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竜の掌中の珠  作者: AGEPHA
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転生します

同じ語句の繰り返しでくどいかも……書くのって難しいですね(´◉ ω ◉`)

「………ん?私、死んだんだよね?」


 いつまで経っても痛みが襲ってこないことに多大な安堵と少々の不安を感じ目を開けてみると上下前後左右全てが暗闇で包まれていた。

手を伸ばして状況確認しようとするも動かしたはずの手は私の目に映らない。


「お?おぉ?」


 状況把握困難です!!

 えー、順に思い出しましょう。

 出勤のため電車を降りる。

 階段を落下しそうになってるベビーカー発見。

 手を伸ばす。

 引き戻す。

 反動で私が落ちる。

 多分死んだ。

 痛みが来ない。

 目を開ける。

 視界全てがまっ暗闇。

 四肢の感覚が皆無 ←New!!


 うん。意味不明。


「死後の世界、とかいうやつ?地獄でもなければ天国でもないみたいだし。いや、まぁ、私の勝手な思い込みだからここが地獄と言われりゃそうなのかな?え、でも三途の川は鉄板でしょ?」


「………落ち着いてんのか動揺してんのか分からん態度やなぁ」


 暗闇の中、自分以外の声が聞こえた方に目を向ける。………四肢の感覚がない分、目も見えてるのかどうか確かではないが。だが見えた。光る球体がぽこんと浮かんでいる様が。


「関西弁?ってか誰?っつか此処どこ?私死んだんだよね?え、もしかして生死の淵をさ迷ってるとかいう感じ?というか何で球体?」


「はいはいはいはい、一つずつ答えたるからちょい落ち着きぃな。

まず、関西弁なんは何となく。気に入ってるから使っとるだけ。

誰って言われても自分もよう知らん。気付いたら此処におって、あんたらみたいに迷い込んできたんをあっちゃこっちゃに送り込んどる。

此処は時と世界と次元の境界。厨二言うなよ。言うてる自分もちょっと恥ずかしいんやから。

 あんたはちゃんと、って言うてもええんか分からんけど死んどるよ。逆に言えば死んでやんと此処には来れん。

球体に見えてるんは此処では形を持っとっても意味ないから、やな。あんたも球体に見えとるで。今のあんたは魂って呼ばれてるもんや。まぁ、綺麗な色してる方ちゃう?」


 確かに質問には答えてくれた。答えてくれたけど一気に説明されて結局何が何だか理解不能。関西弁が何となく?趣味?趣味なの!?

え、自分が何かも理解してないよく分からない目の前の生命体―――と呼んでもいいものか―――にこの先の行き先決められちゃうの?あっちゃこっちゃってつまり適当なんじゃないの?

 時と世界と次元の境界?マジで厨二じゃん!!

 でもってやっぱり死んじゃったのか。うん。これはもう納得するしかない。まぁ、頭から落ちてたはずだから運よく生きてても植物状態だったでしょ。親に迷惑かけずにすんで良かったと思っておこう。……親不孝に変わりはないけど。

 で、最後に魂、ですか。そりゃ魂に手足なんかはないですよねー。色があるのも初めて知ったけど。綺麗な色って具体的に何色なんだっていうね。


「疑問にも答えたところで本題なんやけど、此処っていつまでもおったらこの暗闇に溶けてしまうんよね。せやからまぁ、もう生きたないっていうなら溶けてくれてかまへんし、生きたいなら出来るだけ希望に添うよう転生さしたるけど……どないする?」


「え、そんなこと出来る権限貴方にあるの?」


「あっちゃこっちゃに送り込んどるって言うたやろー。今までもずっとそーやってきたし。多分神様って概念が一番近いんやと思うで。まぁ、自分等が生きとる現実には手出し出来やん微っ妙ーな存在やけどな」


 微妙っちゃ微妙だけど、神様ってそもそもそんな存在じゃないといけないんじゃない?現実に手出しできちゃったら世界なんて神様の玩具になっちゃうじゃん。


「んで、どーなん?転生したい?溶けた「転生したいっ!」


 自分でも意識してなかったけどさっきまでの位置からは考えられないくらい球体の近くに移動していた。だって溶けるなんて嫌だもん。今、現状『私』としての意識がある。平々凡々な人生だったけど後悔ばかりの人生ではなかった。生きられるなら、新しい生を望めるのなら、私は生きたい。


「お、おぉ、食いぎみな反応ありがとう。希望はあるん?こんな世界がいい、とか動物になりたい、とか」


 言われて考える。ゲームや小説でしか会えなかった存在が実際に存在する世界があるのなら……


「…竜、がいる世界ってあるの?」

「ある「じゃぁそこで!!人間がいい!そして竜を愛でて竜に愛でられて竜と戯れたい!!いや、いっそ竜でもいいか?とにかく竜に関われるような立ち位置で!!」


 またしても食いぎみに返事を返す。今度は球体の周りをぐるぐる廻る動きつきで。うん、興奮してることは認める。


「……………」

「あ、そーいう希望は無理、な感じ、ですか?」


 さっきまで流れるように会話のキャッチボールをしてくれていた球体が急に黙りこむ。確かに聞かれたのは転生したい世界のことだけで、私がどう生きていきたいのかなんて聞いちゃいないっていうか現実には手出し出来ないって言ってたんだから自分が送りたい人生は自分で掴み取れって話ですよね。はい、すみませんでした。


「…ぶっ。あっははははははっ!!ははっ…はぁ、ひぃっくっくっ………」


 ………何故でしょう。爆笑されています。もしこの人に体があったとするならば体を折り曲げお腹に手を当てて呼吸困難になるんじゃないかって心配になるくらいの爆笑具合です。状況説明中の今でさえまだ笑っています。


「はー…しんど。はぁ、くくっ…こんな笑たん久々やわ。残念やけど竜とどうこう、っていうのは転生した後のことやから自分に手出しは出来やん。出来やんのやけど……笑わせてくれたお礼と今まで生きてきた人生での善行を考慮してちょっとしたオプション付けて送り出したるわ」


「オプション?」

「使い方はあんた次第。精々気張って竜を虜にするとええよ。ほな、頑張って」


 あっさり会話が打ち切られどんどん球体が小さくなっていく。いや、遠ざかっていくって言った方が正しい。転生が近いのだろう。時と世界と次元の境界って言ってたな。私が死んだのはついさっきだって思ってたけど実際の時間の流れはどうなってるんだろう?っていうか!!


「オプションの中身って何!?」

「それは転生してからのお楽しみや~っ!あんた面白かったから特別に転生前にちょっとしたプレゼントやるわ~。この先は自分にはどないも出来ひんから自力で頑張るんやで~っ!」


 小さく聞こえたその声が耳に届いたときにはもう球体は見えなくなってた。


 次に目を開けた先に捉えた景色は――――




ありがとうございました。

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