5/100
開口
遂にホミカは前田荘に到着した。駅からきっちり25分。長い道のりだった。その外観からは様々な印象が得られるが、特に感じたことがひとつ。
「キレイ過ぎない?」
なんと昨日できたばかりかのような新しさだった。それどころか輝きを放っていた。これで7000円の家賃は安い。この物件、アタリじゃないだろうか。
とにもかくにも大家に会うことにした。1階が大家の住居らしいのでまずはそこへ行ってみる。正面玄関に入ってすぐ右のドア。事前に例の店主から話は聞いていたので迷うことはなかった。
ドアベルを鳴らす。
「すいません。引っ越してきた者ですが」
3秒後オープン・ザ・セサミ。白髪混じりの男性が顔を出した。
「いらっしゃい。待ってたよ」
ニッと笑う彼は着流しを着ていた。