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前田荘777号室  作者: 吉岡 澪
トラトラトライ
33/100

我は東凰大生なり

 お気に入り6件だ!嬉しいです!ユニークも!皆さんありがとうございます。


「ご馳走さまでした」


 今日の朝食は心穏やかだった。やはり食事というものは作った人間の人となりが食べた人に伝わるものだ。


 この前田荘においてはある人物以外ならそれが伝わってきてもモーマンタイである。殺人料理の恐怖は前田荘に根付いているのだ。


「ちょ、なんでそんな目でこっちを見るんだ?」

 ハカナの無自覚は時として罪である。本当に。


 朝食を終え、ホミカは出かける用意をする。今日のニットは大安売とプリントされた特注品だ。

 ホミカのファッションセンスには誰もつっこまないのが既に普通になりつつある。正直他のメンバーがお洒落に気を遣っているわけでもなさそうである。マーとか青野は特に無頓着な部類にカテゴライズされるだろう。 


 さて、出かける前に洗濯物を干している斎藤にあいさつ。ホミカは律儀なので欠かさないのだ。


「それでは行ってきます」

「いってら!」


 そして前田荘から駅までの二十五分間ウォーキング。距離を考えると自転車が欲しい。しかし、とりあえず今は我慢するしかない。大通りくらいしか信号で捕まることはないので大幅な時間短縮になるはずなのだが……。


「無い物ねだりしてもね」

 その通り。


 オレンジと緑の電車がやって来た。利用者からは段ボールと呼ばれる鉄道。二つの県を跨いで走っている。学生の頼れる味方。そしてすぐ運転を見合わせる。迷惑な話だが、この電車が動かなくなるために学校が休みになることもあるので侮ってはいけない。


「発車いたしやす」


 駅員だか車掌だかのアナウンスののち、電車はゆっくりと動き出した。ガクンと慣性から立ち直ったホミカはこれからの大学生活に想いを馳せる。服装がめちゃめちゃダサくなければ絵になる光景である。うーん残念!


 時刻は八時半。大学生なので中高生がごっそりと乗る時間からは大分ずれる。そのため電車はさほど混まない。というか車両にはホミカ一人。降りる駅まで彼女には話し相手がおらず、大人しく座っているしかなかったそうな。





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