最後の1人はさぁ行こうの1人
ついに来た。666号室である。ここまで色んな意味で長い道のりだった。
この数時間の間に殴られたり、Gだったり、不在だったり、同好の志を見つけたり、ニットをあわや競り落とされそうになったりとホミカの人生経験値は著しく上昇した。
感慨に浸っている間に斎藤がチャイム。
オープン・ザ・セサミ。ふわふわパーマの女性が現れた。ホミカを見て目を丸くした。
「あなたが引っ越して来たっていう剣ホミカさん?どーもどーも。あたしは松風青水!よろしくぅ!」
斎藤が口を開く前に松風はそれだけを言ってのけた。斎藤は諦めてニコニコしつつ黙っている。
松風は大分ポジティブで元気な人のようだ。
「こちらこそよろしくお願いいたします」
「カタイなぁ、ほみほみはぁ!」
「ほみ……?」
「ほら、この時代はなんかアダ名がないとね!」
なんか似た愛称があった気がするが言いますまい。
斎藤がやっと話す機会を得る。
「松風さん今仕事の方はどうなんだい?」
「はいっ!今は窓拭きをしておりますっ!日夜窓とオトモダチです!」
テンションの高さが自分と真逆だなとほみほみ、もといホミカは思った。過ぎたるは云々だ。
「そうだ、松風さん今日の夜は暇かい?」
唐突に斎藤。
「はいっ!暇すぎてへそでお茶沸かしちゃいますよ!」
それは何か違う……。
「そうかそうか。実は今夜ホミカさんの歓迎パーティーをしようと思ってな。他の人たちにはもう言ってあるんだが」
何となくではあるが松風への報告が最後になったのにはうなずけるなぁとホミカは思った。
後の斎藤の話によると松風はボラバイターをしているらしい。前田荘の中では忙しい部類に入るだろう。




