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第3話 89式小銃改と17式白燐手榴弾でスライム撲滅

20分後…。



優は自衛隊で使用されている軽装甲機動車を運転していた。LAVの愛称で呼ばれているこの車両は自衛隊の普通科連隊に配備されており、小回りがしやすくタフな足回りが便利なものでもある。なぜこの車両がこの異世界にあるのかと言うと、実は万能携帯マルチツールの兵器召喚アイコンを使用して、優が呼び出したのだ。


最初は優自身、車両を召喚出来ることに驚いたが今では慣れたらしく、普通に運転をしている。優は片手でマルチツールを取り出し、任務の内容を確認。任務はRPGの最初のステップみたいな内容だった。


任務は平原に出没するスライムを殲滅するもの。しかし、これは優にとって初陣でもある。自衛隊では模擬戦ばかりで実戦は経験したことはない。だが優は特殊作戦群でも五本の指に入るほど戦闘技術は高く米軍との模擬戦では一位を取るほどだ。


大丈夫だ訓練と模擬戦でやった通りにやれば勝てる。優は自分に言い聞かせるように言った。だが相手が人間であればの話だ。相手はモンスターであり銃が効くかどうかわからない。確かド〇〇〇では剣と魔法で倒すのか?優は少し不安を感じた。そう考えている内にちょうど目的地の戦闘エリアについた。


優はLAVを開けた場所に止め、エンジンを切る。助席に立て掛けてある89式改を取り、薬室に弾を装填し、安全装置をかけて運転席のドアを開けて外に降りる。周囲を確認するとマルチツールを取り出し、GPSマップを起動した。


「マルチツールではこの辺りか…。しかしこの異世界にGPSは不思議だな」


優の言う通り確かに可笑しな話だ。普通GPSは衛星からの情報を元に構成されている。だけどこの異世界にはどうやら衛星の類いがあるのかこの異世界の世界地図までこのマルチツールで見ることができる。世界地図には一応国家は存在しているようだ。優はマルチツールを再びバックパックにしまう。


「とりあえず……スライム退治するか」


優は89式改を構え、前進した。背の高い草木が生い茂る中を踏み分けていく。〇〇〇エでは草原を少し歩いただけで敵に遭遇した。だがゲームではそうなるが今回は実戦だ。いつどこから襲い掛かって来る緊張感が優の神経を研ぎ澄ました。


その時だ。優の前方の草むらが動いた。優は銃を草むらに向けて2~3発撃った。だが反応はなかった。手応えも感じない。


優は恐る恐る草むらに近づく。突然、草むらから緑色の物体が飛び出してきた。優は咄嗟に横に転がり、その物体に銃を向ける。そこには緑色のゼリーのようなものが蠢いていた。


「こいつがスライム…?」


優は唖然とした。想像した物よりもこのスライムは透明で透き通っている。まるで青リンゴゼリーで旨そうと思った。するとスライムは優に向けて大きく振りかぶり、何かの液体を勢いよく吐き出す。


「なに!?」


優は咄嗟に横に飛び出し、液体を回避する。液体は外れ、裏にあった木に掛かる。その瞬間、液体が煙を上げ木を溶かしてしまう。なんと液体は硫酸に近いものらしく、一歩遅ければ優は溶けてしまっただろう。


スライムはまた液体を吐き出した。優はスライムに向けて89式改をフルオートで撃ちまくった。だがスライムには銃は効かないようだった。弾丸はスライムに命中はするものの、あの液体を生成する体なため弾丸は全部溶けてしまう。


「くそ!」


どうする、銃が効かないとなると何が効くんだ?優はスライムの攻撃をかわしながら考えた。ふとベストを見るとグレネードポーチに目をついた。M73手榴弾ともうひとつ白い筒の17式白燐手榴弾があった。優は手榴弾を取り出し、安全ピンを引き抜くとスライムに向けて投げつけた。スライムは餌と勘違いしたのか手榴弾を飲み込んだ。その時、手榴弾が爆発しスライムをバラバラに吹き飛ばし、大量の炎がスライムを焼き尽くした。


白燐手榴弾は本来対人効果の高い投合兵器として使用されているが、自衛隊では管理が難しいため現在は使用はされてない。しかし、優の所属する特殊作戦群では防衛省と共同開発をした塹壕制圧用の17式白燐手榴弾があることを思い出し、召喚して装備していたのだ。優は燃え上がっている方向を見た。その時、炎の後ろに何か動いた。


「まさか…!?」


優は銃を炎の方に向けた。そこには10匹近いスライムがうようよと出てきた。慌ててベストからWPを出そうとしたがなかった。優は万事休すと思った。


「そこのお前!伏せていろ!」


何処からともなく声がした。優は咄嗟に伏せる。次の瞬間スライムの集団が激しい爆発と共に吹き飛んだ。優の辺りにスライムの残骸がべちゃべちゃと降り注ぐ。


「ゴホ、ゲホ、一体なんだ?」


優自身何が起きたのかさっぱりだった。体にどろどろしたゼリー状の物体がへばり付いている。スライムがいた場所を見ると地面がぽっかりと穴が出来ていた。


「危ない所だったな?」


すると裏の方から声が聞こえた。優は銃を反射的に構える。そこには回転式のM32グレネードランチャーを持った一人のアメリカ人男性が立っていた。


「落ち着けよ、大丈夫だ俺は味方だ」


「それを証明出来るのか?」


「ああ、これを見れば分かる」


男性はアメリカ陸軍が着用している戦闘服のポケットから小さな端末を取り出した。それは優と同じマルチツールだった。優は銃を下げると男に言った。


「あんたは何者だ?」


男はマルチツールをしまいながらに言う。


「俺はアメリカ合衆国陸軍所属、スティーブ・アームストロング大尉だ」



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