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前田荘777号室  作者: 吉岡 澪
トラトラトライ
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鉄腕コれクター・マー やらかいボール編いち

マーファンの皆さんお待たせいたしました。彼女が騒動を持ち込むようです。

「ただいま帰りました」


 今日の講義を終え、ホミカが帰宅した。彼女はローリング学にどハマリしたようだ。人生とは何がおこるか分からないものである。


「ああ、お帰りなさい」


 居間には斎藤が一人。月刊サイエンスを熟読している。今月はメガエネルギーの特集らしいが、ホミカにはさっぱり意味が分からない。頭はまだまだ高校生である。



「そうそう、おゆはんがもうすぐ出来るから皆を呼んできてくれるかい? ここを離れられないのでね」


 鍋に火がついているらしい。火の用心。


「わかりました。すぐにいってきます」





 律儀なホミカは行動も早い。てきぱきと全員を居間に集合させた。



 食卓にはビーフストロガノフ。給食で馴染みのある方もいらっしゃるのでは? 斎藤の作だけあって美味しそうだ。松風も帰宅し、いよいよ夕飯と相成った。


「では、いただきま」

「ちョーっと待っタ!」


 神速のマーが割り込む。ビーフストロガノフおあずけをくらったハカナが恐ろしい形相で睨んでいる。獅子でもビビりそうだ。


「みなサんにお話がありまス」


「なんでもいいから早く食わせてくれよ」

 足名稚の言う通り。日本酒を片手に文句をたれる。


「みなさン、ソフトボール大会に出てみマせんか? 今度の土曜日なラみなさん空いてますよネ」


 恐ろしいことにマーは全員のフリーデイを把握しているようだ。


「もぐもぐ。大家さんこれ美味しいです!」


「松風サん、話を聞いてくださイよ……」


 よく見ると、それぞれ食べはじめている。前田荘の『ま』はマイペースの『ま』である。


「ソフトボールですヨ? 青春デすよ青春! せっカくですし出ましょウよ」


「うん、いいよ」


「即決!?」

 斎藤の返答に思わずホミカはツッコんでしまった。


「俺も賛成。論文のテーマになりそうだ」

「大家さんがいうならば、異論なし」

「面白そうだねー。やろうやろう!」

「わかりました。私もやります……ってノリ良すぎない!?」


 前田荘の『だ』は団結の『だ』である。そしてそれを乱すものが。


「嫌だ、私は出ないぞ。今年の夏は雪のような肌でモテまくるんだ。この時期から焼けたくない。今年はビーチへ行ってだな……」


 雪のような肌とは何か違う気がするが。和訳すると面倒という意味だろう。しかし、マーもそれは見越している。ジョーカーを繰り出した。


「何でも今ソフトボール女子が男性の間で人気だとか」

「出る! 満身創痍でも出る! この命尽きようとも!」



「あんたもかい!」


 ホミカのツッコミが冴える。


 かくして、ソフトボール大会に出場することになった前田荘。残りのメンバーはどうなるのだろう……? 三木は来れないはずなのだが。











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