7 .男爵お嬢様とミア
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「ねぇ、サリー、少し座ってくれる?」
お茶を二人分用意した私にお嬢様が声をかけてくださいました。
「あなたには先に独立の詳細について話しておきたいの。私はこの国の新しい男爵として独立するわ。サリーが来てくれるなら最低の準備期間を聞いておきたいの。」
準備期間、か…。どれくらいかかるだろう?
「そうですね。最低でも明日までは待ってほしいです…お嬢様のお荷物準備もありますしね。」
私がそういうと、お嬢様は驚いたように目を見開きました。何か驚くこと、いいましたっけ?私は自分が言った発言を辿る。…ないですね。するとお嬢様は目を見開きました。
「そんな早くに終わるの!?」
どうやら早さの問題だったようです。
「?終わりますが?」
「…サリーが優秀すぎる…では、明後日の午後に。」
今、なんかいいましたでしょうか?前半は声が小さくて聞き取れませんでした。独り言っぽかったので大丈夫でしょう。
「連れていくのは私、サリーとミアだけでいいでしょうか?」
「そうね。あとはお母様とお父様、そして本人の意思でついてくるか決めることにするわ。けれどいないでしょうね。伯爵から男爵だなんて…給料も落ちるでしょうし。それでもついてきてくれるサリーには感謝してるわ。」
お嬢様は少し考え込まれた後にそういいました。
「お嬢様の為に尽くす所存ですから。同行者に関しては…かしこまりました。荷物はこれから準備いたします。」
「よろしくね。あっ、用意もあるしお風呂は他の人に頼むからサリーは部屋に戻って。」
私はそういう許可を得て立ち上がると歩き出します。準備を始めなければ。とはいえ明後日ですからある程度急げば間に合うでしょう。
「あっ、サリーどの!」
ドア開けるとタタタッと小走りで近づいてくるミアがいました。お風呂に入れてもらい先程よりもモフモフのふわふわになっています。
「ミア、走ってはダメですよ。それと、どうかしました?」
ひとまず注意をして要件を聞く。するとミアは首を振った。
「要件はないの。サリーどのがいたから来たの。ダメだった?」
うっ、なんだこの可愛い生き物は。サリー!理性を保つのです!ついでに後ろからリナンが走ってくるのが見えました。少しすると追いつきます。
「ダメではありませんが、歩きましょうね。あと、あなたにお話があるの?今からいいですか?」
私が問いかけるとミアはリナンの反応を確認します。リナンが頷いていました。
「いいよ!」
ミアは元気に返事します。とてつもなく可愛いですが、この口調ではいけませんね。これから教育していかなければ。
「いいよ、ではなくいいですよ、と言ってくださいね。」
「いいですよー?」
ミアが首を傾げながら聞いてきました。
「そうです。」
うなずいて頭を撫でる。触りたかったからじゃないですからね!私は褒めて伸ばす方針ですから…やばい。モフモフすぎる。あ、リナンがとても羨ましそうに見てますね。けれど、あなたさっき、もふってたでしょ!
「では、来てください。」
ミアの手を引いて私は三階にある自分の部屋に連れていきました。リナンとミアに席をつとめるとお茶の用意をします。
「ーー」
机の方からリナンとミアが話しているのが聞こえました。微笑ましいです。ミアを連れて行くことを知ったらリナンは悲しむでしょうね。それとも、もう知っているのかしら?
「はい。お茶です。どうぞ」
机にお茶を置くと、話始めます。
「明後日ここを出発するわ。」
「お嬢様の独立の件ですよね?」
リナンが確認するように聞いてきます。それに頷きつつお話を進めました。
「それでミア、あなたはついてくることがほぼというか確定よ。」
「?分かった!でも、リナンねーさまとかとは会えないの?」
ミアは少し首を傾げた後頷き疑問を口にしました。
「そうですね。そうなるでしょう。ごめんなさい。話はそれだけです。わざわざありがとう。」
「まって!サリー!」
長引かせたら罪悪感に蝕まれそうだったので、話を終わりにした直後リナンが私を引きとめました。
「なんでしょう?」
不思議に思い私が聞き返すとリナンは少しだけ俯き決したように顔を上げました。
「そ、その…お嬢様の独立に私もついて行くことは可能かしら!?」
へ?
「もしかして、リナンねーさまくるの!?」
固まる私の隣でミアがとてつもなくキラキラとした目でリナンを見つめていました。
読んでくださりありがとうございました