敵と書いてエネミーと読む 桐山荘次鋒
一旦引っ込んだ桐山だったが次の選手を連れてきた。
「次鋒戦はクイズ対決だ。そっちからは誰が出る?」
桐山の隣に立つ男。ただの小柄な男性にしか見えないが試合に出るということはクイズに自信があるのだろう。
「私はもう試合に出たからね。次は誰がいく?」
呑気な斎藤。勝者の余裕だ。
ジャンルがジャンルなだけに出ていきにくい雰囲気。しかしだ。
「こコは私ニお任セを!」
先ほどまで蟻の巣に砂糖を撒いていたマーがすっくと立ち上がる。
「マーちゃん、大丈夫なの?」
松風に心配されるマーが哀れだ。
「大丈夫デす。商人とはマルチな知識を持ッていなケればならないモのなのですカら。そレに前田荘の血かにあルという財宝も探サなけレば」
深いフードで顔は相変わらず見えないがおそらくドヤ顔をしているのだろう。
「決まったようだね。二人ともこっちへ」
桐山の合図でさっきの審判団が解答席を設置。ある意味雑用団ともいえる。
席につく二人。
「答えはそのフリップに書いてね。それと、これを着けること。どっちかが間違えたら正解者がそのまま勝ちね」
ヘッドフォンを装着。公正な試合のためだろう。
本城がルール説明。
「それでは試合を開始します。出題はアンザイ制作のクイズマシーン『なぞまじん』から。問題はあちらのスクリーンに表示され、制限時間は三十秒です。それでは、はじめます」
ホミカたち外陣もスクリーンを真剣な面持ちで見つめる。
デデン。陳腐な効果音とともに問題が表示される。
『切手やハガキが歌う曲を答えよ』
問題を見るがはやいか、桐山荘の代表はフリップに何かを書き始める。さすがだ。
「大家さん、分かります? 俺クイズには弱くて……」
斎藤に泣きつく足名稚。
「このテの問題はよく見るよ。切手とハガキの共通項が分かればそれがほぼ答えだ」
斎藤は答えを導き出したらしい。ホミカ、ハカナ、青野トリオも分かったようだ。
「うーん。第九かなぁ?」
具体的な曲名を考えている松風は少々違う道を歩んでいるようだ。
「シンキングタイム終了です。フリップを上げてください」
二人がフリップを上げる。ヘッドフォンに本城の声が流れるようになっているのだろう。
「桐山荘代表の答えは『郵便局』! 前田荘代表の答えは……えっ、あら!?」
マーの上げたフリップには古代の楔形文字のようなものが描かれていた。高校の教科書に載ってたなぁとホミカはしみじみと思い出す。
「あー……」
斎藤は苦笑。ひょっとして読めるのだろうか。
「……解読不能ですね。よって桐山荘代表単独正解につき、次鋒戦は桐山荘の勝利です!」
それぞれのチームに戻る二人の代表。歓喜に沸く桐山荘チームとドンマイが木霊する前田荘チームが対称的だ。
「大丈夫大丈夫。まだイチイチのタイだ。勝負はここからだよ」
優しく励ます斎藤。足名稚も隣でマーを労う。
ホミカもマーに駆け寄る。聞きたいことがあるのだ。
「マーさんドンマイです。ちなみにあの文字はどういう意味ですか?」
怪訝そうな表情を浮かべるマー。皆が自分の解答を解読できないのが不思議らしい。
「あれでスか。『私たちは負けない』と書イたんデすよ」
いつになく真剣なマー。うんうんとうなづくホミカ。
「決意表明よりクイズを優先しなさいよぉっ!」




