部屋からの脱出
『召喚』でニムを呼び出してからしばらくたった。
最初、ニムを見たときは気づかなかったがニムはスタイルが良くそんな美女と二人きりという状況に始めは緊張したがしばらくたつと緊張もほぐれ、普通に過ごすことができるようになった。魔神の俺には性欲も薄いようだ。
ニムはとても役にたってくれた、戦いを経験しているニムは多くのスキルを持っていてそのスキルを俺に教えてくれた。そのおかげで多くのスキルを取得することが出来た。
そのなかで取得出来たものに不思議なあった。その不思議なものとは『吸収』という使い方の分からないスキルだ。
ニムに教わりながらスキルの『剣術』を取得したのと同時に天の声(仮)が取得を告げたのがこのスキルだった。
任意で発動するタイプなのか自動発動するタイプなのかニムも初めて見るスキルらしく分からなかった。吸収という位だから相手から何かを吸収するのだろうがどうやって発動させるのか分からないとな…。
まあ、分からないものにいつまでも気をとられているわけにもいかないか…。
とりあえずニムという強力な味方を得ることが出来たし、俺もかなりスキルが増えたし、そろそろ部屋の外に出てもいいかも知れない、
俺は扉の前に立ち、もう一度部屋を見渡した。
「この部屋ともしばらくお別れかな。」
部屋を出たらしばらくこの部屋には戻る気はない、そう思うとこの部屋を出るのにも感慨深いものを感じる。
俺の生まれてからずっといた場所だし、ニムと出会った場所でもある、案外愛着がわいていたようだ。
俺は扉を開け、ニムと一緒に部屋の外へと出た。
扉の向こうに広がっていたのは同じような部屋だった。
前の部屋と違うのは本と石のベッドがなく、大きな門があることだ。
しかも門の向こうからはときどき、咆哮が聞こえてくる、何かこの向こうにいるのは間違いないようだ。
「これで門の向こうにいるのが友好的だと思うのは楽観的過ぎるか…。」
「大丈夫です。ご主人様に刃向かう愚か者は私が全て殺して見せましょう。」
お、おう、ニムが何だか物騒なことを言っているが今回はまず自分で闘ってみたい、
魔神の力がどれくらいなのか知っておきたいからな。ニムにそういうとニムは
「では今回はご主人様に守ってもらいます。きちんと守ってくださいね?」
ニムは妖艶な笑みを浮かべ、俺の後ろに下がった。
「おう、俺が守ってやるから離れるなよ!」
自分を奮い立たせるため強気な言葉を言って門を開けると、巨大な体躯にどんなものでも貫きそうな鋭い牙、どんな攻撃も弾きそうな黒の鱗持った存在が待っていた。
俺はその存在を知っていた、本に書いてあったその存在はこう記されていた世界最強の一角、
『地龍』と。