第29話 神からの着信あり
更新遅くなってすいません。再開します。
塔の真下から未だに煙が上がっており、惨状が広がっている。
「…ヤバイなこれ。ドラゴンを無反動砲で倒すなんて、ありえん」
優はドラゴンを倒したことに自覚が持てず、ただ唖然とするしかなかった。それもそのはず、あの状況でドラゴンの口にーー砲弾を正確に撃ち込むことなどまず不可能だ。あのドラゴンはその前に落とした小型のものよりも頭がよく、学習するようでミサイルが来た途端に、火球を放って撃ち落とすことまで出来た。
そんな絶対防御でおつむの悪くないドラゴンを、優は意図も簡単に倒したのだ。たった数秒の炎を吐き出す合間に。
するとバッグパックから電子音が鳴った。
「ん?」
バッグパックに手を入れてみると、僅かに振動している物があった。取り出してみるとそれはマルチツールだった。
「嘘だろ…?電話の機能なんて搭載されていなかったのに」
確かにマルチツールは召喚、マップ情報、その他多数の機能はある。しかし、ただ一つ電話を除いて。
「しかも非通知って…」
画面には登録されてない番号から掛かって来たのを知らせる、非通知の文字が出ている。異世界で非通知の電話と言うものは可笑しすぎる。その下には通話許可、拒否のアイコンが。優は恐る恐る通話許可のアイコンをタップし、ゆっくりとマルチツールを耳元に近付けた。
「もしもし?」
『どうも!初めまして。伊藤、優さんですね?』
突然、若い男の声がマルチツール越しに響いた。
「なぜ俺の名前を?一体、お前は…?」
『おっと、失礼しました。まだ自己紹介がまだでしたね。僕は神の代行者です』
「神の代行者だと!?」
『ええ』
なんと優が話してる相手は、いままで自分達にメールで指示を出していた神の代行者張本人からだ。
『連絡が遅くなってすいません。何せ未完成な端末なんですよ、これ』
「あ、ああ。それは問題はない。むしろ高性能過ぎて便利だ」
『それはどうも。さて、貴方も僕に聞きたいことが沢山有るみたいですね?』
「そうだ、聞きたいことが山のようにある。あんたは俺達に何をさせたいんだ?」
優の問い掛けに、神の代行者は落ち着いた口調で話を続ける。
『やはり気になりますよね?この世界に、なぜ皆さんが呼ばれたのかを』
「教えてくれ」
『詳しいことは言えないのですが、あなた方を呼んだのはあることーーつまり、この世界で任務を遂行して頂くためなんです』
「任務、だと?」
『はい』
「あんたが出す任務のために俺達は呼ばれたと?」
『その通りです』
釈然としない返答に優は違和感を感じた。
「俺達が納得すると思うか?それで」
『確かにな無理もありませんよね?いきなり死んでしまったのに、異世界で蘇って戦えなんて、馬鹿げてますよね?』
「そうだな。確かに虫が良すぎる。俺達は訳もわからず、この世界に来たんだ。それなりの説明をしてくれよ」
ここまで神の代行者の指示通りに動いている。理由も知らず、ただ命令通りに動いていた。ましてや自分達は現状をある程度は理解出来たものの、まだ心の整理がついてないのが現実。
『ふむ、では一部の情報をお伝えするーーのでどうでしょうか?』
ここまで来て一部の、とは納得がいかないが仕方がないだろう。優は不本意ながらも承諾する。
「分かった、それで構わない説明してくれ」
『分かりました。実はあなた方に出している任務は……実はある戦略遊戯の一環で行われてる物なのですよ』
「戦略遊戯?何だそれは」
『簡単に言えば、神々の戦略シュミレーションゲームと言えばよろしいですかね…』
「ゲームだって!?」
神と呼ばれたを男の口から飛び出した言葉は、優にとって驚くべき事だった。神の代行者はその後、様々な事を話した。この世界に優たちを転生させたのはその戦略ゲームを行うためでもあり、そしてゲームで使用する駒でもあったのだ。
「それじゃ…俺たちの他にも転生された連中がいるのか?」
『ええもちろん。僕と同じように他の神も、現実の世界から人々を転生しているんです。駒としてね…』
「命を弄ぶ気なのかお前は?」
『僕はそんな不謹慎な行為は嫌いなんですよ。命を弄ぶのはね。それに皆さんにはなるべく死んでしまうのは避けたいんです。だから色々と生存確率を上げる物を提供してるではありませんか?』
「では死んでしまったらーーどうなるんだ?」
一度、自分達は死んでる身。更にこちらの世界で死んでしまうのは検討もつかない。
『ああそれはご心配なく。もし死亡してしまったら元の世界に生きて変えれます』
「生き返れるだと?」
『ですが……デメリットが有ります。生き還ることはできますが、こちらの世界での記憶はすべて消去され、別の生き物として生き還るでしょうね』
「別の生き物としてだと…?た、例えば?」
『例えば動物とか、はたまた微生物に』
「嘘だろ?人間として蘇ることが出来ないのかよ!?」
優は納得がいかず、声を荒げる。電話越しに神の代行者が宥め、理由を話した。
『まあ落ち着いてくださいよ。これには理由がありましてね…。今いる世界から別の世界に転生する際、膨大な神力を消費するんですよ』
「神力?」
何やらネット小説に出てきそうな用語。
『そうです。例えるなら準備コストみたいな物で、それらは転生させる人によって異なるんです。神々は自身の持つ神力を糧とし、人々を転生させる。ですが、神力は無尽蔵に在るわけでもなく、限りがありますがね』
「限りがあるのか?神様なのに?」
神の代行者はそれを聞くと苦笑した。
『フフ、神にも限界があります。創作物の神のように振る舞ってしまっていたら身を滅ぼしてしまう原因になりますからね。だからこそ限りが有るんですよ』
「じゃあ……戻るにしてもその神力が?」
『はい。来る時以上の神力が必要になるんです。だから他の神は神力がそれほど掛からない方法を選んでしまうんですよ』
「何てこった……」
優は塀にそのまま凭れる形でズルズルと落ちていく。折角、元の世界に帰れる方法を見つけたと思ったら、その方法は余りにも酷いものであったせいで、体の力が抜けていくようだった。
『ふぅ、だいぶ話し込んでしまいました。今回はひとまずここまでですね。またの機会にお話しします。では無事に任務を遂行できることを願っております。それでは』
「ちょっと待て!まだ話がーーー」
ふと我に帰り、慌てて話を聞こうとしたが電話はそのまま切れてしまった。




