三話目密告者(前編)
・・・気づけばもう夕方だ。
「・・・!?」
「どうした?」
突如として懍が周囲を見渡し始める。
「・・・匂いがする」
「?匂い?」
・・・警告周囲に密告者を感知。警戒してください。
「密告者?」
何だそりゃ?と考えているとベレッタに頭を捕まれ無理矢理地面に伏せさせられた。
「痛てぇ!?」
「しっ!静かに」
いつものベレッタとは様子が違う。
「・・・何なんだ?密告者て?」
「・・・ここに一定時間事に送り込まれる化け物よ。高い隠密力と戦闘力を持ち人間とは思えない身体能力を持つ存在ね。見た目ゆえにカラスとも言われてるわ」
「・・・カラス・・・ねぇ」
かなりヤバイな。聞く限り倒せる気がしねぇ。
・・・密告も出来ないので移動するまで隠れた方が・・・いや動く気がないみたいですね。ここの周囲にいるのバレてる見たいです。
「・・・なら」ザッ
「何してんだ!?」
「そうですよ危ないですよ!」
「大丈夫だ。俺が囮になる。速く逃げろすぐ撒いて追うさ」
「・・・分かった。だけど無理はしないでね?」
「分かってる。じゃぁ三秒後に走れ」
「・・・」
「・・・おーい!糞カラス!ビビってねぇで出てこいよぉ!」
「・・・」ダッ!
「・・・」ダッ!
・・・大丈夫なんですか?あんなこと言って。
「・・・」
?
「ちょっと後悔してる・・・」
・・・
「なーんてな。たかがカラスに負けるほど弱くねぇよ」
・・・だと良いですが。
「・・・」ザッ
「・・・」
・・・威圧感ぱねぇ。だけどあんな大口叩いといて逃がしてくんねぇだろうし、逃げるつもりもねぇけどな。
「・・・」ザッザッ
徐々に速くなってきやがった・・・そろそろ来るか。
「・・・」ガチャッ!
「!」ダッ!ブワァ!
「!?飛ん」
「!」ドゴォ!
「ガハッ!」
ッ!どうなってやがる!
・・・不味いですね。よりにもよってエリートですか。
「!?エリート!?」
俺は咄嗟に距離を取りオペレーターに話しかける。
・・・はい。噂ですが、熟練の殺し屋・・・通称 食種何でも殺された人の傷口が・・・喰われたような裂傷だそうで。
「んなもん関係ないね!」ガチャッ!バババババ!
「・・・若造が」カカカカカカ!
「は!?全部弾いてやがる!」
弾丸弾きやがる。どうすりゃ良いんだよ!くそ!
「・・・」ブン!
「ッ!見えた!オラァ!」ドゴォ!
「!」バッ!
「オラァ!」
「・・・深追い厳禁」ブワァ!
「!?スモーク!?くそ!見えねぇ!」
「・・・」ブン!
「!?火炎瓶!?」
ガシャァン!
・・・そこから俺の意識はなくなった。
「・・・」
「淳さん大丈夫ですかね・・・」
・・・大丈夫だと良いですが・・・かなり危険かと・・・顔が焼けてますし火炎瓶が直撃したのでしょう。
「・・・となるともう目が・・・」
「視力の方は大丈夫かと」
「どうして?」
「運んできた後作ったんですよ。これ」
そう言うと懍が仮面をベレッタに渡す。
「・・・何これ?」
「・・・私の最高傑作です。視力等の補助をしてくれるように頑張りましたよ」
「・・・成功してれば淳さんは、視力が戻る・・・と」
「はい」
密告者
国の導入した殺戮者。カラスの嘴のような尖りがついたマスクにより素顔は隠れている。実験対象者ではないため番号が降られていない。