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第22話 和解と魔導銃

「ふぐ…えぐう。」


食堂に嗚咽が響く。フェルクの顔の近くに9mm弾の薬莢がゆっくり転がって来た。フェルクは今の状況を理解出来ずにた。


「あんただけ殺しても…あたしの怒りは消えない。」


ティナは拳銃を空に向けていた。


「あんたは運がいいのね…。今回は見逃すわ。」


彼女は拳銃を下げる。それを見計らって優がティナの手にある9mm拳銃をゆっくり取り、ホルスターに戻した。ティナは大きく深呼吸をすると言った。


「あたしがこの変態狼を本当に殺すとは思わなかったの?」


優は少し笑みをこぼす。


「君は初めからこいつを殺す気なんてなかったんだろう?本気でやるならとっくに撃ち殺していた。」


「もし本当に殺すとしていたら?」


「そしたら君の腕をねじ伏せて、首もとにナイフを突き立てたかもな。」


「フッ、あんた面白いわね…優。」


ティナはそうに言うとフェルクの近くに歩いていく。


「ひぃ。」


フェルクは両腕で頭を抱えて、怯えた声を出す。


「今出してあげる。有り難く思うことね。」


「うぅ…はい。」


フェルクの顔は涙と鼻水まみれになり、狼の顔を汚していた。よほど怖かったのだろうか、まだひどく泣いている。その間に優が再度角材を持ち、瓦礫の隙間に突っ込んだ


「スティーブ、ティナ、二人はフェルクを引っ張り出してくれ。俺はこの瓦礫を退かす。」


「了解。」


「分かった。」


「行くぞ…せーの!」


優は全身の力を入れて、瓦礫を退かし始めた。フェルクの上に乗る瓦礫が少しずつだが動き始めた。


「今だ!引き出せ!」


優の合図と共にスティーブとティナの二人は、フェルクの上着を掴み、急いで引き抜く。フェルクが出された事を確認すると優は瓦礫を下ろした。


「フェルク、大丈夫か?」


「うぐ…平気だ…。」


フェルクは起き上がる。見たところ怪我はないが、精神的なダメージが大きいみたいだ。


「ほら、男なんだからしっかり気を持ちな。」


ティナが活を入れる。


「ごめんなさい…。」


ティナの方を向くとフェルクは謝罪をした。その証拠に耳と尻尾を下げて、反省モードに入っている。ティナは荷物入れの中から白い布切れを出すとフェルクに渡す。


「別にいいよ。ほら、これで拭きな顔。」


「ひぐ…ありがとう。」


フェルクはティナの出した布切れを受け取ると顔を拭き始めた。


「これで和解かな?」


「多分…。」


スティーブと優がその光景を見て言った。その時二人の間を弾丸が掠めとる様な音がした。


「銃声!?」


「伏せろ!」


咄嗟に瓦礫の影に隠れると優とスティーブは銃を構えた。弾丸が飛んできた方を見ると盗賊の男が長いライフルに似た武器を持って立っていた。男はライフルを構えると優達に向けて発砲した。弾丸は優の隠れる瓦礫に当たる。激しい土煙を上げる中、優は89式改を構え、男の頭を狙い撃った。


男は頭を撃たれ、瓦礫の山の上に倒れた。


(まさか異世界に銃の類いがあるなんてな。)


優は倒れた男の近くまで行く。男が死んでいるのを確認する。


「クリア!」


優はそれを言うと男のライフル銃を手に取る。ライフルは火縄銃の様な形状をしており、意外に普通の銃よりも重量があるようで重い。しかも銃の両面を見ると何かの文字が刻まれている。微量だが発光もしている。するとティナが言った。


「それ…積み荷の魔導銃じゃない!」


「魔導銃?」


「そう、あたしが護衛していた商隊の積み荷よ。何でこいつらが?」


優は魔導銃を見た。ファンタジーゲームでは銃はあまり登場はしない。特定のキャラクターや職種しか扱えない代物と知られており、攻撃力もそれほど高くはない。だがこの魔導銃はかなりの威力を持っていたようで、優の隠れていた瓦礫がほとんど破壊されてしまった。


「なんて威力だよ…。」


優は驚きを隠せなかった。


「それもそうよ。何せ王国軍専用の武器だからね。」


「とんでもない武器だな、これ。」


「でも可笑しいわね…この魔導銃は強い魔力がなければ本来の力を出すことが出来ないのに。」


「本来の力?」


「ちょっと貸して。」


ティナが優の魔導銃を取ると、銃の側面部分を指差した。


「この文字、光って見えるかしら?」


青い奇妙な文字が微量な光を発している。


「あぁ、確かに光輝いてるな。」


「実はねこの文字は術者の魔力を高めて増幅する力があるのよ。」


「どういう事なんだ?」


「ちょっと…あなた知らないの?」


ティナが少し呆れた様子で言う。


「すまん、俺達二人は魔法に弱くてね…。魔法すらない国の生まれだからな。」


「まあいいわ…簡単言えばこれは魔法文字。この魔法が弾丸の代わりになる。」


魔法が弾丸の代わりになる?


「例えば?」


「炎の弾丸や氷の弾丸、雷の弾丸と他にも色々あるわ。」


つまり銃から魔法の弾丸が発射可能で、弾薬要らずの無限に使える武器なのかと優は思った。確かにF〇では銃使いと呼ばれる職業がある。魔法の銃を操り、敵を牽制することが出来る。だがこの世界の魔導銃は何か違うような気がする。


「なるほど、でもティナ、さっきの強い魔力がなければなんて言っていたけど?」


「これは魔法使い専用の武器なのよ。魔力が低い人間が使っても威力がない魔法弾しか出ないわ。」


優は自分が隠れていた瓦礫を見た。


「だけど…瓦礫を破壊する威力はあるのか?」


「たまたまその男が強い魔力を持っていたのかもしれないわね。」


その時、破壊された食堂の入口から炎が飛び出してきた。


「危ない!全員伏せろ!」


スティーブが叫ぶ。咄嗟に優とティナが伏せた。炎は二人の上を過ぎると奥の方で爆発した。優は炎が飛んできた方を見ると、魔導銃を持った盗賊達がぞろぞろと入口から入ってきた。

















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