戦】  50万ブール

【2階戦】 100万ブール

【3階戦】 350万ブール


■視聴者参加■

【BETイベント】中級階(白組か赤組の二択賭け)

【投げトークン】 メインベース戦闘開始の合図で投げトークン開始可。

         投げ先はワールドゼロからの冒険者宛てのみ。

【突発イベント】 未定


 △


「おいおい、なんでガトリングがないんだよ!

 カウンター攻撃350の大盾って……なんだよこれ!」

 バシュが大声で吠えた。


「参加賞のブールって円に換算するといくらなんだ?」

 ユウキがつぶやくとハルがすぐに耳打ちをした。

「えっとね、ブールの10倍が円の金額だって。

 ここに来てすぐサトルに教えてもらった!」

 ハルは得意げに言った。

「え……すごいな。参加賞だけでそれだけもらえちゃうの?」

「そういうことみたい! うまぁだね!」


(3階戦まで残れば参加賞だけでもすごい金額が手に入る。

 ゲームして大金を手にできちゃうなんて……続けてたら堕落しそうだな)


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