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2.錬金術師スカーレットとの出会い

 錬金術を教えるって、あれは薬草をポーションに変えるだけの便利職業じゃないのか?

 見た目は小さな少女にしか見えないが、このシールドは彼女が作ったのか? 一体何者だ?

 だが今は戦闘中だ。こんなことしてる場合じゃ……!


「ピギイィィイイッ」


 悪い予感は得てして当たるものだ。

 奇声を上げ、ゴブリンが俺たち目がけて一斉に襲いかかってきた。


「ふん、うるさい木っ端どもだ。消えろ」


 つまらなそうにつぶやいた少女がゴブリンに向けて手を翳すと、掌から光の奔流が迸る。

 光の奔流がゴブリンたちを包み込むと、その姿は跡形もなく消え去っていた。

 何だ今の光は?

 ゴブリンが消し炭になっちまったぞ……。


「ふむ、これで邪魔者はいなくなったな。今のも錬金術じゃ。しっかり覚えておくのだぞ」


 はあ? 今のが錬金術だと?

 ゴブリンは一般人が勝てるような弱い魔物じゃない。

 それを三匹纏めて塵にするだと?

 錬金術ってのは薬草をポーションに変えるだけの便利スキルじゃなかったのか?


「さて、邪魔者がいなくなったところで本題に入るとするかの。我はスカーレット・レイ・グランディア。世界の真理を解明する旅をしている錬金術師じゃ」


 自分を錬金術師と名乗る少女スカーレットは、俺の手を掴んで引き起こすとそう名乗った。

 男の俺を軽々引き起こすなんて、妹のチェルシーよりも小さな見た目からは想像もできない力強さだ。

 危機が去り落ち着いたところでスカーレットを見ると、俺はその美しい容姿に言葉を失ってしまう。

 スカーレットは少し黄味を含んだ艶のある美しい赤い髪を持ち、異常に整った顔立ちをした美少女だったのだ。


「何を呆けておる? 其方はこの王都に住む錬金術師リアムじゃろう? 自分の弱さにがっくりきてるのではないか?」

「!?」


 悩みの確信をつくスカーレットの言葉に、俺はギクリと体を震わせる。

 ううぅっ、確かにそうだ……。

 正直俺は魔物一匹倒せないほど戦闘が苦手だ。

 それは錬金術師がポーションを作るだけの生産職だからのはずなんだが、このスカーレットと名乗る少女はゴブリンを簡単に倒してみせた。


 もしかして俺が弱いだけで、世の中の錬金術師はみんなこんなに強いのか?

 でも俺は自分以外の錬金術師なんて、目の前のこの子以外見たことも聞いたこともない。

 一体錬金術師ってのは何なんだ?


「何訝しげな顔をしておるのだ? 其方、自分の弱さに辟易しておるのだろう?」

「な、何でわかるんだよ……」


 スカーレットはそう言うとニヤリと笑みを見せる。

 まるで俺の心を見透かされているようだ。


「我も昔はそうだったからわかるぞ。我の弟子にならぬか? 最強の錬金術師に育ててみせるぞ。おっと、最強は言い過ぎか、我の次だな。はっはっは」


 そう言い放ったスカーレットは高らかに笑った。

 弟子か……強くなれれば今よりもっと稼げる名ようになる。

 そしたらチェルシーの病気だって治せるかもしれない。

 なら、俺の答えは決まっている。


「本当に強くなれるなら是非ともお願いしたい。俺には強くならなきゃならない理由があるんだ」


 俺はスカーレットに病気の妹がいること、妹を守るために強くなりたいことを話し頭を下げて頼んだ。


「ほう……こんな年端もいかぬ少女に頭を下げるとは、殊勝な心掛けだな。益々気に入ったぞ」


 スカーレットが感心したように息をもらす。

 錬金術について俺は何も知らない。

 だったら知ってる人に教えてもらうのが一番手っ取り早いからな。

 妹のためなら安いプライドくらい、とうの昔にゴブリンにでも食わせてやったさ。


「だが良いのか? 俺は今日パーティーを追放されたほどの役立たずだぞ」

「……其方を追放だと? それはまた見る目のない輩がいたものじゃ。安心せい、其方は必ず強くなる。強くなった姿を見た愚か者は後で絶対に後悔するであろうな」


 どうやらスカーレットは俺を高く評価してくれているようだ。

 だが、あの性根の腐った勇者どもが俺を追放したことを後悔するか……そいつはなんとも痛快じゃないか!

 痛快な気分になった俺を見るスカーレットはニカッと笑みを見せる。


「それに其方は弱くなどない。大切な妹をずっと一人で守り続けてきたのであろう? 今はパーティーを追放されて落ち込んでいるかもしれぬが、また立ち上がろうとしておる。そんな其方を、きっと妹は自分の勇者だと思っているぞ。くだらぬ理由でパーティーを追放した名ばかりの勇者などより、其方の方が立派な勇者じゃ」

「……スカーレット」


 嬉しい……今まで誰からも認めらず、理解されなかった俺を、スカーレットは認めてくれた。

 この人のもとで強くなろう。俺は目頭が熱くなるのをこらえ、そう心に誓う。


「それではリアム、今日から其方は我の弟子じゃ。ともに錬金術の深淵を目指そうではないか」

「ああ、よろしく頼むよスカーレット!」

「む……師匠と呼んでくれても良いのだぞ」


 スカーレットが少しだけ不満そうにぶつぶつ何か言っているがどうしたんだ?

 弟子ができて嬉しいのかな?


 こうして俺は錬金術師スカーレットに弟子入りすることになった。

 これが俺の運命を変える出会いだとも知らずに。

待っていた方がいたかわかりませんがお待たせいたしました。

再開します。

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