商店街にて!
「ふあぁ〜」
オレはまだ眠気の残ったようなあくびをしながらベッドから起きた。
そして階段を下りてリビングに行き、適当に盗んできたパンなどを口へ放り込む。
オレはパンを食べ終えると、冷蔵庫をあさくりアイスを一つ手にとった。
やっぱりこれを食わねーと目は覚めねーよなー。
シャリシャリと氷を削るような音をたてながらアイスを食べた後、アイスの刺さっていた棒をジッと見つめる。
ちっ、ハズレじゃねーか!
アイスの棒をゴミ箱に向かって投げつけるが見事に外れて床を転がる。
結局もう一度とりにいき、次は投げずにゴミ箱の中へアイスの棒を落とすように捨てた。
「じゃあ、そろそろ行くかー」
そう言うとオレは玄関へ向かって歩き、外へそのまま出た。
とりあえず先に商店街に行って元の世界へ帰る挨拶でもしていくか!
商店街へ行くことを決めたオレは家を飛び出てその勢いのまま商店街へ向かって走り続ける。
そういやオレだいぶ方向音痴が治ってきんじゃねーか?
こうも迷いもなく走って目的地に着くことは元の世界では一度もなかったしなー。
あ、でもまだオレの家では迷子になるぜ!
家から離れて数分後、商店街のど真ん中までオレは移動していた。
そして、オレを見つけた商店街の人達がおー悪ガキーっ!と近寄ってくる。
…オレ、前はおっさんからしか悪ガキっていわれてなかったんだけどなー。
なんか今は商店街のほとんどの人から言われるんですけど!?
「うっせーな!オレは悪くねーし、ガキじゃねーっていってんじゃねーかぁ!!」
そう言ってオレは近くまで寄ってきていた人達をはらいのける。
なんかすごく腹がたったオレはそのまま歩いてコンビニの様な店の中まで移動した。
まあ、見た目は全然コンビニみてーじゃねーけどな。
「…なんでこんなに悪ガキ悪ガキって呼ばれんだよ!?」
オレはカウンターのところで座っているガラの悪そうな店長の前でバンっと大きい音を鳴らしながら手をつく。
そして近くに売ってあったアイスを適当に盗んだ。
「あぁ?そりゃあテメーがそう呼ばれるような事ばっかしてるからだろ」
まだアイスが盗まれたということに気づいてない店長は呆れながらそう答えた。
「確かにそうかも知れねーけど…それでも今まではおっさんと、店長からしか言われなかったんだぜ?でも今はそれ以外の人からも悪ガキって言われんだけど!なあ!おかしくねーか!?」
オレがそう言ってアイスを頬張ると、それに気づいた店長が金払えっ!とオレの頭をカウンターの上に押し付けてきた。
因みに、店長は25歳ぐらいで唯一おっさんじゃねーのに最初から悪ガキと呼んでいた人である。
「あーいってーな!これに答えてくれたら払うって!!」
オレがそう言うと、いやそれもおかしいからな!?と、そう言いながらも店長はオレの頭から手を離した。
「まあ、アレだ!テメーがあのボスドラゴンをぶっ倒してくれたからな!そりゃあお前を知らねー奴なんかここにはいねーよ!まあ、オレはそんなドラゴンとか知らなかったからよくわかんなかったんだけどよ。えーっと、まあありがとな」
そう言って店長は、か・ね・は・ら・え、というような感じで手をオレに向けてきた。
オレはその手の上にアイスの棒を置き、続けてもう一本新しいアイスを手に取る。
「なあ、感謝されんのは嬉しいんだけどよ…結局みんなから悪ガキって言われてることと何も関係ねーじゃねーか!」
オレがドンっと、カウンターを叩きながらそう言うと、続けて店長が金払えよ!!とカウンターを叩いて立ち上がった。
「ドラゴン倒して有名になったからって言っただろ!?まあ、他の理由って言ったらオレ達がいろんなところで言いまくってたからってのもあるかもな。もうここでは悪ガキって言ったらテメー以外ありえねーからな」
やっぱりお前らのせいかぁ!!
お前らがいろんな人に悪ガキ悪ガキ教えるからじゃねーか!!
オレは2本目のアイスの棒を店長の手のひらの上にのせ、3本目のアイスを取りながら、店から逃走した。
「あ!?逃げんなゴラァ!!ふざけんじゃねぇぞ悪ガキぃ!!」
そう言いながら店長がオレを捕まえようとするが逃げるのが大得意なオレの足には敵わず、店の前を出たところですぐに足を止めた。
オレは逃げきったことを確認し、走るスピードを弱めすぐ近くにあったベンチに腰をかける。
って、あ、ここギルドの近くじゃねーか?
ギルドの建物が少し離れたところにあることに気づいたオレは、すぐにベンチから立ち上がりギルドの方へ向かった。
まあ、ギルドとかあまり行かなかったし知り合いとかいねーんだけど…
ん?あ、いたか!そういやアリサと葵もギルドの人だったな!
オレがギルドの建物の扉を開くと、なんとなくわかってはいたけどやはりオレに気づいた奴らがすぐに近づいてきた。
「あ!君があの悪ガキだよね!本当にありがとう!君がいなかったら今頃ここはどうなっていたことか…」
うん、感謝してくれてんのはわかるんだけどよ、悪ガキって言うな悪ガキと!!
オレは今お礼を言ってきた優しそうな騎士の様な格好をした青年にデコピンをして、数メートル吹っ飛ばす。
そして、一言。
「うっせーな!お礼言ってくれるのは嬉しいけどよ!その悪ガキってやめてくれねーか!!?」
あ、一言じゃなかった。まあ別にいーか!
すると、優しそうな青年は目の上を手で押さえながら
「ごめん……確かに変な二つ名だなーとは思ってたんだけど、みんな言ってたからつい…」
と言ってきた。
いや、普通に悪ガキってみんなから言われてるだけだから、二つ名でもなんでもねーよ!!
でもまあ、気の弱そうな奴だし、これ以上口には出さねーでおくか。
オレはこの後も悪ガキありがとー!という声を何度も聞くことになり、すごくムカつくのか嬉しいのか訳のわからない状態になっていた。
「あぁーー!!イライラする!!」
オレはギルドを出て、アーロンさんのところへ行こうとする。
すると、ギルドを出たところでばったりアリサと会ってしまった。
「あ、修也君!なんか今日は人気者だねー」
アリサがニヤつきながらそう言ってきた。
この様子からしてオレがなんて言われてるか知ってるみてーだな。
「アリサ、お前までオレのこと悪ガキって言ったらオレマジで怒るからな!?」
「言わない言わない、でも修也君が悪いのさー、いっつも盗みとかやってたらしいし」
うっ…それはそうだけど。
でも違うんだよ!お礼言いながら悪ガキって言うなっていってんだよオレは!!
「あ、でももう悪ガキとはあまり言われないと思うよ。僕と葵が魔法で悪ガキと修也君に言っちゃダメということをいろんな人に伝えて回ってるからさ!」
するとアリサがこう言った。
おー、助かった…後少しでトラウマになるところだったぜー。
あ、すぐ忘れるからトラウマにはならねーか。
「いやー、これで修也君がいい子になるんだったらよかったんだけどさー」
「は?これくらいでそんないい子とかなるわけねーだろ!」
オレはそう言いながらアリサに足払いをしかけ、アリサは後ろに簡単に倒れた。
「あでっ!」
あ、なんか聞いたことある奇声…。
オレがそんなことを思っているとアリサが頬を魚のフグのように膨らませてオレを睨みつけていた。
「あー、ゴメン悪かったって」
「嘘つき、全然悪いって思ってないのさ!」
うん、思ってないです。
オレは首を縦に振って頷き、なんか持ってた3本目のアイスの棒をアリサに向かって投げつけた。
「じゃ、おれアーロンさんのところよって元の世界に帰ろ。じゃーな、また会おうぜー」
オレはアリサに向かって手を振り、動きだそうとする。
「うん、またいつか遊ぼうねー!僕待ってるからさ!」
アリサもオレに向かって手を振り、こう叫んだ。
よし、じゃあ最後にアーロンさんのところへ行って、千香達のところに帰るか!




