3.新人微塚ちひろ
綺麗な黒髪を頭の高い位置でポニテールにした長い髪、新品スーツ姿でいかにも新社会人って感じの子だな。
このご時世これほど希望に満ちた目をした奴がいるのがびっくりだ。イマジンハザードは死者200万人はいたってのに。
「あー、俺は乙木アルトだ。この院が設立されてからの職員になるな。ここの職員は俺と、今案内してもらった清水さんの二人で全てだ。これからよろしく頼む。」
ゆっくりと流麗なお辞儀をする清水さんは、この院の生活的な雑務を担当しているおばあさんだ。掃除洗濯等
俺も大変お世話になっている。口数は少ないが動きの端々に気品が感じられるから昔はお嬢様だったのかもしれない。
「はい!乙木さんですね!これからよろしくお願いいたします!」
こちらも負けじと90度を超えたお辞儀を披露。うなじには【IMAGIA】のチップがチラリと見える。
「微塚は魔法はどれくらい使えるんだ?」
「魔法は私苦手でして、、、単純な魔法ならとりあえずは使えます!水を出すとか火を出すとか」
魔法、IMAGICは何でもかんでも想像通りに使えるわけではない。使うには想像力の豊かさが大事になっている。自分が発言させたいものに関してどれだけの具体的なイメージ、見た目、性質、想いが載せられているかで決まることがわかっている。単純に水を出すのでも、液体だけをイメージするのと、感触、温度、量、好きかどうかなどの要素で出来が変わってくるのだ。このイメージ要素の総量が一定に満たないIMAGICは不発に終わる。
「そうか、院の仕事については?」
「リフィックの保護です。・・・すみません詳しい仕事内容までは知らないんです。」
「まあ知らねえよなぁ、まだ設立一年もたってないからな。こっちも未だに手探りでやってるんだよ。とりあえず今日は俺の仕事を見てもらおうかな。」
「不束者ですがよろしくお願いいたします!」
「ま、気楽にな、みんないい奴だから。(たぶん)」
んじゃ、寝不足だが今日の仕事を始めますか〜。お、いいところに来たな。
「レイズおはよう、すまないがこの本を出版社まで送り届けてくれないか?」
「アルト、おはよ。『うわああいつのまに私の頭に』いいよ、けど燃料不足。」
「分かってるって、【IMAGIC:|Ashes on a dead tree《枯れ木に灰を》:アクティベート】」
そうして出したのは灰がたっぷり入った袋だ。それを今微塚の頭の上にちょこんと座っているリフィックに差し出す。消えかかった炭のように灰色の中に明滅する火の色をもったそれは物語に出てくる妖精のようである。
彼女は火の妖精のリフィックだ。
「先生の灰は特別おいしい。普通の灰はこんなに味に深みが出ない。」
「そりゃその灰は特別だからな。花咲か爺さんの灰さ。」
微塚の頭から離れると、レイズは灰を口いっぱいに頬張る。たちまちレイズの体は赤みを増していき、その上見事な炎の桜を咲かせた。
「ところで先生、この女。だれ?」
「こいつは今日から新しく赴任した微塚だ。この女じゃなくてちゃんと読んでやれよ?」
「初めましてレイズさん。私は微塚ちひろと申します。よろしくお願いしますね!」
「ちひろ、よろしくね。燃料も補給したし行ってくる。」
「ああ、頼んだよ」
と言って、不燃性の包装を施した本をレイズに渡すと、レイズは桜の炎を舞あげ東の方へと飛び立っていった。
「はやぁ!?私精霊のリフィック初めて見ました。」
「ああレイズはここだと唯一の精霊かな。冷たい態度かもしれないが、見た目に即して、心があったかいやつだから仲良くしてやってくれ。」
「はい!ところで出版社に荷物って一体なにを?」
「ああ、あれは俺の副業。まあおいおいわかるだろ、とりあえず今から子供達の授業に行くぞ」
IMAGIC:イマジック
IMAGIA:イマギア
微塚
固有名詞を決めるのと読みを決めるのが難しいですね、そのうち変わるかもしれません。




