敵と書いてエネミーと読む 桐山荘対策
「これまで桐山荘が絡んできたことが何度もあったんですよね。その時はどうしてたんですか?」
「逆に桐山荘の土地を買い上げるという脅しでのりきってたんだ。ただ、一昨年トラックが突っ込む事故があってな。その修理と改築でその資金がなくなってしまって……」
ホミカは真剣に会議に臨もうと決めた。
ぞろぞろと住人が集まってきた。
「また桐山荘ですか……」
足名稚はハンカチで額の汗を拭きつつ頭をかいた。ここに来て長い彼も呆れているようだ。
居間の食卓での作戦会議。三木はいないが、珍しく松風は休み。会議に加わっている。
「おそらくあの手この手で我々からここを奪おうとしてくるだろう。何かいい解決策はないかな」
斎藤は一同に問うが正直なところ彼が自分で考えるのが一番いい気がする。
「こウいうのハどうデしょう」
マーが挙手。何かあるようだ。
「まズ桐山荘の皆サんにサイオンジの腕時計をプレゼントしマす。そのアと今度はヤギシフの財布をプレゼントシます。さラにトクナガの鞄をプレゼントしたあト」
「大赤字!」
プラン半ばでホミカのツッコミが炸裂した。最高級ブランド物で釣るのは無理がありそうだ。
「なら、私に考えがある」
ハカナが手をあげる。
「桐山荘の1号館2号館を合わせても二十人くらいだ。私なら余裕で殲滅でき」
「あなたはどうしてそう極端なんですか!」
斎藤も足名稚も先ほどから腕組みしている青野もホミカにツッコミ役を丸投げしている。妙な信頼関係がそこにはあるようだ。
「まったく、あんたらはそんなことだから駄目なんだよ」
青野が手をグーにして挙げる。
「膨張薬のストックまだあるからこの封印を解いてだな」
「もしまたそれを出したら、胎児のままでいればよかったと後悔させてあげますよ」
ホミカがだんだん黒くなってきた。朱に交わればなんとやらというやつ。
「ならこういうのは?」
松風がついに動いた。
「むこうの代表と話し合って何か対等な勝負をもちかけるんです。勝ったら前田荘あげるよーって言えばのっかってくるんじゃないかな」
黙るホミカ。実は斎藤も驚いていた。彼が提案しようとしていたプランと同じだったのだ。偶然の一致とは恐ろしい。
「大家としては松風さんの案がいいと思う。みんなそれでいいかな?」
一同うなずく。
「しかし、何の対決にするんですか? 見た感じ桐山荘の住人は若い人が多そうでしたしスポーツ対決とかだと厳しいですよ」
相手としても自分が不利になるような対決には賛成してくれないだろう。しかし、前田荘サイドにも色々と思惑がある。
「大丈夫。私が桐山さんと話し合ってくる」
そもそも、対決をして雌雄を決するというプランを相手が呑んでくれるか分からないのだが、そこは斎藤がなんとかしてくれるのだろう。




