目次 次へ 1/49 ・ 一歩目はいつだって不安でしょうがなかった。 つま先の、指の先すら近づけるのをためらって、湖面すれすれまで近づいてから決心が揺らぐ。 しばらくその体勢で静止したら、最後の一歩は運か勢いだ。 たいていの場合、片足で立つ姿勢に耐えきれなくなって、つま先どころか、スネの辺りまでどっぷり浸かる羽目になる。バシャッと豪快な音を立てて、水中に一歩目を踏み出すことになるのだ。 そうして俺は思い知らされる。 今日も俺は、俺のままだったのだと。