表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ライスギャング

作者: ナナシ

もう俺はだめかもしれない。

今までに、こんなことは何度でもあった。

その度に俺は機転、時には気合いで強引に乗り越えてきた。でも、今回ばかりはそれも無理そうだ


今、俺の目の前には水の渦巻く白い淵が見える。そして俺は、その前に這いつくばってる。言わば、俺は崖の真ん前に立たされているのだ。


「はあ、はあ、ちくしょう。」

俺は情けない声を上げる。頭がクラクラする。

一歩も動けない。小便が出そうだ。

くそ、くそ、くそ!何で俺はいつもこうなんだ。


今回は少し深入りしすぎたようだ。反省はしてる。後悔も。 そもそも、俺はいいところで手を引くべきなんだ。わかってる。頭じゃわかってるんだ。でも、この取引はやめられない。奴らは、金と引き換えに快楽をくれる。全てを忘れさせてくれる快楽を。

しかし、それに溺れるとどうしようも無くなる。何も打つ手が無くなる。だから、今の俺はここにこうして這いつくばらせられている。


後ろで笑い声が聞こえる。アイツだ。 俺のパートナー。仕事仲間の男。


アイツはヘマを踏まない。踏むことも無いだろう。滅法タフな奴なんだ。

俺が取引をするのは、大体コイツに声をかけられた時だけ。なのに、俺だけいつもこんな目を受ける。ひどい話だ。俺が何をした?一体俺とお前の何が違う?


…こんなこと考えても無駄だ。アイツと俺の立場は決定的に違う。俺は床に這いつくばり、アイツはそれを見下ろしてバカ笑いをしている。アイツも相当キてるのはわかる。でも、こんな時くらいは助けてくれ!くそ、頭が痛い!

頼む!このままじゃ殺されちまう!

奴らは、悪意を持って俺の体を蝕んでるんだ!

いつもとは違うんだ!今度こそ、俺は死んじまう!


それでも、アイツは動かない。アイツもわかってるんだ。こればっかりはどうしようも無いことを。

「うー、ちくしょう。」

俺は力を振り絞って仰向けに転がる。

天井が見える。ライトも。

白い淵も。

もうだめだ。

意識が保てない。

「う…。」


俺は声にならないうめき声をあげた。薄れゆく意識の中でアイツの笑い声が聞こえた。


なんでだろう?なんで俺は、いつもこうなんだろうな?わからない。もうわからない…。










「ぎゃはは!まさか便器の中に頭突っ込むとは思わなかった!たく、お前ホントに酒癖悪ぃな。特に日本酒と相性悪すぎ。ま、見てるこっちはおもしろいけど。おおい、ちゃんと自分の足で歩けって!たく、ホントに世話の焼ける…お、タクシー!!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] あらすじや前書きに、面白くない、などと書かれると読む気なくしますよ。 本題ですが、オチは予想できませんでした(笑) パートナーのくだり(ヘマを踏まない〜のところ)は非常にうまいと思います。…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ