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前田荘777号室  作者: 吉岡 澪
トラトラトライ
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教養とか許容とかつまりはキャパ

 そんなこんなで東凰大学青谷キャンパスへ到着。噴水は今日も水を並々と湛えている。ホミカは遅い到着だったようで既に一年生と思われる学生がわんさかいる。まさに学園都市。

 ここ、東凰大での一年生教養課程の講義は選択制になっていて、既定の単位を取得することで次のステップに進める仕組みになっている。今日はそれを消化しよう、というわけである。学部別のゼミや講義等は一年生のうちは最低週に二回あり、それぞれの興味関心に突っ走ることができる。


「今日は、『論理学』と『英語』と『数学A課程』に『溶接実習』を取ろうっと」

 つくづく色んなことが学べる大学である。分野を越えての学習指導は東凰の誇り。流石は伝統校。スケールのでかさはシロナガスクジラ級。


 一コマ目の講義。まずは論理学の講堂へ。たくさんの学生達がいた。友達同士で場所取りを交代でしている人たちもいる。ホミカは来るのが遅かったが、なんとか座ることができた。そして、教授見参。定年が近そうな眼鏡の男性。頭には毛の代わりにツヤがある。



「それではぁ、ローリング学の講義を始めっかんな。起立礼は省略すっかんな」


「あれ?」

 おかしい。しゃべり方ではない。論理学の筈なのに。そう思いホミカは東凰大の講義表を確認する。

「まさかとは思うけどもぉ、論理学と間違えて来ちゃったやついないか?」

 教授の冗談に笑いが漏れる。しかし、笑えない女子が一人。っていうかローリング学って何? 申し訳ないが本当に分からない。


「はーい、じゃあ『愉快なフィーリング』の七十ページひらいてー」

 なんだその本? しかもローリングどこいったんだよ! ホミカのサイレントツッコミが冴える。弱りに弱ったホミカ。当然そんな本持っていない。初日にして万事休すか。でも諦めたらそこで試合が終了してしまう。そうはいかないし問屋さんにも卸させたくない。


「あった……」

 机の下の収納スペースはでっかい宝島。学生諸君は覚えておくといつか役に立つことがあるかもしれない。

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