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2話

「この学校にいる学生の本分は勉強である!!!」


「は?」

俺だけじゃない。きっとここにいる新入生誰もがそう思っただろう。周りを見渡すと、口が空いたまま塞がらない生徒や、目を擦ったり頬をつねったりして夢かと疑う生徒もいた。


そんな中、1人の生徒が手を上げ、質問をした。


「学生の本分は勉強ではないのですか?先生のおっしゃっている意味が分かりません!」


「うむ。それも踏まえてこれから説明をする。いいから座りなさい。」


はなからその質問が来るのが分かっている様子で軽く流して話を続ける。


「確かに学生の本分は勉強である。この学校でもそれは間違いない。だが、この学校では、勉強以上に恋愛が重視される。また、もし、卒業する時に交際をしていない生徒がいたら、卒業資格を剥奪し、高校中退とする。」


恋愛強制?聞いたことがない。今どきそんなことがありえるのか?高校中退ってまじで言ってるのか?と思いつつも続けて話される内容に耳を傾ける。


「また、卒業時にはうちの高校専門の特殊機械によって心音や脈拍を測り、測定するので擬似交際を行ってる者はすぐに分かる。つまり、くだらない嘘はつかないことだ。」


繰り出される話を遮って、また先ほどの生徒が質問をする。


「お話中すみません!恋愛しなかったら卒業資格剥奪というのはさすがに厳しいのではないでしょうか。第一、この状態で気軽に恋愛できるとは思えません。」


俺たち生徒が思っていることを代表して言ってくれてるがのごとく、的を得た質問にすこし、安堵を覚える。


「安心したまえ。学校だって君たちの恋愛のサポートをする。例えば授業の科目に恋愛を加えたり、学校行事にイベントを増やしたりな。また、今からこの1年間共に過ごすパートナーを決めてもらう!!!」


この学校は全寮制である。それは前々から聞いていたのだが、まさか男女2人で一つの部屋を使うのだとは夢にも思わなかった。


「そのため男女それぞれにくじを用意した。引いてもらい、同じ番号だったものがパートナーである。入学式は以上だ。今日はパートナーを確認し、速やかに部屋へ荷物を移動させておけ。明日の連絡は夜に一送メールで送る。」


全員困惑しつつも、前に置いてあるくじを引きに行く。俺も立ち上がり、すこし頭をかいて、くじを引きに行く。


「なんか、大変なことになっちまったな...」


「こうなった以上仕方ないよ...くじを引きに行こうぜ。」


そう言ってひきつった顔をする義継を俺は久しぶりに見た。ただ、そんなことはどうでもよく、今の俺の頭は一つのことで埋め尽くされていた。


"明るくて優しい美人な女子よ来い!"


べ、別に俺がそういう女子が好きっていうわけではなく、ただ単に一緒に生活するならまだましってだけだ、うん。


心に嘘をつき、そう願いながらくじを引いた。




引いた後...


「聡太何番だった?俺30番!」


「ええと7番...」


「え、ラッキー7じゃん!羨ましいぜ!」


別に番号に意味はないんだが...と思いつつも「おう。」と相槌を返した。全員引き終わった後、自然とパートナー探しが始まっていた。


「俺も探してくるわ!パートナー見つかったらここ集合な!」


「わかったよ。じゃあまた後でな。」


義継にそう言われ、俺は自分のパートナーを探し始めた。


「ええと、7番の方いませんか〜?」


何度か大声を出して探すが、一向に見つからない。今日休みなのかなと思った直後、後ろから背中を叩かれた。


「ひっ!!」


びっくりした俺は振り向きざまに距離を取り、戦闘態勢に入った。


目の前には、前髪で目が隠されている、いかにも貞子らしき女子が同じ7番の紙を広げていた。


「..........」

あ、はい、そっすか。

俺は高校中退を密かに決意した。

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