決断!
「実はみんなに言っておかねーといけねーことがあるんだよな」
そう言ってオレは、歪んだ空間が最大まで溜まったM92Fをみんなの前に出した。
「いやー、今の戦いで歪んだ空間が最大まで溜まったらしくてよー、みんなもとの世界にやっと帰れるぜ!!
あ、弘毅も来いよ!オレの家に住まわせてやるからよ!……」
オレはそこまで言って少し黙る。
「じゃあ遂にみんなで帰れるってこと!?」
千香がそう言って嬉しそうに飛び跳ねた。
優里香も千香と一緒に飛び跳ねている。
「………でも、オレはもう少しここに残るからよ…先にみんなで帰っててくれねーか?」
オレはそう言ってM92Fに弾をこめずにリロードし、その場に撃つ。
すると大きな歪んだ空間による、異次元の扉が出現した。
異次元の扉による空間の歪みで周りの植物などは吸い込まれるように揺れている。
「修也…もしかして、ここのボスのドラゴンを倒しに行く気ですか?」
冷がそう言ってオレの方へ近づいてくる。
「まあなー、どうやらオレが戦って勝たねーとこの世界が危ないらし…」
「嫌だ」
オレがそう言っている途中に千香がオレの言葉を遮った。
「…私、知ってるんだよ。修也がアーロンさんと広場に行った時コッソリついていってたから…
だから修也がボスのドラゴンにマーキングをつけられてるってことも知ってる」
「じゃあなんで嫌なん…」
「嫌だっていったら嫌なんだよっ!!!バカ!!」
オレが言おうとしたらまた千香に遮られる。
千香はその場で泣きじゃくり、膝から崩れ落ちた。
…いきなりどうしたんだ?
「1人で…1人で行かないでよ…私をいつも置いていかないでよ……」
オレは千香のその言葉を聞き、言い返そうとしたが、返す言葉が見つからず結局黙り込んだ。
今思えば、いつもオレは千香を置いていろんなところを走り回ってた気がする。
「でもさ千香、いつも修也はどこへ行ったって最終的にオレたちのところに帰ってくるだろ?今回も絶対帰ってくるって、な?修也!」
すると悠人がこう言い、オレの方へ振り向いてきた。
「あ…あったりまえじゃねーか!!」
オレは大きな声でそう返し、腕を組む。
千香の方を見ると、千香の涙の量が少しだけ少なくなっている様に見えた。
そしてオレは異次元の扉の前から1人だけ離れる。
もう一度千香たちの方を見ると、優里香も冷に隠れて泣いていた。
女の子を何度も泣かせるとかよ…ホンット最低だよなオレ…。
すると次は弘毅がオレの方へ近づいてきた。
「なあ修也、前オレを助けた時にずっと守ってやるとか言ってたよな、あれって嘘だったの?」
「嘘じゃねーよ!弘毅がピンチの時はすぐに駆けつけてやる」
オレは弘毅にグッジョブとしながらそう言ってみんなに背を向ける。
…まあ、こうプラスに返さないとオレがおかしくなりそうな気がしたからだけど。
オレは何かに気づいた様にもう一度振り返って悠人の方へ近づく。
「悠人、みんなを頼んだぜ」
そしてオレはそう言い悠人から離れ、そのままアーロンさんの方へ歩き出した。
「修也!待ってるから!もとの世界で待ってるから!!……だから、死なないで」
千香はそう言って立ち上がり、涙を服の袖で拭きながらオレを見送ってきた。
…オレがそう簡単に死ぬわけねーだろ!
「うっせーな、またな!」
オレがそう返事すると、千香は笑顔で頷き、異次元の扉の中へ消えていった。
そして、千香に続いて、冷、弘毅、優里香の順に異次元の扉の中へ入っていく。
悠人の番になった時、悠人はオレの方を向き、オレにアイスのあたりの棒を投げてきた。
…いや、今あたりの棒とかいらねーんだけど。
「修也、絶対帰って来いよ、みんな待ってるからさ」
「うっせーな、悠人に言われなくてもわかってるっての、千香とのやりとり聞いてたか?」
悠人はそうだなと頷き、異次元の扉の前へ立つ。
そして、やっぱり返してとオレに渡したあたりの棒を取り返してきた。
「いや、これを持ってないと修也はおれたちの場所がわからなくなりそうだからなー、やっぱりオレが持っとこ」
…オレがアイスを目印に追ってくるとでも思ってんのか悠人は…まあ確かに追うけどよ!
そして悠人は最後にまたなと言い、異次元の扉と共に消えていった。
「これで…よかったのかい?」
アーロンさんが1人になったオレのところへ近寄ってくる。
「これでよかったのかって…これしかなかったじゃねーか」
オレがそう返すと、アーロンさんはまあ、そうだねと遠くを見ながら頷いていた。
「修也君…言いたくはないんだけど、ボスのドラゴンと戦って無事という保証はないよ?もしかしたら二度と悠人君たちには会えないかもしれない」
「…それ今言うことかよ、でもオレは絶対もとの世界に帰るぜ?ここの世界も救ってな。……みんなと約束したしよ」
オレはM92Fを力強く握りしめアーロンさんと共に、アーロンさんの家へむかった。




