ランチを巡る仁義(スカン)無き戦い 子
よっし、ホミカを推そう。
舞台は戻って東凰大学青谷キャンパス。ホミカはたった今三コマ目の数学A課程の講義を終えた。そうするとやってくるのはお待ちかね、ランチタイム。
「そうそう。一年生にいいことを教えてやろう。うちの大学食堂のジンギスカン定食は旨いぞ。倍率は高いが食ってみたらどうだ?」
ホミカの昼は去り際の数学担当教授のありがたいお言葉によって決まった。美味しいジンギスカンが食べられるとは北関東万歳。ダテに日本最大の平野を担っていない。そして、講堂を出た瞬間。
「うぉぉぉぉぉぉっ!」
「急げ急げじゃまだじゃまだじゃまだじゃだままじゃだ!」
「俺のジンギスカァァン!」
大勢の学生たちが奇声を発しながら食堂へ猛ダッシュしていった。あくまでも勘だが、ジンギスカン定食は超絶人気で数に限りがあるいわゆる『げんていめにゅう』なのではないだろうか。ホミカの第六感が告げる。
「とりあえず食堂へ急いだほうがよさそうね」
ホミカも小走りで食堂へ。ジンギスカン定食、絶対食べたい。
結論から言うと無理だった。やっとの思いで到着した食堂には学生がメーデーのごとく押し寄せており、ジンギスカン定食売り切れの札が受付に提示されている。惨敗。ジンギスカンのジの文字もない。仕方がないので豚肉や海老が入っていない片栗粉シュウマイを頼むことにした。これも県の名物である。
ホミカは強く決心した。彼女がこんなに強く食べ物を想うのは、ハカナのワイルドなダークマターを食して以来である。
「ジンギスカン、いつか必ず胃袋へ」
俳句なら字余り。とりあえずがんばれ。




