鉄腕コれクター・マー やらかいボール編ない
次回マー編は最終回かな……?
時が経つのは早いもので、現在試合は七回の裏が終了したところ。前田デスなんちゃらは健闘も虚しく五点差で負けている。
「この回もしまっていこう!」
斎藤が声を張り上げる。歳を感じさせないプレーが光るグレートなファーストである。
「そうそう、試合はここからだ。冷静にいこう」
三打席三三振・三暴投・三パスボールの記録を打ち立てた青野がレガースを装着しつつ皆を落ち着かせる。この試合の
逆MVPは間違いなく彼だ。女房役のはずだが、泥舟並みに頼りない。
既に何循目だか分からなくなりつつある、相手の攻撃。
マーはロジンに軽く触れ、構える。体からは滝のような汗。大丈夫なのだろうか。
再びコキンと快音が響く。あんなに細いバットに上手く当てる相手チームにホミカは敬意すらおぼえる。しかし、先頭打者に安打をまたも許してしまった。あまりよろしくない事態である。
つづいての打者。何球かを見逃したのちレフトに弾き返した。ヒットとは連鎖反応なのだろうか。フォアボールでしか塁に出ていないホミカには理解できない。
ここで焦ったマーはフォアボールで歩かせてしまう。満塁になってしまった。この試合は大会規定で八点差でコールドになる。つまり、あと三点の大ピンチ。前田デスチームはもう終焉を迎えるのだろうか。
「タイム!」
突然斎藤が本城審判に告げ、全員をマウンドに集める。策があるらしい。彼がマーに何かを告げる。そして、とある決定。
「ピッチャー交代!」
マーと斎藤が交代。大家さんの本日マウンドデビューである。
「プレイ!」
再び試合開始。斎藤は神主で構える打者に一球目を投じる。ハエがいたらとまりそうなスローボール。正直マーより全然球威がない。
「打たないで……なんで交代したのよあの人……」
ホミカの願いも虚しくバットがボールに襲いかかる。センターでマーもうなだれている。
しかし。
「ストライク!」
バットは空を切る。ベビーでも打てそうな遅さだったのに。バッターは思わず首をかしげる。遅すぎてタイミングが合わなかったのだ。
「おぉ。俺のリードが上向いてきたんだな!」
キャッチャーが何か言っているがスルーしよう。
つづいて第二球。バットを少し長く握り直したバッターに対して斎藤はウインドミルから今度は速球を放った。スローボールを予測していたバッターは反応すらできない。
「ストライク!」
追い込んでしまった。空気になりつつある店主・足名稚・ゼミ生Bもぽかんと眺めている。
そして、三球目できっちり三振にとった。大きく曲がる変化球も持っているとは神様仏様斎藤様である。
結局ノーアウト満塁から斎藤が三者連続で三振に打ち取ってしまった。彼は本当に天才のようだ。
やっと前田チームの攻撃。ここで巻き返して最終回を迎えたいところである。
ベンチでマーがひとこと。
「こレ、最初から大家サんが投げれば良かっタんじゃ」
「マーさん、至言です」
「よし、ここは俺に任せてもらおう。力学を理解していればホームランなんて屁のカッパだ」
青野が張り切って素振りを始めた。四回目の三振が期待される。




