キラキラ 3
彼女は毎日帰ってきていたが、部屋にいるのは寝ている時間と、外出帰宅の前後30分くらいだった。
いつまでたっても、彼女が出て行くと少し寂しくなる。
私はカーテンで閉ざされた部屋の中で薄ぼんやりとした光を浴び、窓の外を通る風の音や鳥の声を聞いていた。
そして彼女がいつものように、遅い時間に帰宅した。お酒を飲んできたようだ。彼女は「気持ち悪い」と電気もつけずに布団に寝転んで、時々あーとかうーとかうなり、ペットボトルのお茶を飲んだ。
「頭痛い。もう、やだ……。つかれた」
彼女はそう言うと、泣き出した。
初めは前のようにしくしくと泣いていたが、だんだん泣き声が大きくなっていった。彼女はしばらく泣いていた。
ひととおり泣いてから彼女は起き上がり、電気をつけて冷蔵庫を開けた。
「なんにもない」
最初の頃は毎日料理をしていた彼女も、最近は家で食事をすることがなくなっていた。
仕方なくコップに水を入れて、ソファーにちょこんと座る。その姿を見るのも久しぶりだ。
ごくごくと水を飲み干し、彼女は突然叫んだ。
「あっ!」
それから私の傍に来て、葉を一枚手に取った。
「枯れてる……」
そしてまた、彼女は泣いた。
「ごめんなさい。私、何やってるんだろう……。友達だなんて言ってたのに……そう思ってたのに。大事に思ってたのに。本当はずっと楽しくなかった。私がしたいのはこんなんじゃなかった」
そんなことを繰り返し言って、肩を震わせて泣いた。
彼女が毎日どうしていたか私にはわからない。もしかしたら、寂しさの反動で何か無理をしていたのかもしれない。
でも、彼女が今は楽しくなかったという思い出や出来事も、後になって彼女の幸せに結びつけばいい。
彼女はとても良い子で、たくさんの人と笑っているのが、きっと似合っている。
そして今は泣いている彼女も泣き止んで、まだ私が強く生きていることに気付くだろう。
私の為に、もう泣かなくてもいいんだよ。私は泣いている彼女に語りかける。
少しだけ手間はかかるかもしれないけれど、すぐに元通りの元気な私になるから。
だから、ねえ。その時はまた話をしよう。
楽しい話も、悲しい話も、色んな話をきかせてね。
私も、風や鳥が運んできた話をするよ。
いま語りかける私の言葉は聞こえないかもしれないけれど、もしかしたら彼女と私は、いつか通じ合えるかもしれない。
だって私たちは友達だから。
少しの水と、反射する日の光と、彼女の話で私はきっと元気に、どこまでもどこまでも大きくなるだろう。
そしてこの小さな部屋は輝き続ける。




