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第8話 盗賊狼の災難

人生とは災難もある。まあ人以外にもあるだろう。フェルク・リスドも例外ではない。狼獣人である彼はブラックシーフ盗賊団の一人だ。今日もカトレア草原の街道を利用している商人達を襲撃して金品を頂く手筈だった。いつものように商人を脅して終わる時にあの空飛ぶ鉄の箱が襲ってきたのだ。


箱から炎がふくたびに仲間が次々と千切れて肉片になっていく中、フェルクは荷馬車の下に滑り込むように隠れた。荷馬車の下から様子を見ていると仲間の首が目の前に転がってきた。胃の中が逆流しそうになったが必死にこらえて伏せていた。しばらくして荷馬車から這い出してみると辺りは血の生臭い匂いが充満していた。さっきまで生きていた仲間が今じゃ肉の塊になっている。嗅覚の鋭い狼獣人のフェルクにとって酷い匂いに鼻を押さえた。そしてあの箱から出てきた男二人に取り押さえられ気絶させられてしまったのだ。それが今の状況。


「ん…。」


フェルクは後頭部の痛みで目が覚めた。だが体は椅子に固定され身動きが出来なかった。ゆっくりと前を向くとあのまだら模様の服を着た男が目の前にいた。


「起きたみたいだな?」


「てめえ…どういうつもりだ!?俺をどうする気だ!」


「落ち着けよ。殺しはしない。」


フェルクは唸りながら牙をむき出しにして威嚇していた。優はまあまあと手で敵意がないことを示す。


「ここは?俺はカトレア草原にいたはずじゃ?」


フェルクが回りを見ると石造りの牢屋のような場所にいた。


「お前が気絶してる間にヘリコプターでバロシュードに連れてきたのさ。」


「へ、ヘリコプター?」


フェルクは思ったまさかあの鉄の箱のことなのかと。空飛ぶ乗り物と言えば魔導船が思い付くがあんな形の乗り物は初めて見た。


「さてと…お前の名前は?」


「フェルク…。」


「フェルクか。フェルク単刀直入に言う、お前ら盗賊団のアジトはどこだ?」


(こいついきなり本題かよ!?)


フェルクはこのまだら模様の男に唖然とした。だがそれに臆することなく。


「け、誰がお前なんかに言うかよ。ブラックシーフ盗賊団は死んでも仲間を裏切らない契りを立ててんだ!」


「何の罪もない人を殺してもか?」


「それは……。」


フェルクは反論出来なかった。確かに人は殺す、だけどそれは最後の手段だ。基本は金品だけ奪い逃げる。でも最近の盗賊団のやり方には疑問を感じていた。


「反論はしないようだな。」


「確かにあんたの言う通りだよ…。最近の盗賊団は酷いもんだ。必要ない殺し、女も犯す、そればかりさ。」


「なるほどな、でお前はそれに嫌気をさしている?」


「…。」


「そうなんだな。」


下を向き、フェルクは黙ったまま何も言わなかった。ただそれが彼の答えなのかと優は思った。すると優の裏にある木製の扉が開きスティーブが入って来た。


「どうだ優、喋ったか?」


優は首を横に振った。


「まだ喋る気にはならないようだ。」


「シット、やはり駄目か…やっぱり自白剤を使うしかないか。」


「待ってくれ、こいつは今混乱しているだけだ。暫くしたら話すだろう。」


スティーブが溜め息をついた。


「まあいい時間はまだあるしな。それと商人の親父さんがこいだとよ。」


「何だろう?」


「さあなマルチツールにも任務は来ていないしとりあえず聞きにいこうぜ。」


「了解。」


二人はフェルクを置いて独房から出ていった。ただ一人残されたフェルクは天井を見上げ独り言を呟く。


「俺の人生は何でいつもこうなんだ?」






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