なぜなに期です
お待たせしたわりに短いです。
お盆休暇はあまり休暇になり得ませんね……。
ブックマーク1,000件超えました。
ありがとうございます!
16/8/20 竜王の自称変更「我」→「予」
月日が経つのは早いもので竜の庇護下に入り三年。
3歳になりました!!(ばばーん)
といっても正確な誕生日は不明なので、この渓谷に来た日を誕生日として皆が祝ってくれます。
3歳はなぜ?なに?の爆発期。皆が王都に用事がある時にたま~に一緒に連れて行ってくれるので――当然用事をこなす人とは別に護衛付きで――ここぞとばかりに質問しまくってます。だって前世の一般常識がこの世界の一般常識と同じなわけないじゃないですか。そもそも比較出来るだけの知識がありませんからね!!
そんなわけで、この三年の間で観察したり質問して分かった事を改めて思い返してみようかと。
Q:なんでみんな体の色が一緒じゃないの?
A:(アルヴィンの回答)
【竜にはそれぞれ体色に携わる属性があり、白竜は光、赤竜は炎、青竜は水、緑竜は風、黄竜は地の力を掌っているのですよ。
ただ、その属性の力に特化している、というだけであって他の力は使えません、なんて不便なことはありません。多少威力は落ちてしまいますがね。
ジークヴァルト様は闇を一番得意とされていますがどんな属性も使いこなしておられますよ】
ジークヴァルト様はチート級だと発覚。
Q:王都には女の人がいたのになんでここにはいないの?新しい竜はどうやって生まれるの?
A:(リュディガーの回答)
【お。姫さんは知識欲がすげぇなぁ。んー、そうだなぁ、簡単に言っちまうと竜族に女性体はいねぇな。俺たちは自分たちで卵を生むんだぜ。
竜ってのは個人差あれど年々魔力が増えていく種族でな、魔力ってのはあんまり持ちすぎると暴走しやすくなる。これは人間も同じだな。んで、暴走するくらいなら固めて外に出しちまえって出したのが卵だ。
ただ面白いのが、もし俺が卵生んだとしても孵るのは赤竜って決まってるわけじゃねぇ。排出する魔力っつーのは選べないんだわ。だからそれぞれの魔力が混じり合った中で一番割合の多い魔力を属性とした竜が卵から孵化する。何の属性かは生まれてからのお楽しみってやつだ。ま、生まれてくるのは雄ばっかなんだがな。
これに関しては公爵家に婚媾を結んだ竜がいてその家が研究をしているらしい。まぁ、興味がないんで成果は聞いてないんだけどな。ちなみに人間の女から竜が産まれた事はない】
卵が生まれたら安置する場所があるんだって。連れていってもらったら50cmぐらいの巨大卵が藁の上に並んでました。孵る瞬間に立ち会ってみたいのでお散歩コースに追加決定です。
Q:筆頭とかってどうやって決めるの?
A:(リベルトの回答)
【見た目です。というと誤解を招きますね。髪の色で判別できますよ。まず人型をとれることが大前提です。そして髪が色濃く鮮やかなほど力が強い証となります。
そうですねぇ、今の筆頭で言えば白竜筆頭のアルヴィンは艶っ々の白い髪で筆頭の中でも特に気を遣ってるみたいですよ。前髪はアシンメトリーで肩口で綺麗に切り揃えてますね。それくらいの長さが本人的には一番手入れしやすいんだとか。
赤竜筆頭のリュディガーは深紅の短髪。手入れが楽だと本人は言ってましたねぇ。鍛練や訓練等で運動をした後はよく川で水浴びしてますね。かなり適当に拭ってますが特に傷んだりはしてないようですよ。そして本人は一切そんなことを気にしたことはありません。
青竜筆頭のオラツィオは紺碧のストレート。背の中ほどまでありますが普段は頭上で纏めていますね。リュディガーほど雑ではないですがアルヴィンほど拘ってもいないようです。
緑竜筆頭のクルスは深緑で、サイドはアシンメトリーで後ろは少量の長い髪を尻尾のように束ねています。今度思いっきり引っ張ってやるといいですよ。あんな掴みたくなるような髪型をしているのがいけないのです。
そして黄竜筆頭である私、リベルトはご覧の通り琥珀色ですね。肩より少し長めですかねぇ。執務をする際に邪魔になるので適当にハーフアップにしています。ただあまり頓着しないので見かねたアルヴィンが手直ししてきたりします。もしかしたらアレは人間で言う母親気質というものなのかもしれませんねぇ。
ジークヴァルト様、我らが竜王閣下は漆黒ですね。黒を持つことが竜王の証となります。当然ジークヴァルト様のみが持つ色です。腰あたりまで伸ばされているストレートですが、普段はアルヴィンが三つ編みに編んだものを肩から前に流してらっしゃいますね。
あぁ、三つ編みといえばアルヴィンは最近ジークヴァルト様の御髪で編み込み?というものを練習しているようですよ。姫様に施す前の練習台なのでしょうね。……とてもではないですが私には真似できそうにありません】
アルヴィン最強説浮上。ジークヴァルト様もあまり見た目に頓着しない方なので口出しはしないそう。リベルトはちょっと遠い目をしてました。
Q:人型形態と竜形態の竜族の違いは?
A:(オラツィオの回答)
【魔力の制御が出来ているかいないか、の違いになる。まず人型をとるのにそれなりに魔力を必要とするが竜族であれば個体差はあれどいずれ人型をとれるほどの魔力は勝手に溜まる。が、それを維持、というか固定できるかは別の話になる。コントロールが出来ない個体は卵として魔力を排出するだけだ。別段人型になれずとも不具合はない。
人型をとれる竜は己に巡回する魔力を熟知しているから卵を排出することはない。つまり、人型になれるというのは魔力が有り余ってようが制御出来るだけの力が備わっているという一種の判断材料だな。
必要に駆られ王都に向かうのは人型をとれる個体だけだ。人間は己と容姿が異なるものに忌避を抱きやすい。こちらとしても暴走する危険性のある者をわざわざ送り込む必要性もないことだしな。
当然制御が出来るのだから人型から竜形態に戻ることも容易い。そういえばルーチェ様は空中散歩が好きだったな。今日は私の背に乗るといい】
勿論お言葉に甘えました!渓谷の狭間を飛ぶのはすごく気持ちいいんです。暑かったので水浴びしてから戻ったら母様役を担っているアルヴィンに超怒られました……。直ぐに湯浴み直行したので風邪はひきませんでした!!母様の健康管理は万全です。
Q:私にとって竜族の父様はジークヴァルト様で母様はアルヴィンだけど、…………人間の父様と母様はどこにいるの?
A:(クルスの回答)
【……残念だけど、姫様を産んでくれた人間はもういない。姫様には辛い話になるだろうから知らずにいてほしかったけど、それじゃ姫様は納得してくれないんでしょ?一度決めたら退いてくれないもんねー。
………ジーク様が呪具に囚われたときに直ぐに各筆頭が呼び出され姫様の特徴を聞かされて捜索が開始されたんだ。その捜索隊の指揮を採ってたのが僕。竜族と婚媾を結んだ公爵家に繋ぎをとって人間の貴族社会の情報を集めてもらって、王城に仕えさせてる騎竜には警備巡回の時に目が届きにくい地方を見てもらってたんだ。人型をとれる竜は限られていたから使えるものは何でも使った。
暫くは目に見える成果はなかった。紫銀の髪を持つ子どもは少なからずいたけれどその誰もがオッドアイではなかったんだ。それでも後天性かもってことも鑑みて定期的に様子を見たりはしてたんだけど……結局皆違った。
この国は比較的平穏だっていうのは分かるかな?その平和の一端を担ってるのは竜族だっていうのは自他ともに認めている事実だ。人との接し方はどうあれ、ね。だから、油断してたところがあった。ただの人間同士の小競り合いだったんだ。この国じゃない。隣接してる国同士のね。
……国境境にあった小さな村が被害にあった。王都の騎竜師団が連絡を受けて駆けつけたときには………焼け野原だったそうだ。生存者捜索で見つかったのが……姫様だよ。近くに人影はなかった。一番近くにいたアルヴィンが姫様を迎えにいったみたいだね。他に生き残った人間がいたのかどうかの報告は受けてない。非情かもしれないけど僕たちは慈愛に満ちた生き物でもないからね。姫様だけが特別。
ただ姫様をこの世に産み落としてくれた人間は別。竜は誠実を重んじる。僕自らその村に行ってしらみ潰しに捜してみたけど……ごめんね】
最後に告げられた謝罪は痛みが伴っていました。慈愛に満ちた生き物ではないと言いながら私を見る眼差しは、態度は、それで満ちていたから。
私は何も言うことが出来ないまま、ただクルスの首に抱きつくことしかできませんでした。
Q:この国はどんな国?
A:(ジークヴァルトの回答)
【平和な方なんじゃないか?予も二百年ばかり臥せっていたがその間に戦争が起こったという報告は受けておらん。予が呪具に囚われた報復としてアスタロスという国を一方的に滅ぼしてやったが、そこも今ではキューストロという国が建っている。
この国、トロヴァートは三国と隣接しているが表立って戦争をしたことはないな。水面下では他の種族が何をしておるかは知らんが。
詳しいことは追々話してやろう。焦って知識を詰め込むこともない】
争いがないのはいいことです。私が産まれたらしい村も他国の小競り合いに運悪く巻き込まれたという話だったので、この国での謀叛や反逆というきな臭い話は今のところはなさそうです。
ただ私が竜の渓谷で庇護されているために世俗から隔離されて情報に疎いというのもあるので確信は持てませんが。
私には今の環境が全てです。でも僅かな期間とはいえ私を慈しんでくれただろう両親には、感謝を込めて弔いに赴こうと決めました。
ただ、少し気になることが。国の名前、竜王様や各筆頭たちの名前、公爵家と竜の婚媾、何か引っ掛かるような……。
感想で「誘拐じゃないか」、「両親は?」と多くの方からご質問が。ごもっともなご意見でしたが元々ここで説明するつもりだったのでどうにも返信出来ず申し訳ありませんでした!
ただ、気になってわざわざご意見いただける辺りとても嬉しく思いました!
説明ベタ&初小説と相成り拙い表現も多々ありますが生温く見守ってやってください…|Д・)チラッッ
2016/8/28
誤字訂正 ご指摘有難うございます。
4027字