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第18話 捕らわれた猫耳少女

優は跳ね上げ戸をゆっくりと開け、素早く床に出た。9mm拳銃を構え、周囲の安全を確認すると、下にいるスティーブ達に合図を出す。スティーブがそれを見ると頷き、ハシゴを登り始めた。その間に優は辺りを探索し始めた。


どうやら食糧庫のようで様々な食糧が置かれているのが分かる。青カビの生えたパン、何の肉か解らない乾燥肉などがところせましにある。優が倒した盗賊の男は食糧庫から食べ物を持って行く途中だったらしく、手にはパンと酒の瓶が握られていた。


ちょうどスティーブとフェルクが上がって来た。


「くはー、やっと新鮮な空気だ…。」


「鼻が曲がりそう。」


スティーブはマスクを外し空気を取り込み、フェルクは狼のマズルを押さえむせている。


「ん?ここは貯蔵庫か?」


「そうみたいだ。」


優は9mm拳銃をホルスターに戻し、89式を再び構え直す。スティーブがマスクを外して言った。


「優、盗賊の頭は生け捕りにするのか?」


「もちろんだ。そいつには罪を償ってもらわないといけない。作戦に変更はないよ。」


今回の作戦で盗賊の頭であるザルドス・バーゲインスの首を持ってくるのが本来の目標である。だが生首を持ってくる経験(流石にグロいので)がない優達は生きて捕まえて騎士団に連れて行くことにしたのだ。


「了解だ。それ以外は抵抗があれば倒していいんだな。」


「任せる。」


その時、フェルクが死んでる盗賊の男に近くと何かを探し始めた。上から下にかけてくまなくだ。


「フェルク何を探している?」


「こいつ、この砦の鍵を持っているんだ。」


「鍵?」


するとフェルクが男のズボンのポケットに手を入れると、小さな金属製の輪が出てきた。輪には大量の鍵がついている。持ち上げるとじゃらじゃらと音がした。


「随分…あるんだな鍵。」


「そりゃ、砦全体の部屋の鍵だからね。」


とにかくこれがあれば砦の隅々を調べる事が出来る。フェルクが鍵をしまうと優が言った。


「フェルク、ザルドスはどこにいるんだ?」


「頭はこの時間自分の部屋にいると思うよ。たぶん…女と寝てるかも。」


「場所はどこにある?」


「この砦の領主の部屋にいる。」


「案内を頼む。」


「分かった、着いてきな。」


フェルクは優の指示に抵抗がなくなったのか、すんなりと従うようになった。何だか上下関係をはっきりさせたみたいだ。フェルクは食糧庫の扉に近付き、ゆっくりと開けた。その後に優とスティーブが銃を構えてる。フェルクが扉の隙間から顔を出すと廊下の左右を確認した。


「大丈夫だ。」


フェルクは廊下に出る。優達もそれに続いて行った。


「周囲敵影なし。」


「こちらもクリア。」


その時だ。


「キャアアアアアアアア!!」


廊下全体に響く悲鳴。


「何だ!?今の悲鳴は?」


「こっちから聞こえた!」


「独房だ!」


「どこにある!?」


「この先の突き当たりを右だ。」


三人は急いで駆け出した。廊下を走り、突き当たりを右に行くと扉があった。


「フェルク!開けろ!!」


フェルクが慌てて鍵を探し始めた。だが鍵は数十個も有るため焦る気持ちも重なってしまい、鍵を落としてしまった。


「どけ!」


見かねたスティーブがフェルクを突き飛ばし、ショットガンを構え、扉の錠前の部分に向けて撃ちまくった。木製の扉だったため錠前の部分は吹き飛んだ。スティーブが扉を蹴り飛ばすとショットガンを構えて中に突入した。


「GO!GO!」


スティーブの掛け声と共に優も89式改を構えて続く。


「な、なんだ!?てめえら?」


「うわ!?」


中に入ると沢山の檻あり、その中央には盗賊の男三人が一人の女性を犯してる最中だった。優は銃を男たちに向けた。


「動くな!今すぐその女性から離れろ!」


優は警告する。男たちは状況を理解する事が出来ないのか口を開けたまま唖然としていた。だが一人の男が短剣を持って優達に襲い掛かって来た。優は89式改の銃身の下に取り付けられたマスターキーの引き金を引く。淡い炎が噴き出すと同時に男の腹を吹き飛ばした。


その裏にいた男二人の顔に血が飛び散った。襲い掛かった男は倒れる。よく見ると腹部が破け、中の臓器がはみ出していた。


「もう一度言う、この男と同じになりたくないなら今すぐ離れるんだ。」


男二人は恐怖に駆られ、そのまま尻餅をつき後退りした。それを確認した優がスティーブにアイコンタクトをする。スティーブはゆっくり近付くと女性の安否を調べた。だが女性はすでに死んでいた。目は半開きのまま涙を流していたのか筋が出来ている。スティーブは女性の目を左手で閉じた。


「フェ、フェルク!?生きていたのか!」


盗賊の男が驚きの表情で言った。だがフェルクは目をそらす。男はそれに構わず言う。


「お前、カトレア草原でてっきり死んじまったと思ったんだぞ?おい…何でこいつらと一緒なんだ?」


「それは…。」


フェルクが言いかけた時に優が言った。


「彼には俺達に協力してもらっているのさ。」


盗賊二人は驚きと失望が混ざった表情になった。フェルクは耳と尻尾を下げてしまい今にも逃げ出したい気分になった。


「フェルク…てめえ裏切りやがったな!」


「あれほど頭に世話なったのに仇で返すのか!」


二人はフェルクに罵声を浴びさせてきた。だがフェルクは黙ったまま何も言わなかった。見かねたスティーブが優に聞いた。


「優、こいつらはどうする?拘束するか?」


「捕虜にする余裕はないよ。それに今の銃声で仲間が来ればこいつらは解放される。」


「そうだな…戦力は少ない方がいい。」


スティーブはホルスターからM9A1を取り出し、銃口にサイレンサーを取り付けた。そして盗賊の一人の頭に向け、頭を撃ち抜いた。隣にいた男は小さな悲鳴を上げた。スティーブは隣の男の頭に再び狙いをつけた。男は必死に命乞いをし始めた。


「た、頼むよ。命だけは助けて。」


「悪いな…これも任務の為だ。」


躊躇なく拳銃のトリガーを引き、男を射殺した。スティーブは拳銃をホルスターにしまう。その間優は亡くなった女性達に布を掛けて、手を合わせた。スティーブは優の行動を理解する事が出来なかった。


「優?何をしている?」


優は手を合わせ終わると言った。


「日本では死者に対して冥福を祈って手を合わせるのが当たり前なんだ。それに彼女達をこのまま野晒しているのは駄目だと思ったのさ。」


「そうなのか…ステイツでは他国の民間人を弔うこと何てないからな…。」


一方フェルクは考え事をしていた。自分は元々は森に捨てられてた所を頭であるザルドルに拾われ、衣食住を提供されてここまで育った。教育は一通りの読み書きとそして盗みの技術を教えられた。


そんな自分は盗賊団を裏切り、優達の作戦に協力して恩を仇で返そうとしている。ザルドルは自分を恨むだろう。


「フェルク、大丈夫か?」


優の問いかけにフェルクはハッと我に変える。


「う、うん…。平気だよ。」


「気にすることはない、お前は間違ったことはしてない。むしろ正しい事をしているんだ。コイツらといればお前はダメな人生を送る所だったんだ。」


「でも…。」


フェルクが言いかけた時だ。


「優、来てくれ!生存者がいた!」


スティーブが独房の奥で叫んだ。


「フェルク、今は余計なことは考えるな。」


「わかったよ、優。」


二人は独房の奥へ駆け出した。独房はかなりの広さのようでいくつもの牢屋があった。ふと牢屋を見ると白骨化した死体が見える。盗賊団はどうやら捕らえた人々をここに閉じ込め、監禁をしていたようだ。さっきの行為を見ても女性は処理道具に、男性はオマケの様に扱われていたに違いない。そう思うと優は少し怒りを覚えた。


独房の一番奥に着くとスティーブが一つの牢屋の前に立っていた。


「スティーブ、生存者はどこに?」


「ここだ。」


スティーブが指差した先には一人の布を被った人物が手足を拘束された状態でいた。微かだか呼吸はしているようだ。優が声を掛けた。


「おい!大丈夫か?」


返事はない。


「小僧!早く開けろ!」


「わ、わかった。」


スティーブがフェルクに言うと牢屋の鍵で扉を解除した。扉は錆び付いているのか軋み、不快な音を立てながら開いた。優が急いでその人物に近付いた。


「おい!しっかりしろ!」


優が肩に手をかけた時その人物の頭の部分の布がはだけた。


「何?」


優とスティーブは驚いた。その人物は女性だ。だが頭には本来なら付いていないものがある。


「耳だと…?」


女性には猫のような耳と細長い尻尾があるではないか。





次回ついに盗賊団と戦闘を開始します。

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