朝ショックな超食を終えて
口のなかがピリピリする。ホミカは根性でハカナの味噌汁を流し込んだ。なんだか飲んではいけない味がする。
「ふぅ、食い終わった……」
一番に足名稚が箸を置く。
やっとのことで一同はハカナが作った物体を食べきった。思えば長い道のりだった。苦行とはまさにこのことである。耐性の無いホミカは一瞬走馬灯のようなものを見てしまった。それほどまでにハカナの料理は危険なのである。
「ごちそうさまでした……」
「みんないい食いっぷりだな。昼も私が作ろうか?」
声にならない悲鳴。青野はまたおまじないを唱え始めた。
「い、いや昼は俺が作るよ」
「イやいや私が作りマすよ」
急に昼食クッキング争いが勃発。とにかくみんなハカナの料理を食べたくないのだ。
斎藤が返す。
「気持ちは嬉しいが、当番はちゃんと決まっているから大丈夫だ。また機会があったらよろしく頼むよ」
年の功は偉大過ぎた。ハカナを刺激することなく諦めさせた斎藤。称賛の眼差しを浴びる。彼がもしいなかったらそれはハカナの連チャンを意味し、そうなると住人たちは3日ももたないだろう。
この前田荘では食事は大体全員揃って食べ、その都合で当番制なのである。
「今日の昼と夜要らない人はいるかな?」
斎藤はホワイトボードをガラガラと用意した。何でもあるのかここは。
「はいっ! 今日は遅くまで仕事なので昼と夜は間に合わないと思います!」
松風は忙しいらしい。その他大勢は特に。つまり、スケジュールの濃さには大きな差がある。
その後解散となった。ホワイトボードには綺麗な字で『MK、夕飯要らず』と書かれている。




