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オレ嫌われてる!?

「はぁー…」


ため息をついて、オレは近くの腰をかけれそうなブロックの上に座る。

ボスのドラゴンを倒してもとの世界に帰ったのはいーけど、勉強とか全然わかんねー…


今オレがいるのはもともとオレが通う予定だった近くの私立高校だ。その学校の外でブロックの上に座り、悠人がジュースを買って来てくれるのを待っている。


…もとの世界に戻ったオレは何故か、変な人に誘拐されていたということにされていた。

まあ、後で悠人に聞いてみたら「オレたちが戻った時にいろいろあったんだよ」と言っていたが。

うん、結局意味わかんないね。


「んー、いろいろ考えたところで仕方ねーし、今日も一日頑張るかぁ」


オレは腕を伸ばせるだけ上に伸ばして大きく背伸びした。

それにしても、悠人おせーなー。もう五分近く経ってんだけど。


「あ、修也、こんなところで何してるんですか?」


「ん?あー、冷か、何って悠人待ってんだよ。ジャンケンでオレが勝ったからな!悠人がジュースを買って来ることになってんだ」


オレはドヤ顔で冷の方を見る。

すると、冷がどこに隠し持っていたのか知らねーが、ハバネロらしき物を取り出し始めたので慌ててオレは逃走体制をとる。


「あれ、如何にもハバネロくださいって顔してたのにいらないんですか?」


いらねーよ!口が死ぬ!っていうか何で学校にまでハバネロ持ってきてんだよ!


オレは冷の持っているハバネロを取り上げ、その後どうするか思いつかなかったので結局冷の手に戻した。


「…何がしたかったんですか」


「うっせーな!別に何だっていーだろ!」


すると、冷が何かを思い出した様に首を傾げた。


「急にどうしたんだよ」


「いや、別にどうでもいいことなんですけどね。今言うことでもないし」


「むー…、でもそんなふうに首を傾げられたら気になるじゃねーか!言え!!言いなさい!」


オレは冷に向けて指を差しながら言った。

冷は面倒くさいなーとでも言うようにオレの方を見てくる。

じゃあ何か思い出したように首傾げんじゃねーよ!


「いや、本当今、ふと思ったことですよ。何で弘毅は悠人にはいつも笑顔で話してるのに修也には無愛想なのかなー…て」


何、喧嘩売ってんの?


まあ、オレが無理やり聞いたのでそこは頑張って言うのを抑えた。それに、オレだけに無愛想ってわけでもねーだろ!多分。


「…そんなの知らねーよ、ってうか弘毅って悠人の前では笑顔なのか!?」


「へ?修也見てないんですか?悠人と弘毅がはなしてるところ。

いつも弘毅も悠人も笑顔で会話してるじゃないですか」


「見てねーよ!」


そんなのいちいち見てるわけねーだろ気色悪い。


「うーん、なんででしょうかねー、弘毅も別に修也のことを嫌いな様には見えないんですけどねー」


「よし、じゃあ悠人のところに殴り込みに行くか!弘毅に何をしたか全部吐かせてやる!!」


「なんでそうなるんですか。

あーアレですかね、それってハバネロを口に入れてっていうサインですかね?

じゃあ遠慮なく♪」


「いや、それもなんでそうなるんだよ!」


オレは冷から3歩4歩と後ずさりする。

そして口にガムテープを貼って絶対防御の姿勢をとった。

これぞハバネロ効かねーぜ作戦!どんなハバネロもこの無敵のシールドでシャットアウトしてやるぜ!


すると冷はハバネロをオレに見えないようにどこかにしまい、ハバネロをオレの口に突っ込むのを諦め…た?


「ギャアっ!ッテェーー!」


冷はガムテープをオレの口から勢いよく剥がし、一言。


「バカですか?」


じゃあハバネロで攻撃すんじゃねーよ!

冷がハバネロで攻撃してこなかったらオレもこんな作戦使わなくてよかったんだよ!


オレは激痛のはしる口もとを両手でおさえながら冷を睨みつけた。


しかし冷はそれを普通にスルーし、遠くの渡り廊下に視線を向けた。


「あ、あれ悠人じゃないですか?ジュースを2本、いや3本抱えて私たちの方へ走ってきますよ」


それを聞いたオレは冷と同じように渡り廊下の方へ視線を向けてみる。

…あ、本当、悠人が走ってきてる。

って、なんでジュース3本?


「おー!修也!ごめんごめん、途中で冷を見つけたからさ、冷の分も買いに行ってたら時間かかった」


そう言って悠人はオレと冷にジュースを渡してくる。

冷は「ありがとうございます」と言いながら、オレは無言で悠人の手からジュースを奪いとった。


悠人はオレたちにジュースを渡すと、疲れた疲れた!とサッサとジュースを開けて口へ運んだ。

そして十秒もかからないうちに全部飲み干す。


「いやー、さすが悠人、もう少しゆっくり飲めばいいのによ」


「私、そんなに早く飲めませんよ…」


上からオレ、冷の順に悠人に向かって言った。


「大丈夫!練習すれば2人共できるようになるって!」


…いや、誰もそんなこと言ってねーよ!冷はともかくオレはそれくらいの早さで飲もうと思ったら飲めるしよ!

オレもジュースを全部飲み干し、悠人に渡した。


「えぇ!?買いに行ってやったんだから次は修也の番だろ!?」


「フッ、ジャンケンに負けたクセに何言ってんだよ、負けたんだから捨てるのも悠人に決まってんじゃねーか!」


そう言って、空のジュースを拒む悠人の手を無理やり押し返し、悠人に捨て役を押し付けることに成功した。

まあ、悠人のことなので「まあ別にいいけど」と言いながらオレの分だけでなく冷の分も一緒に捨てに行ってたが。


そしてジュースを捨て終わった悠人がオレたちの方へ戻って来て、近くのブロックに座る。


「あ、そういや悠人ー。弘毅がお前だけには笑顔で会話してるって話を冷から聞いたんだけどどういうことだ!?」


それを聞いた悠人は一瞬首を傾げ、何か思い出したのか「あーあれのことか!」と、手のひらを下にして拳でそれを叩きながら言った。


「いやー、弘毅ってさ、誰に対しても無愛想だろ?」


「?、うん、まあそーだけど。それがどうしたんだよ」


そしてその後悠人が何故かドヤ顔を決めて、座っていたブロックから立ち上がった。


「だからオレが弘毅の無愛想をなくすために笑顔で会話する特訓をしてあげてたんだよ!」


ズコォーッ!っと音を立てながらオレは前に滑り倒れる。

まあ、とりあえず、弘毅が悠人とだけ仲が良くて、オレたちのことを嫌ってるってわけじゃなかったってことだよな…。


「え?話を聞いてて思いましたけど、別に私とか千香には無愛想ではないですよ?まあ、素直じゃないなーって思う時はありますけど」


冷…そういう無駄な一言は言わなくていーんだよ!!

なんか、このままじゃオレだけが弘毅に嫌われてるみたいになるじゃねーか!!


「え…ま、そんなことどうでもいいだろ、弘毅だって修也に助けられたからここにいるんだし、修也には感謝してると思うよ!」


うん、そうだよな悠人!オレがいなかったら弘毅もここに来ることもなかったんだしよ!さすがに嫌いってまではない!ないよな!

オレは心にそう言い聞かし、午後の授業が始まる前に2人と教室まで戻った。




そして、学校が終わり、家まで帰ったオレは弘毅のところまで一気にダッシュする。


「なあ、弘毅!弘毅ってオレのこと嫌いか!?」


「は?急になんだよ気持ちわりぃ…」


「ん?あー、ワリーワリー、学校で弘毅の話題になっててよ、ちょっと思ったからよ」


「ふーん、…いや、別に嫌いじゃないけど。一応オレを助けてくれた人だし」


その言葉を聞いたオレは「だよな!だよな!!」と言いながら弘毅に向かって飛びついた。


「気持ちわりーんだよ」


結局こうしてオレは、弘毅にけとばされ、宙に舞った。

まあ、嫌いじゃないって言われて、無事じゃないけどよかったぜ!

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