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「……す、凄い楽しかったな」
家に帰って来た私はご飯とお風呂を済ませた後、部屋のベットに横たわり今日の出来事を思い返していた。
先生との握手を交わした後、私達は他愛ない話をしながら一緒に過ごした。
好きなご飯や、苦手な教科……それに恋人の存在についても。
先生との会話はどれもとても楽しくてあっという間に時間が過ぎていた。
それから会話の最後に、私のこれからのバイトについての説明をしてくれた。
仕事は朝の10時から夕方の18時、最初の1週間は研修という事で主に先生の付き添いという形になるらしい。
もしその1週間で働くのが嫌になった場合は、いつでも辞めて貰っても良いからねと優しく言ってくれた。
「……役に立てるかわからないけど、出来るだけ頑張ってみようかな」
思い出すと顔が熱くなってしまうので、これ以上先生の事を考えるを一旦辞めて手に持ったスマホに目を通し、いつもの癖でSNSに書き込む。
『明日からバイトする事になりました!! 初めてで緊張するけど頑張ります!!』
『おつかれー!! バイト?? もしかして前に言ってた占い師のやつ??』
『お疲れ様です、けんじさん。 そうですよー!!』
直ぐに返事してくれるけんじさんは私にとってとても有難い人だ。
『お疲れ!! 受かったんだ、良かったじゃん!! あっ、前にも言ったけど気をつけなよ??
占い師なんてろくなもんじゃないから!!』
そんなけんじさんから返信に思わず私の手が止まる。
ろ、ろくなもんじゃないって……先生に会った事も無いのに、なんでそんな事言うんだろう。
以前にも言われた言葉の筈なのに今となっては少しだけ腹が立ってしまった。
『先生は多分良い人だと思いますよ。
慕ってる人も多いですし!!』
『えっ?? 先生って何?? たかが占い師でしょ??
慕ってる人はみんな騙されてるだけだよ。 占い師は話術が得意だからね』
『そんな事ないと思いますよ!! けんじさんが想像してるより真面目で誠実な人でしたから!!』
『真面目で誠実って……じゃあさ、その人は本物なの?? 未来とか、運命とか見えちゃったりするの?? ありえないでしょ。 占い師なんて適当な言葉と気持ちの良い嘘を言ってるだけだよ』
……そ、それはそうかも知れないけど。
けんじさんの言葉に私は何も返す事が出来なかった。
『あー……ごめんね、みくちゃん。 ちょっと口が悪かったかも!!
でも、本当に心配してるだけだから!! ほら、世の中には悪い占い師が居るのも事実だからね。
それにその人が本物かどうかは置いておいて、みくちゃんの言う通り良い人って可能性はあるもんね!!
バイトする事は応援してるから!! 頑張って!!』
『はい。 ありがとうございます。 頑張ります』
モヤモヤした気持ちでそう返信して私はスマホの電源ボタンを押した。
「……本物かぁ」
確かにけんじさんの言う事は間違ってないんだろう。
本当かどうかは分からないけど、テレビで芸能人が占い師に洗脳されたなんて話も聞いた事もあるくらいだもん。
それに私だって先生に会う前までは、占い師に良いイメージを持っていなかったし。
……もしかして先生もみんなを騙してるだけなのかな??
そんな考えが私の脳を過ぎる。
そして同時に、私はゆきさんが言ってた言葉を思い出した。
「先生は『本物』よ。 みくちゃんも会えばわかるわ」
ゆきさんは真剣な表情でそう言っていた。
あの言葉が嘘だとは私は思えない……いや、思いたくない!!
でも……運勢や未来なんてものが本当にわかるものだとも思えない。
「……先生の近くで働けばそのうちわかるのかな」
出来ればゆきさんの言葉が間違ってない事を祈りながら、目覚ましを朝の6時にセットして私は目を瞑った。




